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勇者パーティーの料理番  作者: ゴン太
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第二十七話 ペペロンチーノ


寝過してしまった・・・。辺りを見渡すとすでに日は落ち始めていた。先日水浴びの後に寝てしまってからどうも昼寝癖が付いてしまったらしい。寝ている間に皆戻ってきていたらしく、お茶を飲んでいたり本を読んだりと各々過ごしていた。


「あ、起きたね」

『起こしてくれても良かったのだが』

「あれだけ気持ちよさそうに寝てたら起こしにくいよ」


そう笑いながらエルメアに告げられ、押し黙る。うむ、しかしもう日も沈む。今日は夕飯に時間は掛けられないな。そう思いながら動き始めるとバフにレッドホークの爪を渡された。


「ほれ、頼まれていたものを買っておいたぞ」

『そうか、ありがとう』


それを受け取った私は、今日のレシピを決めた。これならば時間もかからずにできるだろう。さっそく取り掛かるとしよう。


まずは風呂敷よりパスタ、ニンニク、シメジ、ベーコン、そして先ほどバフより渡されたレッドホークの爪を取り出す。パスタは私特製で前もって作っておいたものだ。今回でまた少なくなったので後日作らなければ。鍋に水と塩を入れ火にかけ、パスタを湯がいていく。その間にニンニクとレッドホークの爪をざく切りにしてもう一つの鍋に油と一緒に入れ火を通し、ベーコンとシメジを入れて炒めていく。そこへ湯がいたパスタとその茹で汁を少し加えてからめ、最後に塩で味を整えれば完成だ。


「ほう、パスタに入れてあるものは初めて食べるのう」

「辛いものは苦手だけれど、これはおいしいわね」

「もう少し肉を入れてもいいんじゃねーか?」


約一名ぶれない男もいるが、好評のようで良かった。パスタはしっかりとした食感を残しておりニンニクの良い香りがしている。ベーコンの塩気とシメジのパスタとは違う食感が楽しませてくれる。


満足そうに食べ終わった皆にツツジがお茶を淹れて私もお茶をすする。ホッと一息ついているとケフォルが今日あったことを楽しげに話してくる。今日も市場に行って色々と見てきたらしい。この体でなかったら私も行ってみたいところだ。ケフォルの話を聞いていたら、不意にバフがとんでもないことを言いだした。


「そういえばクロは、〈変身〉の魔法は使えんのか?」

『〈変身〉?』

「うむ、姿を変える魔法じゃ。体の大きさを変える魔法を使っておったからてっきり使えるもんじゃと思っておったが」

『・・・。』

「クロ?」

『それだ!!』

「うわっ!?」


なぜ今まで気付かなかったのか。ドラゴンは街には入れない、ならば人間の姿になればいいのだ!!ノイリーが居る方に顔を向け〈変身〉の魔法が使えるか尋ねると使えるとのことなので教えてもらうことにした。


これで街に入れるようになる。いつも話に聞いていた人間の街は私の中では想像するのも難しいところだ。そんな場所についに行けるのだ。期待に目を膨らましながらノイリーに魔法を教わるのだった。



レッドホーク

全身が真っ赤な鷹の魔物。爪には刺激性の強い毒が含まれており、引っ掻かれると燃えるような激痛が走る。きちんと処理をすれば、貴重な香辛料として使用できる。本体の肉はあまりおいしくない。

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