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三高生活委員カツオ  作者: けいティー
第4章 夏休み編
26/26

第26話 勝雄Ⅰ:夏休み到来

 夏休みも中盤へと差し掛かった8月5日の昼過ぎ、僕は近くのショッピングセンターのフードコートに行く。夏休み真っ最中ということもあってか、我々のような身分の人が多い。さて何故僕がこのフードコートにいるかというと、とある人物2名との待ち合わせの為である。と、自分語りしていると早速その2名がやって来た。

「いやあ、お待たせしました」

 『この間行った』とチャットで言っていたライブのTシャツを着て現れたのが、僕の保育園から中学校までの同級生その1・黒川(くろかわ)角真(かくま)、僕は「(かく)さん」と呼んでいる。僕も色白だとよく言われるが、角さんは僕よりも白い。白すぎてもう眩しいね(誇張)

「久しぶりやな!」

 そしてもう1人、こちらは角さんが着ているのとはまた違うライブTシャツを着て現れた僕の保育園から中学校までの同級生その2・五堂(ごどう)恭介(きょうすけ)、僕は「(すけ)さん」と呼んでいる。相も変わらず眉毛は繋がっているみたいだ。因みに介さんは何故か関西の方言もどきで話すが、生まれも育ちも生粋の秋田県民である。

「ツナは結構待った感じすか?」

「今着いたばかりだよ。ってかツナは英語でマグロ、せめてボニートだろ!」

「ツナのそのツッコミ、久々に聞いたけど安心感あるなあ」

 このように、僕・鹿平勝雄は一部の同級生から『ツナ』というあだ名で呼ばれている。由来は下の名前が『カツオ』だからだ。元は英語が苦手な介さんの勘違いから生まれたあだ名だったのだが、後々調べてみると『skipjack tuna』という別名があったり『カツオツナ』というものもあったりするらしく、あながち間違っていなかった。まあ偶然だろう。いや偶然だと信じたい。

「シャトルバスの時間までまだあるんすけど、どうしますかね」

「アレやるに決まってるやろ!」

「ああアレね、いっちょやりますか!」

 ということで僕たちは各々のバッグから携帯ゲーム機を取り出した。今や型落ちのゲーム機だが、これこそ僕たちの中学生時代の青春なのだ。因みにシャトルバスというのは今日のメインイベント、市内中心部で行われる七夕祭りへ行くためのバスだ。自転車でも行けるのだが、この炎天下の中を漕ぐのは流石にキツい。ここは冷房完備のバスで行くことにした。

 僕たちは各々携帯ゲーム機を向かい合わせにし、通信対戦を始める。ゲームの内容はアクションものである。勝った負けたなど一喜一憂して、今度はフードコート近くのゲームセンターに行く。ゲームの種類に関しては市内で一番の規模だ。いつもゲームセンターでは特撮作品が題材のアーケードゲームを嗜んでいるのだが、今日はやめておこう。あれはソロプレイだからな。

 折角久々に会った友人となら一緒に遊べるゲームで遊びたい。そこで僕たちはエアホッケーで遊ぶことにした。

「おりゃ、ほい!」

「ナイスゥ!」

 周りの小学生共がドン引きするレベルではしゃいでしまった。でもこれもまた良き。


「そろそろ時間だな、行こう」

「いやー、あっという間やなー」

「なかなか楽しかったすよね」

 3人で雑談をしながらシャトルバス乗り場へ向かう。乗り場はすぐそこなのであっという間に着いたが、どうやら乗客は僕たち3人だけのようだ。

 バスが到着し、早速乗り込む。クーラーが効きまくっていて最高の空間だ。ほぼほぼ空気輸送のシャトルバスは僕たちが乗り込んですぐ、祭り会場へ向けて動き出した。

「角さんは高校どう?」

「わてはご学友たちと非常に楽しい時間を過ごさせていただいておりますわ。そういえば介さん、不登校気味だと聞いたんすけど」

「ワイは何だかクラスに馴染めないんや」

「介さん一体何が…」

「いやーやっぱりツナと角さんが一番やな、ってな」

「交遊関係を広めることも大事っすよ」

「その通り、僕だって同じ中学校の奴いなかったけど良い友人が出来たし、何なら明日その友人と遊びに行く予定もある」

「ツナは高校生活を満喫してるっすね」

「おお、ええやんええやん!で、何人くらいで遊びに行くん?」

「僕と他1名」

「その1名は男か?女か?そこ重要や」

「女の子だよ」

「は?何?まさかデートするんけ?」

「ツナにはマヨがいるじゃないすか、『ツナマヨコンビ』って言われてたすからね」

「そうや!お前まさか浮気か?」

「浮気?いつ僕がマヨと付き合った?そんな事実無いぞ。まあ仲良くはしていたけどな」

「今度マヨ本人に聞いてみるわ!同じ高校やしな」

「聞いても多分同じ答えが返ってくるだけだと思うが」

 途中から会話に出てきた『マヨ』という人物、彼女の名前は山台(やまたい)万葉(まよ)。僕たち3人とは小中学校が同じだ。角さんの言っていた通り、僕と万葉は『ツナマヨコンビ』と呼ばれている。


 揺られること数分、僕たち3人のみを乗せたバスは、市内の中心部にある駅に到着した。下車すると、真夏の日差しと盆地特有の熱気が容赦なく襲ってくる。時間的には夕方だというのにこれだ。地球温暖化、いや地球沸騰化を感じずにはいられない。

 強烈な猛暑に辟易しながらも、今日はお祭りだから目一杯楽しもう。そう決めた。


 この街の七夕祭りは短冊に願い事を書いて云々、みたいなものではない。メインは灯篭だ。それも美人画が描かれている。いわゆる「絵灯篭」ってやつだ。美人画と一口にいってもいろいろある。お祭りらしく着物を着た美人が描かれたものや、大人の色気を醸し出すような裸の美人画など。まあ裸とはいえども、これは芸術の類いだから決して卑猥には見えない。むしろ美しい。

「うおお…人がいっぱいいるっすね…」

「この街ってこんなに人いたんやな…」

 角さんと介さんは揃って人の多さに驚いている。

「まあ適当に回ろうか」

 僕たち3人は祭り会場となっている歩行者天国に向けて歩き始めた。歩行者天国手前の横断歩道には警備員が立っており、お祭り感を醸し出している。こんな暑い日にお疲れ様です。

 歩行者天国にはメインの絵灯篭の他に様々な出店(でみせ)がある。僕のオススメは会場近くの精肉店で出している、ジャンボ串の出店だ。この街のお祭りでいつもいる出店で、このジャンボ串を食べるためにお祭りに行っているといっても過言ではない。僕たち3人はその出店でジャンボ串を購入、その場で食べた。

「これは柔らかくて美味いっすね」

「せやな!これならなんぼでも食べれるわ」

「介さん、今言ったっすね?」

「冗談に決まってますやん!でも美味いのは冗談やないで!」

 会場に着いてジャンボ串を食べただけなのにもう楽しい。え、メインは絵灯篭?


 さてジャンボ串を食べ終え、次に僕たちが求めたのはかき氷だ。熱々のジャンボ串を頬張った次はキンキンのかき氷。この出店にあるかき氷は雪のようにふわふわのかき氷、などそんなものはない。ガリガリの氷そのものだ。だがそれが良い。僕たち3人はかき氷の出店でそれぞれかき氷を購入する。僕と角さんはブルーハワイ、介さんはコーラのシロップを選んだ。


 その辺の隅っこに座り、ガリガリのかき氷による容赦ない脳ミソ攻撃に耐えつつかき氷を頬張っていると、僕たち3人に誰かが声をかけてきた。

「やあやあ、そこにいるのはツナ黄門御一行では御座いませんか!」

「おお、万葉!ってツナはマグロ、カツオはボニートだ」

 聞き覚えのある声、山台万葉だ。セミロングの髪に短いスカート、今日はバチバチに決めてきているな。

「その返し、まだやってたんだ」

「おおっ、噂をすればってやつやな!久しぶり!」

 意気揚々と声をかける介さん。

「噂ってなんのこと?」

「話せば長なるで」

「じゃあやめとく」

「なんやねん」

綾女(あやめ)も一緒だったんすね」

「そうだよ、みんな久しぶり!元気してた?」

 三つ編みおさげの彼女は白山田(しろやまだ)綾女。中3の2学期という中学時代の終盤の頃に転校してきた、僕たちの同級生である。現在は三城高等学校に通っている。あの赤土沖太がいる高校だ。

「元気にしとったで」

「ツナは?」

「まあ元気だよ。ってツナはマグロ、カツオはボニートだろ」

「でも『カツオ』は『ツナ』でも正解みたいだよ?」

 くそっ、対策済みだったか。ふーん、と適当に流してみる。

「わてと綾女は久しぶりじゃないっすね」

「そうだね、最近会ったもんね」

「へぇー、一緒に遊んだのか?それだったら僕たちも誘ってくれれば良かったのに」

「あ、いや違うんすよ、ちょっと高校の行事で、な?」

「そ、そうだよ。その時にちょっと話したよね」

 何だこの違和感は?角さんと白山田さんは何を隠している?

「ワイ、分かったかも」

「介さん、分かるのか?」

「当たり前や。むしろ何でツナは分からへんねん」

「どこをどう類推すれば分かるんだよ。で、介さん、何が分かったんだ?」

 期待はしていないが一応聞いてみる。

「角さん、綾女と付き合ってるだろ!恋愛マスター介さんにかかればお見通しや!」

「そんな訳ないじゃん」

 真顔で返答する白山田さん。

「惜しくも何ともないっす」

 こちらも真顔だ、角さん。

「…なんでやねん!そう言って本当は付き合ってるんちゃうんか?なあ、ワイら友だちやん。友だちにくらい教えてくれたって罰なんか当たらへんよ、な?」

 介さんは秋田仕込みのエセ関西弁で捲し立てる。

「こらこら、詮索するのはそれくらいにしておきな」

 万葉が止めに入る。

「何か言いたくない事情があるんだろう。そっとしておけ」

 僕からも追い討ちを。

「…そこまで言うならしゃーないな。でもいずれ聞き出したるで!」

「本当懲りないな…。まあこんなところでだべってないで、みんなでくじ引きにでも行くよ」

 そんな万葉の提案により、僕たちツナ黄門御一行と万葉、白山田さんはくじ引きの出店へ向かった。


 くじ引きの出店に着き、くじ引きの箱と対峙する万葉。

「何でくじ引きなんだ?」

「アタシの強運を見せつけるためよ。出でよ1等!」

 ものすごい形相でくじを引くが、残念ながらハズレ。その後何度も引いたがハズレ、参加賞のストラップばかり増えていく。1度だけ安っぽく三色発光する玩具を当てたが、

「これで1回500円とかぼったくりだな…。これは介さんにあげる」

 玩具は何故か介さんに贈呈された。別に僕が欲しかった訳でも無いが。


 こうして久しぶりに会った友人たちとの祭りの夜は更けていった。

キャラクター紹介!

(26)黒川角真くろかわかくま

所属:秋田県立湯北高等学校1年C組

誕生日:11月20日


 一人称「わて」、勝雄の地元の友人。超が付くほど色白の男子生徒。お笑いライブへ行ったり、野球観戦したりと趣味を自由気ままに謳歌している。

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