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何と言うことでしょう!!
うっかり、わたくしも転寝してしまいました……涎出てないかな……
てか、あれ?えっ!あれ!?ラーシャ様がいらっしゃいません……!!!
護衛でありながら何たる失態!!王妃様に顔向けが出来ません!!
慌ててカーテンから出ると、目の前によちよちヨロヨロ歩かれているラーシャ様の姿が見えました。
どうやら、わたくしとさほど変わらない時間に起きたようでございます。
外を見れば、明るかった空が茜色になりつつあり、そこそこの時間をカーテンの中で過ごしたことになります。
あぁ……でも、それ程の時間が経っているということは、ラーシャ様が行方不明になってかなりの時間が経っているということ……わたくしはお叱りを受ける覚悟を決めました。
わたくしの覚悟などお構いなしに、ペースは遅くともずんずん進んでいかれるラーシャ様の後を追いかけました。
しばらく進むと、ラーシャ様が必ず入っていかれる休憩スペースがございます。
そこまで広くは無いのですが、座れるようにソファが置かれ壁には国王一家の肖像画が飾られています。
こちらの棟には、客室は無くこの休憩スペースは侍女達の為に作られた物なのです。
よって、客人方には見られることのない、飾らない一家の日常が絵にされており、とても微笑ましい空間になっております。
そんなスペースに何故ラーシャ様は毎度入っていかれるのかというと……ソファの下に秘密がございます。
ソファにカバーが掛けられているのですが、そのカバーはソファの脚を隠してしまうほど長く、ラーシャ様はその隠された空間に御自分の宝物を隠されているのです。
それを毎回見るために、このスペースにやって来てソファの下にもぐられます。
というより、ラーシャ様は隠れすぎですね……
毎度の事なので、大体この辺で乳母に見つかり部屋に連れ戻されるのですが、本日はお昼寝をしていたせいで思ったほど進んでいない為か、このスペースを探しにくる様子がありません。
それよりも、先程から遠くの方でバタバタと侍女か衛兵が走り回っている音がするのですが……何でしょう?気になりますね。
※12/10にサブタイトルの番号修正しました。