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勇者パーティーの料理番  作者: ゴン太
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第十六話 きっかけ

ちょっと昔のお話です。


「貴様がこの地に巣食う邪龍だな!!覚悟しろ!!」


そう言うや否や、鎧を纏った少女が剣を振りかぶった。その当時私は、住みやすそうな森に降り立ったのだがそこが人間にとって重要な場所だったみたいで、度々討伐隊が来ていたのだがすべてを返り討ちにしていた。次の刺客はどうやら目の前の少女のようだ。


こう何度も来られると鬱陶しい、そろそろ寝床を変えるかと思いつつ切りつけてきた少女を吹き飛ばす。


「馬鹿な・・・」


岩に打ちつけられた少女はそう呻きながら意識を手放した。どうやら少し強くやりすぎたようだ。このまま死なれても寝覚めが悪いと思い、〈回復魔法〉を少女に放っておく。そして風呂敷からオークの肉を取り出しブレスで焼きかじりつく。そのうちに少女が目を覚ましたようだ。


「怪我がない、だと?・・・貴様が?」

『そうだ、目が覚めたのならばさっさと失せろ』


そう言って再び食事を始めた。すると少しの間停止していた少女が、驚くことに目の前に座った。今度はこちらが固まる番であった。


『・・・どういうつもりだ?』

「ん?私も腹が空いたから食事にしようと思ってな」


袋から食料を取り出しながら少女はそう言った。訳が分からず呆然としていると少女が口を開いた。


「私はカレン・ユーストリア・イアロヒだ。おまえは?」

『名はない、好きに呼べ』

「そうか。私はここに凶暴な龍が居ると聞いて来たのだが他に龍はいるか?」

『ここには私しかいない』

「・・・私には、どうもお前が邪龍とは思えんのだが」


そう言いながら、彼女も食事を始める。それはとても良い香りがするサンドウィッチであった。じっと見つめていると


「食べるか?」


と言って渡してきた。躊躇いがちに受け取りながらそれを口に運んだ。私にとってはとてもとても小さな、それこそ一口にも満たないひとかけらであったそのサンドウィッチが、私が料理を作り始めるきっかけとなったのだ。



クロがもらったサンドウィッチ

城下町の屋台に売ってあるサンドウィッチ。煮込まれた肉と、野菜が挟まれているだけの何の変哲もない、人々にとっておなじみのもの。

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