壊れるその日3-3
「はあ……はあ……」
家の前について、慌ててカギをバッグから取り出しカギを開ける。
がちゃりとカギが開くと同時に、すぐ中へ入って今度はカギを閉めた。
念のため、チェーンロックもかける。
「はあ……はあ……はあ……」
少しの間ぼーっと息を整えてから、手をのばしてやっぱりチェーンロックは外す。
チェーンロックが掛かってたら燐も母さんも入れないじゃないか……
まだ完全には息は整っていなかったが、俺はさっさと靴を脱ぐと、吸い込まれるようにして自分の部屋へ戻った。
部屋に入るとたまらず、制服も脱がずにばたんとベッドに倒れこむ。
身体を反転させて仰向けになり、視界をふさぐように右腕で顔を覆う。
「くっそ……、一体なんだったんだよ、あいつ」
そうして今さっきのことを改めて思い返す。
やせ細った身体や、どこから手に入れたかわからないうちの学校の制服。
それらが全く霞んでしまうほど特徴的な真っ白い髪……
今こうして自分の家に帰ってきてさえ、あの白い髪の光景が脳裏にこびりついて離れない。
それはこの無機質な町にあってなお、あまりに異質なものだった。
「……巷で有名なアイドル、とは程遠いな」
ふとクラスメイトの女子たちの会話を思い出す。
最近急に目撃されることが多くなった、白髪の女、もとい白い髪の女の子……。出会って思った感想は、自分とほとんど歳の変わらない少女という感じではあったが、同時にこれほどの恐怖を覚えたことは、いまだかつて他にない。……いや、ヘビのことがばれそうになった時はもちろんこれ以上ないくらい恐怖はした。だが今回のは全く別種の恐怖だ。それこそまさに直接命に関わるような、そんな恐怖……
「……ほんとになんなんだよ、いったい」
ふてくされたように呟き、目を閉じる。
そして意識的に思考を無にする。
そうでもしないと延々あの少女のことを忘れられそうになかった。
けれど気づけばベッドの上で俺は意識を失っていて、次に目を開いて時計を見た時、時間はすでに五時を回っていた。




