表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/51

25.3日目

物語にあまり進展がみられませんでしたので、急遽投稿を早めてみました。

ということで、本日は2話投稿する予定です。

この話は1話目となります。


 まぁなにはともあれ『Free』だ『Free』!


 全部私の得意技、問題の先送りビームの犠牲となるがよい! はははははっ! ……はぁ。




 さて、アクアとシズクはどこに……


「ってうわ!」


「よっ!」


「さっきぶりー!」


 びっくりした。だってほぼ目の前にいるんだもの。


「2人ともなんでここにいるの?」


「なんでってそりゃ、カノンがここでログアウトしたからじゃねぇか」


「そうだよー。ここで待ってればログインしてもすぐに会えるからねー!」


「たしかにそうだけどさ……別に他で暇つぶししてくれててもよかったのに」


「んなこと気にすんなって!」


「そうそう! いいじゃんいいじゃん! とにかく早く行こー!」


「ちょ、ちょっと! 別に押さなくても歩けるから! ね? だ、だからそんなに押さないでー!」


 私は放課後に冴木先生に呼び出されていたため、マリンとは帰りが別だった。

 終わるまで待ってるとマリンは言ってくれたのだが、頼み事の中身がわからなかったため時間が読めず、いつになるかもわからないからと説得して先に帰ってもらった形だ。


 実際、頼み事の時間自体はそれほどでもなかったのだが、私の猛抗議や、その後なぜか冴木先生の愚痴を聞く羽目になったりとで、それなりの時間が経ってしまっていたのだ。ホント、待たせなくてよかったと思う。

 ただ、どちらにせよ。帰宅後は店の手伝いをしていたので、ログイン時間はずれにずれ、現在は8時を優に回っていた。

 それなのに、この2人がここにいたということは、結構待たせてしまったのではないのだろうか。

 本人達は特に気にしていなさそうに見えるけど、私が気になるのだ。

 今度からは事前にログインできそうな時間帯を連絡しておくことにしよう。そうしよう。


 とはいえ、そこまでして待っててくれたこと自体は素直に嬉しいんだけどね。


 私は両サイドから腕を組まれ、半ば引っ張られるようにして移動していた。いや、させられていた。

 ところで、シズクはともかく、アクアってこんなに力強かったっけ? 何か最近運動でも始めたのかな? そんなの聞いたこともないけど。


 私の考えをよそに2人は、どんどんと進んでいく。

 まるで最初から行く方向が決まっているかのように。

 って決まってるのか。


「そか。防具屋か」


「そうだよー! だって昨日3人で行くって約束したじゃん。もしかして忘れてたの?」


「そんなことないよ。ただ、今日は色々考えることが一杯あったから……」


「ん? どうしたんだ?」


「あ、もしかして、例の頼みごと?」


「うん、そう。実は……」


 こうして私達は、サカキさんが推薦する防具屋へと雑談をしながら足を運ぶのであった。




「へー料理教室ねぇ」


「私も参加したーい!」


「どうだろ? あくまでも部活の一環らしいから……無理なんじゃないかなぁ」


「そんなぁ……」


「そんなの姉貴に聞いてみればいいじゃねえか。俺はたぶん大丈夫だと思うぞ?」


「根拠は?」


「勘……って言いたいところだけど、今回はあの姉貴だから、ってのが根拠だな」


「うわぁ……凄い説得力。すぐオッケーしそう。目に浮かんだ」


「だろ?」


「じゃー私も参加するー!」


「私は別にいいけど、ちゃんと冴木先生には言うんだよ」


「はーい!」


「で、いつまで腕組んでんの? そろそろ外してよ。ほら、たぶんあれがそうなんだろうし」


「むぅ……」


「しゃーねーな」


 なんで渋々なのか。しかもシズクまで。たしかにシズクッションはフカフカだけどさ。同時に私の精神もゴリゴリ削れているんだよ?

 それはもう、木をカンナで削るが如くゴリゴリシャリシャリと。環那かんなの精神がカンナで……もうやめよう。これ以上は私のオヤジ化が止まらなくなる。もう手遅れかもしれないけどさ。


 さてと、改めて目の前にあるそれを見上げてみる。そう見上げて、だ。

 それほど、建物が大きかった。

 たしかここってサカキさんの教え子の人の店なんだよね?


「こんなこと言っちゃサカキさんに失礼かもしれないけどさ。凄く立派だね」


「ねー!」


「だな。おやっさんも金あるなら建て替えりゃいいのに」


 私達の前には3階建ての建物があった。

 立派な一枚板の木の看板には大きく【スタンフォード防具店】と書かれている。間違いない。サカキさんの教えてくれた店だ。


 その店の扉は常に開け放たれていた。

 きっと、常に人が出入りしているので、閉められないのだろう。

 まさに大繁盛。

 これだけの人気店だ。きっといい物がいっぱいあるんだろうな。

 ……果たして今の私に買うことができるのだろうか。不安だ。


「お金……足りるかな?」


 所持金は前回の狩りで得た約2600Sのみ。足りなさそー!


「とりあえず、中に入って見てみようよ! じゃないといくら足りないかもわかんないんだし!」


「そだね。たしかにアクアの言うとおりだ」


「でしょー!」


 ここで二の足を踏んでいても仕方がない。

 入らないことには何もわからないのだから。


 アクアのとりあえず精神。私は嫌いじゃない。むしろ羨ましくもある。

 私も見習っていきたいところなんだけど……

 動作のマネは得意でも、こういう精神的なマネは超がつくほど苦手なんだよねぇ。

 っと、反省はここまでにして、今はゲームを楽しまないと。

 早速、防具屋に――


「すっごい広いよー!」


 もう行ってた!


「早いよ!」


 さっきまで隣りにいたと思ったのに。まるで忍者みたいだ。あ、でも忍者は銃を持たないか。

 だとしたらスパイ? どちらにしろあんなに大きな声じゃすぐにバレちゃうだろうけど。


「フフッ。じゃシズクも行こっか」


「そだな」


 天真爛漫なアクアに促されるように、私達は防具屋の中へと入っていったのだった。




次回は23時投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ