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勇者パーティーの料理番  作者: ゴン太
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第二十六話 ホットケーキ


「この間もいろんな人に声を掛けられて大変だったのよ?」

「相変わらずツツジはモテモテだね。いいなー」

「わずらわしいだけよ」

「私もそんなセリフを言ってみたいですね」


きゃいきゃいと姦しくしている隣で私は生地を作っていた。どうやら巷で[女子会]なるものが流行っており、それを耳にしたエルメアがやってみたいということで行っているらしい。そしてその女子会にはお菓子が必要不可欠らしく、私まで巻き込まれてしまった。ちなみにお茶はツツジが淹れている。


というわけで、お菓子を作っている。エルメアよりふわふわで甘いお菓子というよくわからない注文があったので、今回はホットケーキに生クリームを乗せて出すことにした。まず、小麦粉とパンをふわふわにする魔法の粉と砂糖を混ぜ合わせ、そこへ牛乳と卵を混ぜ合わせたものを加えてさらに混ぜ合わせていく。


「そういえばツツジは恋人とか居ないの?」

「今は居ないわよ」

「今はということは昔は居たのですか!?」

「昔の話よ、もうずいぶんとそういったことは無いわよ」


全体にだまがなくなり滑らかになったのを確認し、薄い鍋にバターをひいて温めてから一度火から離し、なじませる。その間に生クリームに砂糖を加えて泡立てておく。その頃には[女子会]に飽きたのであろう、ケフォルが私の肩によじ登り、生クリームが泡立っていく様子を不思議そうに眺めている。


「でもエルメアもノイリーも人の中では有名なんでしょ?そういった話も結構あるんじゃないの?」

「うーん…確かにあるんだけど貴族の息子とかからのお見合い話とかだから断っちゃうんだよね」

「あら、お見合い受けないの?」

「一回受けたことがあるんだけど、正直かたっ苦しくて途中で抜け出しちゃって、そこからは断ってるんだ」


なじんだ鍋をもう一度火にかけ、温まったところにタネを流し込んで焼き上げていく。表面がぽつぽつと気泡が出てき始め少ししてからひっくり返して裏面もしっかりと焼いていく。焼きあがったら生クリームを乗せて、グリズビーの蜜を上から掛ければ完成だ。出来上がったものをテーブルに運ぶ。肩の上ではすでにケフォルが頬いっぱいにホットケーキを詰め込んでいる。


「ふわふわで甘くておいしい!!」

「おいしいです!!」

「クロが作るのは程良い甘さでいくらでも食べられるわね」


なかなか好評のようでよかった。甘いお菓子は作り始めて間もないので、普通の料理よりも出来上がりが少し不安なのだ。だがおいしそうに食べているのを見ると腕は上がってきたようだ。ホットケーキはふんわりと焼きあがっており、生クリームとグリズビーの甘さが染み込んで、ほんのりと香るバターが食欲をそそる。ツツジが淹れたお茶は甘さをさっと流してくれるもので、よく合っている。


皆の満足そうな顔をみて、なるほど、人の中で流行っている[女子会]というのも良いものだなと思った。





「いい男は居るんだけどね…」

「料理が上手で面倒見が良くて気配りができて優しいんですよね」

「問題があるとすれば・・・人間じゃなくてドラゴンなのよね」


「「「はぁ・・・」」」


三人のため息が森に響くのだった。


グリズビー

熊のような茶色い毛が生えた蜂の魔物。警戒心が強く、凶暴な性格。大きさも1メートル程と大きく、巣は大きいもので100メートルにもなる。花だけではなく木からも蜜を採取しており、その蜜はなめらかで甘く、高値で取引されるが、採取が難しいためなかなか出回ることはない。

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