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 散々お気に入りの玩具を眺め遊ばれたラーシャ様は、再び廊下へとよちよちヨロヨロしながら歩き出されました。


 休憩しながらも目的を見失わないとは!流石ですラーシャ様!!って涙を人知れず流していると、ラーシャ様を見失ってしまいます。危ない危ない。それにしても、先ほどのバタバタとした足音は何だったのでしょうか?


 そんな事を考えながら着いておりましたら、いよいよやって参りました、難関の渡り廊下付近です。いつの間にかそんなに歩いていたのですね……気が多くて、直ぐに意識を飛ばして考え込んでしまう癖を早く直さなければ!!

 すぐそばには階段がありますので、わたくしが気をつけておかねば落ちてしまわれては大ごとです。

 見事、ラーシャ様に階段ではなく渡り廊下の方へと行っていただかなくては!!


「あーう。」


 何やら奇妙な声を発されて、ラーシャ様は足を止めしゃがみ込んでしまわれました。

 ラーシャ様の見据える先には階段、その少し横は王妃様の執務室へと続く渡り廊下、渡り廊下を渡らず右へまっすぐ進まれれば王子様王女様方の勉強部屋。

 わたくしと致しましては、そのまま階段も渡り廊下も目もくれずに勉強部屋へと行っていただければ肩の荷も降りるのですが……以前の脱走の際、ラーシャ様はここで捕まってしまわれたので無事だったのですよ。

 階段にいかれた場合は、首根っこ引っ掴んでお止めせねば!!等と考えながらラーシャ様の動向を伺っていたのですが、決められたようで再び立ち上がりよちよちヨロヨロ一歩を踏み出されました。

 

「かぁー……」


 ぽつりと小さな呟きをして、階段の方へと近づいていかれました。

 危ない!!と慌てて後ろにぴったりとくっつきましたが、ラーシャ様はちゃんと渡り廊下の方へと歩を進めておられました。

 しかし階段に近いため、バランスを崩されれば階段側へと落ちてしまうかもしれません。どうしたものか……そうか!わたくしが階段側へと行けば廊下へ押し戻せる!!と意を決して階段側へ行こうとした時でした……


 あれ?階段の所何で封鎖されてるの?と思わず頭の中ではてなマークが飛び交いました。いつもであれば、ここに来るまでに既に乳母か衛兵たちに保護されているのでわたくしもここ迄来たことがなかったのです。数度、この前を通った事があったので階段がある事は分かっていたのですが、バリケードの様な感じで階段が封鎖されていた事は無かったので、わたくしは驚きました。

 これならラーシャ様も落ちる事なく、安全に進めます!!誰かは知りませんが、ありがとうございます!!思わず、神に感謝してしまいました……お恥ずかしい。

 そんな興奮してはしゃぐわたくしに目もくれず、ラーシャ様はただひたすら前へ一歩一歩歩いておられました。

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