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勇者パーティーの料理番  作者: ゴン太
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第七話 パーティー

今回もエルメア視点です。




街に戻った私はまずは領主の館に向かった。私たちのパーティーは辺境都市のカナイゴスに来ており、今回そこの領主からミノタウロスの群れの討伐を依頼されて、その先で事故にあったのだ。とはいえ依頼は無事に完了したのでその報告だ。


「無事戻られまして何よりです、エルメア殿、ノイリー殿」


そう言った私の目の前に座る男が、この辺境都市の領主レストール・カナイゴスだ。白髪交じりの茶色い髪に、鋭い目と鷲鼻を携えた壮年の男であり、王からの信頼も厚い人物だ。


基本的にモンスターの討伐は冒険社の仕事だが今回のミノタウロスは単体でも高位冒険者数人で討伐を行うものだ。それが群れで生息していたのでたまたま訪れた私たち勇者パーティーに討伐依頼を出したのだ。


「依頼を無事達成しましたのでその報告を」

「おお、それはよかった。さすがにミノタウロスの群れを相手取るにはいささか戦力不足で・・・。本当に助かりました、ありがとうございます」

「いえ、お力になれたようでよかったです」

「しかし、ミノタウロスの群れができるなど聞いたことがない・・・。何か森に異変が起きたのでしょうか?」


その話を聞きふとクロのことが頭に浮かんだ。まさかクロが原因なのでは?その後、いくつか言葉を交わし、会話を終えた私たちは領主の館を後にした。


「・・・先ほどの話ですが、クロが原因では?」

「やっぱりノイリーもそう思う?」


どうやら2人の意見は一致していたようだ。あの優しいドラゴンのことだ、事情を話せば移動してくれそうなものだがせっかくの住居を追い出すような真似は気が引ける。さてどうしたものかと思案しているとノイリーがとんでもないことを口にした。


「クロも我々と一緒に、連れて行けばいいのではないでしょうか?」


その言葉に思わず目を見開く。なるほど、その意見は実に合理的だ。彼が害にならないことは分かっているし、むしろこちらの世話を焼くぐらいの性格だ。こちらとしては大歓迎なのだがクロ自身はどうなのだろうか。


「でも意外だね。あれだけ怖がってたのにノイリーからそんなこと言うなんて」

「このままではこの都市に被害がでる可能性がありますからね。それにクロは怖がるような存在でないことは身を持って知っていますから」


ノイリーの言葉に思わず微笑みながら言葉を返す。


「で、本音は?」

「あのおいしい料理を毎日食べたいです!!」


実に清々しい笑顔を浮かべながら言い放った食い意地の張ったノイリーの言葉に苦笑いを浮かべる。だが私自身もあの気の良いドラゴンとならば楽しい旅を続けることができるだろうと思うので、賛成だ。しかしまずはパーティーメンバーにどう説明をしたものか。いきなり巨大なドラゴンを仲間に入れると言ったらどんな反応をするか。私は数時間頭を悩まされる羽目になった。





どうやって衝撃が少なく分かりやすい説明を仲間にしようかと必死に考えるエルメアであったが、その努力空しくクロに会った仲間がもれなく衝撃を受けるのはこれから数日後の話である。




辺境都市カナイゴス

イアロヒ国の辺境都市。強力な魔物が多く、統治が大変であるが、貴重な素材や鉱脈も多くあり国の大事な財源である。都市の名前にもなっているカナイゴス家は代々辺境伯を国から受け継ぎ、土地運用だけでなく武力も求められている。



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