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Free 〜フライパンから始まるエトセトラ〜 作者:もじゃ
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18/51

18.窃盗

「さて、これからどうしよっか?」

「なんでもいいよー!」

「同じく!」

 私達はギルドを後にし、町中を歩いていた。
 本当はクエストとかも見たかったんだけど、ぶっちゃけあの人混みからすぐに抜け出したかった。
 長時間あそこにいるのは無理だ。お客さんならいくらいても不思議と大丈夫なんだけど。心構えの違いなのかなぁ?
 とにかく、もう少し落ち着いてくれるまでは当分こんな感じの対応になりそうだった。
 いつかじっくりギルドを見学してみたいなとは思っているんだけどね。まだ2階から上も見ていないことだし。
 2人に聞くと資料室みたいなところがあるらしいと、なんとも曖昧な答えが返ってきた。
 まぁこの2人には当分関係のない施設だということなのだろう。私も興味がない。

「そういえば、シズクの耐久無限装備もやっぱり武器なんだよね?」

「だな!」

 だって防具が私と同じだもんね。形状はだいぶ違うけど。特にある一点が。し、身長差があるからね。仕方ないね。

「どんなのなの?」

「ん~ここじゃあれだし外でもいいか?」

 たしかに、周囲に人がたくさんいる状況で武器は出しにくいか。

「オッケー。楽しみにしてる」

「任せとけ!」

 おぉ。凄い自信だ。よっぽどいいものを引き当てたんだろうな。
 でも甘い! 私はアクアですでに耐性がついているのだ!
 ちょっとやそっとのことじゃ、驚かない。そう絶対にだ!

「そうだ! せっかくお金が手に入ったことだし防具買いに行こっか! あと魔法とかも!」

「オッケー!」

「いいね!」

 いつまでも初期防具というのもね。味気ないし。といっても、まだ2日目だけど。
 それにファンタジーの定番といえば魔法! どんな魔法が使えるようになるのか。今から楽しみになってきた!
 私達の冒険はこれからだ! なんてね。

「どけっ!」

「きゃっ!」

 私達が気合いを入れあっていると、突如後ろから誰かに突き飛ばされた。
 幸い倒れるまでにはいたらなかったが気づけばまたシズクの胸に抱かれていた。相変わらず、シズクッションは最高だね! うわーん!

「なんだあいつ! 危ねーな!」

「謝るくらいしなさいよー!」

 私にぶつかってきたそいつは謝ることなく、そのまま路地裏へと消えていった。一体何だったんだ。

「あれ? 金が無い!」「ポーションが消えた!」「さっき買った武器が!」「スリよスリ! みんな気をつけて!」

 え? スリ?
 もしかしてさっきのやつが?
 なんだか慌てていた様子だったし。
 でも、そういったスキルって未だ未解明なんじゃ……どういうこと?

「おい、カノンは大丈夫か?」

「何も盗られてない!?」

「あ、うん。確認してみる!」

 さっきの声の中には武器が盗られた人もいたらしい。だとしたらまずい。
 一応、耐久無限装備の類は譲渡不可だから大丈夫だとは思うけど。でも、譲渡と窃盗は根本的に違う。
 もし相棒を盗まれでもしていたら、モンスターを倒せなくなる。そうなれば私の『Free』ライフに大ブレーキだ。支障をきたすなんてもんじゃない。
 それに、今では相棒という名の通り、そこそこに愛着も湧いてきているのだ。
 私は急いでインベントリを開き、中身を確認してみた。

 相棒は……あった。よかった。
 ほっと胸を撫で下ろす。
 お金も無事だ。明細もある。布袋も。
 ってことはもしかして。
 しかし、残念ながら【何かの残骸:262】も健在であった。
 お前は盗られててもよかったのに。

 あれ? いや違う。

「【何かの残骸】が50個も減ってる!」

「ん? 何かのがなんだって?」

「ホントに!? やったねカノン!」

「うん!」

 思わず私の顔がほころぶ。それも仕方のないことだろう。
 もう、スリったら~仕方ないなぁ。よりにもよってソイツを盗むだなんて、なんていい人……もとい悪い奴なんだー!
 でも、今回だけは特別に大目に見てあげちゃう!
 なんならもうちょっと盗っていってもいいのよ? いや、むしろ全部あげちゃう!
 大奮発だ! もってけドロボー!

 などと、私とアクアが手を取り合って喜んでいる横では、シズクが何がなんだかといった表情で呆れていた。
 置いてけぼりでごめんねシズク!
 でも凄く嬉しいんだ!
 たとえ、またすぐに増えることになるんだとしてもね!

「ぎぃやぁあああ! いやぁぁ……ぃゃぁ……」

 そんな様々なプレイヤーの喜怒哀楽が交差する道端において、より一層の強い感情のこもった叫び声が辺り一面にこだました。

「なんだ!?」「あの路地裏からだぞ!」「お前ちょっと見てこいよ」「やだよこえーよ」「そういやさっき、怪しいやつがあそこに消えてったよな?」「何!? 追いかけるぞ!」

 バタバタとした物凄い足音と共に周囲のプレイヤーが大移動を始める。
 私達はそれを呆然と眺めていたのだが、ふと私の本能が囁いた。

 ――行くのはヤベーっすよ! と。

 私はそれに素直に従うことにした。理由はわからない。ただ、ここにいることすらも危うい感じがした。とにかく一刻も早く移動したかった。

「……じゃ、防具屋行こっか!」

「ついてかなくていいのか?」

「大丈夫大丈夫! ほら、みんな行くよー!」

「お、おう」

「はーい!」

 シズクはまだ後ろを気にしていたようだが、私が手を引っ張って連れて行く。
 途中、なぜかアクアの機嫌が悪くなったので、同じように手を繋いであげるとすぐに上機嫌に。
 仲間ハズレが嫌だとか、アクアの子供っぼさは相変わらずだなぁと、苦笑いを浮かべながら、私達は防具屋へと駆けていった。



【ニューディール:路地裏】

「なんだこりゃ……」

「きゃっ! いきなりなによ! 見えないじゃない!」

「お前は見るな! これは……子供の見ていいもんじゃない。戻るぞ!」

「うぷっ……俺ダメだ」

「おい、あれって……さっきのやつじゃ……」

「生きてる……んだよな? とてもそうとは思えないけど」

「死に戻りしてないんだから生きてんだろ。たぶん……」

「とにかく戻ろう。ここは人の居ていい場所じゃない」

「だな……盗られたもん取り返した……いけ……ど……ダメだ限界オロロロロ……」

「な!? お前服にかかっ……オロロロロ……」

「「「「「オロロロロ……」」」」」


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