転8 洞窟を出て
「う~~ん、やっぱり光はいいぜ、うぐぅ。」
ようやく緊張が解けたせいか体のあちこちに痛みを覚えた。
「ラッセルさん!大丈夫ですか!」
座り込んだ俺に慌ててルキナが駆け寄ってきた。
「あぁ、・・・大丈夫だ。」と精一杯の笑顔?を向けたつもりだが、はたして俺のこの仏頂面が笑って見えるのか謎だ。ただ、その俺の顔を見たルキナの顔は強張っていた。そして・・・・・
「なんでいつもそんな傷だらけになるの!今日だって何の為にあんな危ないとこに行ったの!自分が怪我するかどうかも考えないの!」
「す、すいません。」
いつものルキナからは想像出来ないくらい怒涛の勢いで言葉が出てきた。思わず背中を伸ばしルキナを見た。その瞳には少し涙浮かんでいる。
「あなたが自分の道を進む事を止めはしないです。でももう少し自分の事を大切して下さい。」
ルキナは今にも泣きそうなそんな顔で俺に訴えた。
「悪い。ただ、ルキナにこれが渡したくて・・・・」
「これは・・・・・?」
俺は手に入れた希望の石をルキナに手渡した。
「それ希望の石ってやつで持ってると願いが叶うんだってさ。・・・ルキナの悩み消えるといいな。」
「・・・・・ありがとう・・ございます。」
ルキナはうつむきながらお礼を言ってくれた。それは絞り出したようなそんな声だった。
「いや、少しでも元気出ればいいなって思ってさ。・・・・・どんな道を選ぶにしても俺はやっぱりルキナの歌声が好きだから。・・・・・昔も今も・・・・」
「!・・・・・知ってたん・・ですか?」
下を向けていたが一瞬で上げたルキナの顔は少しキョトンとした顔になっていた。
「いや、ずっと忘れていたんだけど、この前昔の日記をたまたま見つけて、そういえばこのブレスレッドもルキナがくれたんだよな。それもすっかり忘れててってうわ!」
今日一番の泣き顔になったルキナは俺に抱きついてきて、バランスを崩した俺はルキナを上に乗せるようにして倒れこんだ。
「ル、ルキ・・・・」
倒れこんだルキナは俺の胸でまるで子供のように泣きじゃくった。
「・・・・・・・悪かった。ずっと忘れちゃってて。・・・・・俺の無責任な言葉のせいでずっと悩ませちゃって・・・・・」
ルキナは俺の胸に顔を付けたまま首を振った。
「・・・・お二人さん、魅せつけてくれるのはいいんだけどそろそろいいか?」
忘れていた!他に二人いた事を・・・・・
俺とルキナはどっちかとなく急激に飛び起きた。
「うっ・・イテテ」「わ、私はこれで・・・・・」
ルキナは俺と顔も合わせずその場を離れて行ってしまった。
「じゃあ俺もこれで行くわ。いくら安全って言っても女一人歩かせるのは危険なんでな。」
「ありがとう・・・ございました。」
いいよとレオンは手で制止ルキナの後をゆっくり追っていった。その姿は正に威風堂々といったところだ。
「この前のアイドル科の女だよな?覚えているかな?俺ユウヤって言うんだけど・・・・」
それも一瞬のことであっという間にその堂々とした姿は崩れることになった。どっから湧いたのか突然ユウヤが現れルキナに言い寄ったもんだからレオンが追っ払いに走りだした。
「レオ~~ン、アンタの技やぱっりすげぇわ~」
聞こえないかな・・・・・
「・・・・・・お前結構大胆な奴なんだな。」
落ち着いて顔を合わせた親友はそんな第一声を漏らした。
「・・・・・お前のアフロほどじゃないな。でなんでお前とか皆が来てくれたんだ?」
「あぁそれはな・・・・・・」