転章2 気付いた気持ち
翌日彼女の苦しみを抑えた様な顔で目を覚ました俺はどこか浮かない気持ちになっていた。
なぜこんなに彼女の苦しんでいる顔が気になるのか、ホントはこの気持が何なのか自分でも分かっている。ただ、自分に自信の持てない俺は認めることが出来ないでいるだけなんだ。
・・・・そういえば小さい頃にもこんな気持になったことがあった。小さかったからそれが今と全く遜色無いかといえば分からないが、お別れした後はしばらく泣いたもんだ。
ふと昔が懐かしくなり、小さい頃の物を物色することにした。
「何かなかったかな。・・・・・おっ!これ懐かしいな。」
昔自分が書いた何かの剣の絵を引っ張り出すと一緒に一冊のメモ帳が落ちた。
そこにはまさに探して女の子との事が書かれていた。そこにはブレスレッドの事も・・・・
そう、いつも身に付けていたブレスレッドは彼女がくれた物だったのだ。ただ、小さかった俺にはブレスレッドが一体なんなのかわかっていなかった。おそらく彼女の両親が幼かった彼女が失くさないように首にかけるようにしたのだろう。それをたまたま見た俺は彼女がくれたのは首飾りの類だと勘違いしていた。お別れする時彼女からもらったそのブレスレッドには首にかけるような紐はなく俺はそれを身につける事がなかった。きっと目にする事が辛いのもあったのだろう。いつしか俺はそのブレスレッドを物置にしまってしまった。月日が経ち、そんなことはすっかり忘れた俺は偶然にもこのブレスレッドを発見したわけだ。
『ルキナちゃんにブレスレッドをもらった。まだボクには大きくて大人になった時につけてルキナちゃんが言っていた。』
『・・・・ルキナちゃんの歌はすごくきれい。いつかこの前もらったブレスレッドの事といっしょにおれいをしよう。』
そんな文を見つけて俺の中で全てが繋がった気がした。最初ルキナの名前とあの曲を聞いた時に懐かしい気持ちになったのも無理はない。正に昔に会ったのは彼女その人だったんだ。
『ぼくはルキナちゃんがすき。でももうおわか』
「きっと全部書く前に辛くてやめたんだな。・・・・・昔も今も結局同じかよ・・・・」
もう自分の気持ちを誤魔化すことなんて出来はしない。