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初めてのモフモフ 〜命懸け〜

 意を決して振り向くと木々の間からモフモフ、ってライオンさんが来た!?こういうのって虎とかじゃないの!?

 そんなことより歩く度地面が赤く、


 赤?


「お前怪我してるのか!?おい!無理して動くな!」


 ああ!どうしよう!邪魔者を排除しようって気概に溢れてやがる!

 俺が1歩踏み出す毎に唸り声が大きくなるしどうしよう!


 どうやったら獣の怪我を治せるんだ?ポーションは効くのか?


 あぁあぁ!もう!冷静になれ自分!


 飲ませる、は無理だよなぁ…掛けるのは、近づけないし…ビンを投げる、のは避けるだろうしもっと傷が深くなるか…


 どうにか中身だけでも掛ける方法はないのか!?


 中身だけ?


 はっ!?自分で出した水で作ったポーションなら操作できないか!?


 近づいてきてるし、急がないと治す前に喰われる!


 南無三!


「ポーション20本大盤振る舞いだ!動くなよ!」


 20本を上に放り投げて『ウォーター』!逃げられないように包み込め!!


 GUAAAAA!?


 傷のせいで急に動けなかったライオンはそのままポーションに包まれた。


 なんとか操作できてよかった…これで応急処置にはなったかな?


 なんかライオンさんも驚いてるみたい。身体を捻って胴体を見たり肉球をぐーぱーさせて確認したり。



 可愛すぎて悶えそう。



 確認し終えたライオンさんは歩き出すと泉の中に飛び込んだ。


 飛び込んだ!?傷は大丈夫なのか!?


 あら出てきた。身体をぶるぶるさせてる。可愛い。


 聖水で消毒したのかな?


 今度はこちらに向かってきた。


 おっとぉ、不敬罪は消されなかったか?


 俺の目の前に座って大きな口を開けた。


 わぁ。とってもするどい牙ですね!今度こそ終わったか?


 ベロン!


 目を瞑っていると何者かに顔を舐められた!?まさかライオンさんが!?



『感謝する。か弱き者よ。』

「へぁ!?誰!?どなたが喋ったの!?」

『目の前におるではないか…』

「ナンデ!?ライオンさんナンデェ!?」


 コイツ、直接脳内にッ!?


『其方の持つ「念話」のおかげで我は語り掛けることができる』

『マジで!?あっ、できた!』


 心の中で語り掛けるようにすればできるみたい。


『長く生きた獣や聖獣などは「念話」を使えるようになるのだ。』

『そうなんだ。じゃあ「念話」取ってよかった!』

『…其方は何も知らずに取得したのか?』

『おう!動物と会話するにはこのスキルかなって。「テイマー」なんかも会話出来そうだけど、テイムなんかせずに対等におしゃべりできたらなって思って取った。』

『そうか…対等か…』


 そう呟いてライオンさんは笑った。


『どこか面白かった?』

『いや、動物たちと対等、なんてことを言う人間なんて初めてだからな』

「対等じゃないとライオンさんをモフモフできないじゃん」

『は?』

「あ、いや、忘れてください…」


 やべ、やらかした。素が出て念話切れた。反応が怖すぎる




『クク、フハハハハハハ!其方は実に素直で自由だ!』


 殺されることはないっぽい?


『我は其方を気に入ったぞ!名はなんと言う!』

「えと、キーチです…」

『胸を張れキーチ!』

「は、はい!」



『汝は汝の心の往くままに。自由に高貴で気高くあれ』



 そう言ってライオンさんが輝いた。


【月光獅子により『月の加護』を賜りました】




 は?



「あの、ライオンさん。」

『なんだ?』

「加護ってなんですか?」

『其方に恩恵を与えるものかのぅ』

「らいおんさんはなにものなの?」


『我は月光獅子。所謂神獣である。』


「おかしくない!?序盤で一番出会ったらダメじゃない!?」

『気にするでない。我が其方を気に入った。ただそれだけのことよ。』


 おおらかな神獣さんだね!俺はそろそろ限界だ!ついていけない!


『我を助けた褒美として何がいいか考えておったが、我は其方と共に行動しよう。なに、テイムではない。我の意思によって動く対等な関係だ!』

「本気?」

『無論。無理にでもついて行くぞ!面白そうだからな!』


 嗚呼逃げられない…受け入れるしかないのか……




 白色がベースなんだが、所々金色のラインが手足や胴体、たてがみなんかに伸びている。月の光を反射して本当に神々しいな…


 見惚れしまったが聞きたいことがあったんだ


「そういえばどうしてあんな傷を?神獣でも死にかけるの?」

『あぁ。オークの群れに襲われていた動物たちを助けに行ったのだが、若い者が逃げ遅れ取り残されておってな。それを少しばかり無理をして助けたのだが、如何せん昼間でな。我は夜でないと本調子ではないのだ。』


「でもオークでしょ?」

『そうだな。オークエンペラーが率いた群れであったな。』


「なるほどよくわかった。流石神獣。エンペラーとかよく分かんないけど、本調子でなくてもめちゃくちゃな強さなのはわかった。」


 エンペラーとか始まりの街の付近に生息してんじゃねぇよ…プレイヤーを詰ませる気か


「あと初めはめっちゃ威嚇してきたけど、この場所って人間がいちゃ不味かった?」

『いいや、我はここに傷の手当を目的として来ただけだ。威嚇してすまなかったな。流石に気が立っておった。』


 フリースペースでよかった。聖水でも実験したいんだよな



『キーチよ。ライオンさん、ではなく新たな名前を付けてくれんか?』


 なんと、お願いごとをされてしまった!


「いいの?畏れ多くない?」

『気にするでない。人間と関わることなんて滅多にないでの。呼び名がないと不便であろう。』

「えー、んじゃあ『ゲッコウ』で」

『ほう。これからはその名で呼ぶがいい!』


 機嫌よさそうなゲッコウさん。安直で申し訳なくなってくるぞ…


『もう一つ頼み事をしてもよいか?』

「グイグイ来ますねえ」

『なにせ対等だからな!』


 フフンと胸を張っているゲッコウさん。かわゆい。


「頼みとやらは?」

『うむ。助けた若いのを人間に預けたいのだが、知り合いにおらんか?』

「どうして人間に預けるんだ?」

『群れではまた襲われてしまうと次こそ殺されてしまう。我もいつも助けられるとは限らんからな。そこで人間に預けて共に成長してくれる者はいないものかと。』

「なるほどな。なら心当たりあるし聞いてみるわ」


 困った時のあの御方。まぁOKしてくれるでしょう。


「そろそろ街へ戻るんけど、ゲッコウはその大きさだと不味くないか?街へ入れなさそうなんだが?」

『問題はない。身体の大きさを変化させるスキルを持っておる』

「そっか。んでさっき話に出た若者はどうするんだ?」

『ふむ、暫し待っておれ。今連れてくる』


 そう言って森へ駆け出すゲッコウ。一瞬で消えたしやっぱステータスはバケモンだろうなぁ。


『待たせたな』


 そう言って戻って来たゲッコウは、口で小さな犬を咥えていた。

 どストライクです。


 灰色の毛並みで首周りは白銀。瑠璃色の瞳が美しい。


『コヤツの種族は「精霊狼」。聖獣である。』

「まーたすごいの連れてきちゃって…」

『名前は新たなパートナーに決めてもらおうかのう』

「アォン!」


 パタパタと楽しげに尻尾を揺らすわんこ、じゃなくて狼か。


 何も心配せずともあの子と仲良くできるでしょう。


 さぁ、戻ろうか

付いて行くつっても戦闘まではさせませんよ。

もはや愛玩用ですね

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