第四十二話 プリン
風が吹き抜け森特有の少し青臭い香りが鼻を通り抜ける。夏真っ只中でも少し肌寒い森の中で私はお菓子作りをしていた。
火鳥の卵をかき混ぜそこへ砂糖を加えてさらに混ぜ合わせる。そこへ火にかけて熱したミルクを入れさらに混ぜ合わせる。器の底に水に溶かした砂糖を熱して作ったカラメルを注ぎ、その上に先ほどの混ぜ合わせたものを濾しながら注ぐ。器に蓋をして蒸し器に移し蒸していく。蒸し終われば常温で少し冷ましてから〈冷却〉の魔法で冷やして完成だ。
お茶を淹れ、ツツジと共にお茶とプリンをいただく。
「うーん、少し渋みが足りないかしら」
『うむ、やはりそうか』
「炒る時間を変えると良いかもしれないわね」
『そうだな』
時折こうやってツツジに私が作ったお茶の味見をしてもらっている。緑色の茶葉を作るのは上手くいったのだが、紅茶と呼ばれる茶色の茶葉を作るのに苦戦をしている。茶葉のブレンドだけでなくそれを炒る時間でも味が変わってくるのだ。組み合わせが無数あり、それを一つずつ試しているのだがなかなか上手くいかないものだ。
「プリンは文句なしに美味しいわよ?」
『そうか、それはよかった』
少し落ち込んでいたらくすくす笑いながらそう言ってくれた。料理の時もそうだったが習得には時間がかかるものだと思い直した。彼女たちと旅を続けている間には美味しい紅茶を是非とも飲ませてやりたいものだ。
街でのカフェという軽食や飲み物を楽しめる場所の話をツツジから聞いていると驚きの連続だった。料理もそうだが飲み物の種類がとてつもないのだ。同じ紅茶でも何十種類もありそれ以外でも聞いた事のない飲み物まである。その話を聞いて是非とも自分でも作りたいと思い、始めたのだ。今日もそういった話に耳を傾けていると不意にツツジがとんでもない提案をしてきた。
「クロも街に入れるようになったのだから、一緒にカフェに行きましょうよ」
『・・・そうだった!!』
ついついいつものように街について話を聞くだけになっていたが、晴れて私も街に入れるようになったのだ。カフェなるものに堂々と行けるのだ。街に入る事や買い物だけに目がいっていたが、こういった事も出来るようになったのだ。
『しかしツツジ、お前はいいのか?街に行くのは嫌なのだろう?』
「クロと一緒ならいいわよ」
前回街を訪れてから数カ月、ついにリベンジを果たす時が来たようだ。
紅茶
元々はエルフが広めた文化。長命種のエルフが長い時間をかけ様々な種類の茶を開発しており、今もその種類は増え続けている。




