亡霊11
三日後、
ハッシュはとあるビルの前にいた。そのビルはある大手企業の本社ビルでとても大きく
社員が次々と吸い込まれるように入り口に入っていく。
ハッシュも入り口に入り、そして会社の案内所に向かった
「すいません、見学を希望したR・ファーロング小学校の者ですが」
ハッシュはいつも通りの無表情で案内所の女性に尋ねる。
ただ一つ、いつもと違うのは、その背中に赤いランドセルを背負っている事だった。
「それじゃあ学生証を見せてもらってもいいですか?」
ハッシュはコクンと頷くと自分の写真が入った学生証を女性に渡す。
女性は写真とハッシュの顔を交互に見た後、学生証をハッシュに返した。
「はい、お返しします。それじゃあ今日一日よろしくお願いしますね。こちらにどうぞ」
そういうと女性は関係者以外立ち入り禁止という文字が書かれたドアを
自分の首にをかけていたカードキーを差し込みドアを開けた。
「それではご案内しますね。着いてきてください」
ハッシュはまた頷き、ドアの中に入った。
それから仕事場の風景、会社で取り扱っている製品の紹介など様々な場所を見学し、しばらくたった時、ハッシュが口を開いた。
「あのすいません・・・お手洗い借りていいですか?」
ハッシュが案内していた女性に尋ねる。
「はいどうぞ、そこの角を右に曲がればトイレですよ。ここでお待ちしてますね」
ハッシュはありがとうございますと呟くように言い残し、トイレへと駆けて行った。
トイレに入ると中には誰もいなく、静まり返っていた。
ハッシュはトイレの個室に入るとランドセルから小型の無線機を取り出して
イヤホンを耳につけ、スイッチを入れた。
「こちらゴースト侵入に成功した。これから目的のフロアに向かう」
「こちらエンゼル、了解。ところでどうだ?ランドセルの背負い心地は?」
「ねぇエンゼル・・・一応今年で15なんだけど・・・」
「けどバレなかったんだろ?それなら大丈夫さ」
「いやそういう問題じゃなくて・・・」
「はいはい、話は後で聞くから、
そこのトイレには通気口があって体が小さなお前なら通れるはずだ、
そうすれば誰にも見つからず近道ができる。目的地に向かってくれ、じゃあな」
無線が切れるとハッシュは無線機をポケットにしまい、
ランドセルからMP7とマガジンが入ったベストにワルサーP99を取り出しサプレッサーを装着し始めた。
「どうしてこんなことに・・・」
ハッシュは3日前の事を思い出す。