壊れた世界1-1
◆◇◆ Ⅱ:壊れた世界1
「がああぁあっ!!」
「……くっ! あぶねえ!」
飛びかかってきた半ゾンビの男性を、三度なんとかかわす。
しかし状況は最悪だ。
眼を赤く変えたスーツの男性はなおもこちらを威嚇し続けているし、前後からはさらに二、三人似たようなやつらがじわりじわりと距離を詰めてきている。……あと五秒もすれば、あっという間に彼らに囲まれてしまう。
「なんとか……逃げる方法は」
前後左右を焦り気味に見渡す。
今自分は小高い土手道にいる。
前後は半ゾンビに挟まれ、左側は川だ。
となれば必然、
「があぁっっ!」
またしても飛びかかってきた男性をサッと避け、そのまま俺は右手側の土手をくだる。
決して傾斜の緩くない斜面をほぼ全速力で駆け下りると、柵をバッと飛び越えて道路に出る。
車は来ていない。
サッと後ろを振り返り、まだ半ゾンビの人たちが土手の上にとどまっていることを確認したら、少しペースを緩めて道路を駆け出す。
――と、一瞬駆け出して、すぐに足を止めた。
「……燐」
そう、最初は一目散に家に戻ろうとしたが、よくよく考えたらまだ時刻は五時過ぎ。この時間帯は、まだ燐が部活で学校に残っているはずなのだ。
学校でしきりに聞かれた白髪の女の目撃情報。
今日出会った、明らかにサイズの合っていないうちの制服を着ていた白い髪の女の子。
そしてこの異常事態……
「……燐が、危ない」
これ以上ないほどの悪材料が出揃っている中、あの燐が騒ぎに巻き込まれていないとは到底思えなかった。この状況下で学校に戻るのは明らかに危険ではあるが……
「……しかたない」
俺はくるりと方向転換すると、走って学校に向かう。
そのペースと一緒に心臓の鼓動も、少し速まった気がした。
なんでもいいので、感想をもらえるとうれしいです




