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第7話 新たな修行の始まり

短めです。

 魔法道具の勉強をし、杖術の訓練をすることで魔法について少しずつではあるが理解できてきた。


 マナには分からなかった魔法陣についても仮説ではあるけれど、納得できる考えを持つことができた。


 マナの話からも魔法とは、己が幻想(イメージ)を現実の事象とする物理現象を超越した力と言える。

 では、魔力とは何か。魔力は、現実を改変するための対価と考えられる。


 それでは、魔法陣とは何か。

 人が世界に己が幻想(イメージ)を伝えるには雑念が混じりすぎる。そこから雑念を弾く濾過(ろか)装置だと仮定する。

 精霊や神霊は、世界の意思に近い存在であるから、魔法陣がなくとも世界に改変したい意思(イメージ)を伝えることができる。

 属性技を魔法と捉えるならば、人が魔法を使用するのに魔法陣が必要ないとも言える。しかし、これも武術を鍛える中で雑念を払い純粋な信念(イメージ)を持って技を使用としているとしたら、どうだろうか。一つの境地として辿り着いた雑念なく、世界に干渉するほどの意志。そう考えれば、納得できなくもない。

 

 シロツキが言うには、僕の杖術のスキルは、属性技を使えても不思議ではないほどに技術と経験を身に付けていると言っても良いらしい。しかし、僕は属性技を使用できない。それも僕の仮説であれば、納得がいく。つまりは、雑念が多いのだ。

 シロツキたちは殺し合いの中で洗練された技だ。対して僕は訓練。生と死をかけるような戦いではない。それでは、技術や経験を身に付けても雑念を払うほど高まったものにはならないだろう。


 では、魔導士がそこまでの境地には辿り着かないほどに雑念を戦いの中に持ち込んでいるから魔法陣がいるのかと言われればそうでもない。魔導士が使う魔法は、何かの動作と結びついているわけでもなく、多種多様である。

 戦いの中で戦士が動作で一つの技として選択して魔法を使用しており、魔導士は魔法陣を通して選択しているわけだ。


 まあ、何をおいても仮説は実証してみてこそ、正しさを証明できるのだ。

 しかし、雑念を払うにしてもここに生と死をかけるような戦場はないのは確かだ。であるならば、何をすべきか。


 僕は、座禅を組んでみた。

 温故知新とも言うし、故人の考えではあれど、雑念を払う方法としては悪くはないだろう。

 禅の考え何かは知らない。でも、そこまで難しく考える必要はないだろう。言わば、雑念を払えればいいのだ。


 ただ、魔法道具の研究もあるので、座禅にそう長い時間をかけるわけにはいかない。

 杖術を鍛える時間を少し、削って座禅の時間を作った。シロツキは残念そうだったが何か意見を言ってくることはなかった。


 そういった手法をとって、考えたことが時間が足りないということだ。

 座禅を組み集中し出すまでに時間が掛かる。そして、集中できそうなタイミングでシロツキから声をかけられる。


「シロツキ。今日一日、もしくは二三日かもしれないけど、座禅してみようと思うんだ。だから、倒れたり、身体に異常が出てるなとか分かるまで止めないで」

「それは——」


 シロツキは逡巡するように考え込む。そして何かを決意したかのように顔を上げると、


「………分かりました」


 辛そうな表情で同意を示してくれた。


「ただし、私が危険だと判断したら止めさせていただきます」

「うん。よろしく」


 確固たる意志を持った僕に対する忠誠心。怖くもあるが、頼もしくもあるシロツキの想いを感じる。

 まあ、勘違いだったら死ぬほど恥ずかしいのでシロツキの想いを確認はしないが。


 そして、最近になって落ち着ける場となった自身の広すぎる寝室に戻り、これまた広すぎるベッドの上に座って座禅を組む。

 外で組もうかとも考えたが、雨などが降ったらそれだけで集中が切れてやる気を失いそうなので室内ですることにした。そして、僕の配下が許可なく立ち入ることがない寝室であれば、邪魔は少ないだろうとの考えもある。シロツキは、側に控えているがそれは日常なので気にならない。


 座禅を組んで向けるべき視点は、魔法を学びたいのだから、魔力に意識を向ける。

 まずは、自分の体内を流れる魔力。ゆっくりと、でも確かに巡回させながら。流れが変だなと感じたらそこを修正し、抵抗なく魔力が流れるように正していく。

 そして、体内の魔力を掌握すれば、外に意識を向ける。まずは、外に漏れている自身の魔力。

 それを把握したら、自分以外の魔力。

 雑念が入ると、つまりは他のことを考えだしたら、最初の体内の魔力の見直しに戻る。

 それの繰り返し。


 一日で境地に到達するなんて思ってはいないが、何かを掴めそうではあった。

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