亡霊5
「・・・えぇ、大丈夫です、全部ウチにありますよ。後で倉庫に取りに行きましょう」
マーリンはメモ用紙を折ってレイラに返した。
「手を煩わせてすまないな。」
「いえいえあなた達は、あたしの孫みたいなものですからね。遠慮はしなくていいんですよ」
そういうとマーリンは、両手を自分の腰に回し、ニッコリと笑った。
「そんな可愛い孫達につく虫は炙り出さないといけないですね」
マーリンは腰のホルスターから隠し持っていた2丁のフルオート拳銃グロック18cを素早く抜き、そして撃った。
バーーーーーと左右の手から放たれる9mmルガー弾は窓のガラスを突き破り、
車からこの店の中の様子を覗いていた先ほどの若い男の頬を一発かすめ、
乗っている車を容赦なく穴だらけにしていく。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴を上げながら、若い男は急いで車の下にしゃがんで隠れるが、
男の頭上をドアを貫通した弾が次々と飛んでゆく。
やがてロングマガジン2本分合計62発を全て車に撃ち込むとグロック18cを手放し、
マーリンは、手元に置いてあったリボルバー、スミス&ウェッソンM29を手に取り、
車に近ずきながらハンマーを起こす、そして引き金に指をかけた。
その時、
後部座席のドアが開き、中年の髭を生やした男が両手を頭の後ろに組んで出てきた。
若い男は今も車の中で小さくなって震えている。
「降参だ。俺たちは戦うつもりはない。あんた達に仕事の話を持ってきただけだ」
それを聞いたマーリンは引き金から指を離し銃口を下に向けた。
そして再びニッコリと笑う。
「あらあら、そうとも知らずにごめんなさいね。コーヒーはお好きかしら?」