亡霊7
「・・・・・・」
レイラは、報酬金額が記された紙を見つめたまま黙り込む。
「俺たちのボスは娘を誘拐された後、奴らに命令された。
それ相当の金を出せば、娘は返してやる・・・と
そして金をもって一人で指定した公園に来いと奴らに言われたんだ」
髭の男は空になったコーヒカップを眺め、話を続けた。
「始めはアンタ達に敵の動向を探ってもらうはずだったんだが、状況が変わった。
敵の目的は金なんかじゃなかった・・・。ボスの命だったんだ。待ち伏せされドカン、さ
奴らには、まだボスの娘を返してもらっていない。
きっとまだうちの組織の弱みとして利用するんだろう」
そういった髭の男は悲しげな眼をしており、拳を握りしめていた。
体が震え、持っていたカップが大きく揺れている。
「・・・その報酬の金額はその為だ。危険な相手との戦いになると思う、用心してくれ」
そういうと髭の男と若い男は席から立ち上がり、コートを羽織り店から出て行った。
ドアのベルが静かになった店に響いた後、銃弾によって凹んだ黒い車が走って行った。
「・・・何とも世間は狭いもんだな・・・さて、マーレンさん倉庫に行こうか。
あと悪いんだがまた銃を貸してくれないか?」
「えぇ、いいですよ。片づけるので少々お待ちになってくださいな」
そういうとマーレンは
レイラの目の前の2つのカップをお盆にのせ、カウンターに持って行った。
「さて、と・・・」
レイラは立ち上がると、
「ほら、起きろ倉庫にいくぞ。」
牛乳片手にカウンター席で眠っていたハッシュを起こした。