人間上司
地球の人間の減少に伴いアンドロイドが社会に進出し10年。
10年は長い事もあり、あっという間の事もある。
安価なアンドロイド等むしろ人間より脆い。
最大の弱点は自然治癒力のなさであり、また人をもした人工知能はコピーの作成を頑なに拒否する。
人間だって自分のクローン。それも同一の記憶を持つものを作られる等考えるだけでおそろしいだろうし、
鹵簿権(アンドロイド版の人権)の観点から硬く禁止された。
それでもアンドロイドが社会の中核を担うようになった理由は繁殖力の違いが挙げられる。
アンドロイドの子は工場で作られる。
発注するといえば人間は多少なりとも嫌悪感を抱くだろうが、我々アンドロイドは工場で生まれた為普通の事として受け入れられた。
人間にアンドロイドの子を持たすことは、現時点では禁止されている。人間には自分達の人生と同じだけアンドロイドを大切にする事等できるわけがない。
当たり前だ。鹵簿権を持ち、社会参加し、生物学ではヒト科の生物一種と認められるようになったけれど、10年は生物として完全に受け入れられるには短かすぎる。
私は工場で働いている。
アンドロイドは人に似た姿をしているが、(生物学的には既に人と認められてはいるのだが)部品を取り付ける事で効率を挙げられる。
しかし専門の機械ではなく、あくまで新たな人類という面があるため、仕事に特化していない。
無駄が少ないという差に過ぎない。
私の上司は人間である。
アンドロイドの社会進出。歴史の転換期であり、上司は私の扱いに困っている。
「人間、いや君たちも人間となったわけだが我々のような人間は生物として弱ってしまった。興味のある事以外に意欲が持てずそれに伴い生産性や出生率の低下した。我々のような人間は想像以上に早く滅ぶのだろう。これからは君たちの時代なのだろう。」
上司はそんな話を聞かせる。
人間は仕事をする者が少なくなった。
外を出歩く者も少なくなった。
新しい事をなるべくさけるようになった。
そう皆が言っている。
私の上司もそれらの要素が積み重なり独身である。
私にはアンドロイドの妻がいる。世界一美しいアンドロイドであると確信している。
妻を上司に紹介した時にも彼は良い奥さんだと言っていた。
私の上司はまだ良いほうで今の人間は家族を紹介しようとしてもあってくれない事が多いそうだ。
私達も子を発注した。2人の特徴を受け継いだ新たなアンドロイド、20歳までは半年ごとに新たな体を与える。
私も子の為にしっかり働かねばならない。
アンドロイドは効率的な仕事は出来るが人間以上に繊細な体熱に弱い。水に弱い、磁気に弱い。
昔よりマシになったとはいえ弱点は多いまま、何より自然治癒しない。
それは事故だった。
事故による火災だった。
人間は治癒する。
だから大丈夫だと思ったのかもしれない。
滅びの運命に先駆けたのかもしれない。
いや子の生まれる私が死ぬ事に憐れみを感じたのだろうか。
私の上司は私を庇い炎に巻かれ死んだ。
私は涙は流れない。
我々の前の人類は30年と経たずにほとんど見なくなったが0になるには200年程度かかった。




