表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛する人は桜色に  作者: Halka
君の笑顔は向日葵で
33/36

いつもと違う光希

胸に残っていた何か苦しいものを、光希が作ってくれた美味しいオムライスと、暖かいお風呂で綺麗に洗い流して、部屋に向かった。

一度ベッドに横になって、そのまま眠ってしまいそうになるが、今日の分の宿題を終わらせていなかったことを思い出して机に向かう。

と、ととん。

突然に、ノックの音がした。

明日の朝が早いおばちゃんはもう寝ているし、おじちゃんはお風呂に入っていたはずだから、来るとしたら光希だろう。


「……ミナク、入っていい?」


思った通り、光希の声。でも、いつもより不安そうな、怯えたような感じがするのは気のせいだろうか。


「どうしたの、光希?」


ドアを開けると、彼はすぐに入ってきた。


「ミナク、大事な話があるんだ。き、聞いてくれる?」


大事な話。彼は真剣な目でそう言った。

大事なことって言えば、告白とか? いや、でも私たちもう付き合ってるってことになってるし。も、もしかして、従姉弟だから別れよう、とか?

待って、冷静に考えたら、別れ話を切り出そうとしてる人が不安そうな怯えた声は出さないよね。

光希をベッドに座らせて、自分も横に座る。


「何か、あったの?」


考えられるとしたら、学校でのこと。おばちゃんもおじちゃんも、私も頑張らなくていいって言ってるのに、相変わらず勉強頑張ってて、辛そうだし、いつも一人で本読んで勉強してるから友達もできないし。


「実は、そ、その、ストーカーが、いて」

「ストーカー?! それは、光希にってこと?」


私みたいなパッとしないただの人間が誰かに付きまとわれるなんてことはないだろうけど。

光希は、ゆっくり頷いた。

男に、しかも高校生にストーカーなんて。


「クラスの、女子に。学校でもしつこくて、後つけられて、家までばれてたみたいで」


なにそれ、学校から同じ電車に乗って、同じバスに乗って、こんな住宅地の奥の方までわざわざ来たっていうの? 気づかない光希も光希だけど、まあ偶然と言われれば反論できないか。でも、そこまでする目的って、何?


「勝手に、かーみん、とか呼んできて。家に入れて、とか言われて。彼女いるって言っても信じてくれなくて」


前も聞いたような話。かーみんとか、改めて聞くとやっばりださいあだ名。

家入れて、と言って断られたから、あとつけて来た、というような感じか。


「こ、怖くなって。も、もし、ミナクに変なことしたら、とか、家に勝手に、入られたり、とか考えたら……」


いつも冷静な光希が、こんなに怯えて、捨てられた子犬みたいに震えているなんて、いったいどんな女なのか。見つけたらぶん殴ってやりたい。私の大事な従弟で、大事な彼氏で、大事な心の支えを傷つけるなんて許さない。


「僕も怒ったんだけど、やめようとしなくて。おばちゃんにも相談したし、また家まで来るようなことがあったら、警察ってのも考えてるし、とりあえず、家の鍵はちゃんとかけるように、と思ったんだけど」


光希の学校にも、そんなにしつこくて変な人がいるんだな。ちょっと怖い。


「わかった、気をつけるね。私も早く帰ってくるようにするから」

「……ミナクは絶対、守るから」


えっ。

突然、光希の両手が、私の頬を包んだ。顔が、近い。目があって、恥ずかしくなって、全身が熱くなる。


「僕は、これまでずっと、ミナクに助けられてきたんだよ。だから、僕も何かしなきゃ」

「……神谷くん……?」


状況のなか、混乱して、思わず昔の呼び方で呼んでしまった。

光希はそんなこと御構い無しに、顔を、近づけてくる。


「ずっと、大好きだから、ね」


そういえば、いままでキスもハグも全くと言っていいほどしてなかったな。

光希のあったかい唇が触れて、なんだか全身に彼のぬくもりが浸透していく感じを味わった。


「ご、ごめん、いきなり。こういうの、嫌だった……?」


ドキドキして、動けないままでいる私を見て慌てて手を離す光希。


「ううん、嫌じゃないよ」


だって、光希のこと好きなんだから。大好きで、ずっとずっと、一緒にいたいんだから。


「 ミナクのことは、ずっと、好きだから」



「ねーえ、いいこと思いついた」

「え? なに?」

「そのストーカーさんを遠ざけられるかもしれないし、余計に悪化するかもしれないけど」


多分、そのストーカーは、光希のことが好きなんじゃないか。家までついてきて、彼女いることも信じてくれない。間違ったやり方なのに間違いはないけど、そんな気がする。女の勘ってやつかな。けどそれを利用すれば、


「ねえ光希、デートしよ」

「え、い、いいけど、それが何の関係、が?」


突然のお誘いに心底驚いて目を見開く光希。


「そのストーカーは、光希の彼女、つまり私の存在を信じてくれないんでしょ? だから、わざとそのストーカーに私たちが手をつないで並んで仲良くいちゃついてるのを見れば、何か反応があるかもしれない」

「それはそうかもだけど、僕達をあいつに見てもらうには、あいつの居場所を知る必要があるじゃないか」

「それは、光希の出番だよ」

「どうゆうこと?」

「光希が『大事な話がある』って呼び出せば、喜んで出てきてくれるよ」


大事な話、といえば私含めたいていの女子はそうゆう系の話だと考える。

あだ名をつけてストーカーするほど好き(予想)な光希との待ち合わせ。当然わくわくして、時間になっても来ない光希を探すだろう。そこに、手をつないだ私と光希が通ったら、存在を知らしめることができる。


「そんなうまくいくかな。でも、やってみる価値はありそう。次の日曜日でいい? 放課後だと『学校で話せばいいのに』って言われそうだから」


確かに。私が合流しなければ意味がない。


「わかった! 場所はどこでもいいから、仕向けといてね」

「が、がんばる。おやすみ、ミナク」

「うん、おやすみなさい」


あとは、うまくいくことを願うだけだ。

できればそのストーカー女の顔、殴りたいんだけど、そんなことしたら光希にひかれそうだからやめとくことにする。

本当はキスシーンでもっと具体的な描写を入れたかったんですけど、いつも読んでくださっている友人の要望で今回は入れませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ