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三高生活委員カツオ  作者: けいティー
第3章 農聖王編
24/26

第24話 私たちの三高を取り戻しましょう!

「あの姿は…?石版と関係ありそうだけど…」

 四ッ谷さんは控めに呟く。

「あれこそまさにイクサヤマドリですわ。異世界アティカシアに生息し、我々エトコイ族にとって『神の鳥』とも呼ばれている鳥ですのよ」

「大鳥、もう大丈夫なのか?」

 奥から現れた生徒会長に厨川くんは問う。

「ええ、皆さんのお陰で元気になりましたわ。感謝申し上げますの」

「皆には迷惑をかけたわね、ごめん。でも醍醐にまさかあんな一面があったとは意外ね」

「クールで無関心かと思いきや、というところがあるね」

「おい」

 神代さんと土崎先生の発言が嫌であるような素振りをみせているが、内心満更でもなさそうだ。

「あ、あれ?わらわはなんでここに?」

 ダークリッキーノが爆散した地点に倒れていた土買さんが目を覚まし、正気に戻っていた。竜の因子は消滅したようだ。

「あたしが助けてやったんだから、感謝しなさいよ」

 ズンズンと詰め寄る神代さん。

「は、はあ?何言ってんのかしら」

「あんたがあたしをあんな目に遭わせたけど、あれはもうどうでもいいわ。あたしはこの通りだし。とにかく、今あんたが無事でいられるのはあたしのお陰よ、良い?」

「だからさっきから何を言いたいの?こそあどばっかりで意味不明だわ…」

 恩を着せようとする神代さん、それを見て土買さんは呆れている。竜の因子に取り憑かれている間は記憶が無いらしいからまあこの反応は当然かな。



「お取り込み中のところ、失礼するよ」

 何度も聞いた嫌な声、ゴーターだ。

「まさかダークリッキーノを撃破し、土買千亜希を元に戻すとはね」

「ゴーター、今度はどんなゲームを企んでいる?」

 厨川くんは刀を向けて問う。

「おや、ワタシのゲームを楽しんでくれているということかな。そんなに次が待ちきれないと」

「違う!」

 食いぎみに厨川くんは言う。

「そんなに熱くならないで。でも残念だけどゲームは今日で終わりだよ」

「どういうことだ?」

「勘が鋭い鹿平勝雄なら分かるだろ?」

「…なんだ、最終決戦ってか?」

「そうそうそれだよ!やっぱり君は賢いねぇ。ますます君を葬りたくなっちゃった」

 ゴーターは手元にスマートフォンを出現させた。

「実はね、最近スマートフォン向けアプリを開発したんだよ」

「それが何だ?」

「こういうことさ、変身」

 ゴーターはアプリを起動させた。みるみるうちにゴーターの姿がツキノワグマを模した意匠の怪人へと変わっていく。クマの頭部がモチーフでありながら割りとヒロイックなデザインのマスク、トゲトゲで禍々しくも胸元には特徴的な月の輪がある。

「姿が変わった…!」

「これは超強力戦闘形態・ゴーターアーマードへと変身する為のアプリ。そしてさらにもう1つ」

 そう言ってゴーターアーマードが取り出したのは、液体の入った小瓶だった。

「それって…巨大化するエキスじゃ…」

「御名答、四ッ谷ななか。これは芝童森というオリフソン星人から譲り受けたものだ。ワタシが開発したアプリを搭載したスマートフォンと物々交換でね」

「スマホと物々交換?あんた馬鹿じゃないの?どう考えても割りに合わないじゃない!」

「あーあ、神代咲。このエキスの価値が分からない君のような馬鹿は皆そう言う」

「ば、馬鹿ですって!?」

「そうすぐ熱くなるのも馬鹿の特徴だよ」

「はあ?」

「悔しいならワタシに勝ってみなさい」

 ゴーターアーマードは小瓶の蓋を開け、頭からエキスを振りかけた。

「ほう、これは凄い。力がみなぎる!」

 巨大化エキスの力でゴーターアーマードは芝童森同様に巨大化した。僕たちはリッキーノを再び呼び出す。

「農聖王リッキーノ、再び推参!」

「な、何なのこれ…!」

 空から巨大ロボットが降ってきたんだ、またしても何も知らない土買さんが驚くのも無理は無い。

「大鳥さん、土買さんのことよろしく頼むよ」

 土崎先生が指示を送る。

「分かりましたわ、さあこちらに」

 会長は土買さんを連れて避難する。

「皆、連戦だけど大丈夫か?」

 ここは先生らしく、土崎先生が他のメンバーに問う。

「はい、問題ありません」

「ななかは、大丈夫です!」

「フン、これくらい朝飯前だ」

「ええ、まだ戦えますよ」

 神代さん以外の生活委員はリッキーノに乗り込み、神代さんはイクサヤマドリへと変身した。

「神代咲、君は高所恐怖症じゃなかったか?」

「残念だけど、この姿で空を飛んでも全く恐怖心が無いのよ。まるで地面を歩いているような感覚ね。リッキーノのコックピット内でお荷物になっているより何倍も良いわ」

「お荷物であるという自覚はあったんだな」

「何よ、うっさいわね!」

 神代さんが変身したイクサヤマドリは翼の部分から鋭利な羽根を飛ばし、ゴーターアーマードへ先制攻撃を仕掛ける。

「この程度!」

 ゴーターアーマードは大剣を召喚、羽根を全て弾き返した。

「次はこっちだ!」

 僕たちはリッキーノで、ゴーターアーマードの背後へ回り込み、超稲(イネカルン)刈鎌(スラッシャー)を振るう。

「甘いね!」

 背後からの攻撃にもしっかり対応するゴーターアーマード。大剣と大鎌がぶつかり合い、激しく火花を散らしている。

「はあ!」

 リッキーノの薙ぎ払いを回避し、ゴーターアーマードは飛び上がった。

「遅いな、熊の太刀!」

 勢いよく大剣が振り下ろされ、防御が間に合わなかったリッキーノはダメージを受ける。コックピット内も大きく揺れた。

「もう終わりかな?」

「まだよ、ヤマドリファイア!」

 ゴーターアーマードの背後にいたイクサヤマドリは、ゴーターアーマード目掛けて火炎攻撃をする。少しは効いたようだ。

「うるさいハエだな!」

 しかしゴーターアーマードの勢いは衰えず、イクサヤマドリを大剣で薙ぎ払った。

「神代さん!」

 イクサヤマドリはバランスを崩し、地面に叩きつけられてしまう。

「他人の心配をしている暇か?」

「ああ、神代さんは僕たちの大切な仲間だからな」

「仲間ねえ…、そうだ。新しいゲームのアイデアが思い浮かんだよ」

「ゲームは今日で終わりじゃなかったのか?」

「うーん、厨川醍醐。行間を読んでくれ。ワタシは君たち相手のゲームを『今日で終わり』だと言っているんだ。君たちを倒した後に新たな相手とゲームをするさ」

「こ、これ以上、好き勝手にさせません!」

 恐怖からなのか、やや震える声で四ッ谷さんは言う。

「そうだねえ、君たちにこれ以上好き勝手にされてもらっては困るからね。さっさと決着をつけよう」

 ゴーターアーマードは大剣で連続攻撃を仕掛ける。こちらのリッキーノも大鎌で対抗するが、歯が立たない。防戦一方である。

「くっ、そろそろ、まずいです…」

 度重なる攻撃によるダメージが蓄積され、リッキーノがSOSを訴えていた。

「まもなく終わってしまうねえ…」

 大剣を携えて、ゴーターアーマードは尻もちをついているリッキーノの元へ迫る。

「このままじゃ…」

 操縦桿を強く握りしめる四ッ谷さん。

「諦めてはいけないよ、きっとまだ勝機はある!」

「土崎先生、これのどこに勝機があるんですか?」

 特撮やアニメの正義の味方ならば、この絶望的な展開からの奇跡が起きて大逆転勝利、というのはあるが、これは特撮やアニメなどではない。自分がこの目で見て体験、経験しているノンフィクションである。奇跡など起きるはずが無い。

「うっ…くっ…」

 リッキーノは体から火花を散らして尻もちをついている。そこへ容赦なく近付くゴーターアーマード。

「さようなら、生活委員会さん」

 大剣が振り下ろされ、僕たちはゴーターアーマードに敗れ去った…。かに思われた。


「うおおお…」

 ゴーターアーマードの胸部に風穴が開いている。何か貫いたような光が見えた気がするが、一体どういうことだ?しかしゴーターアーマードは苦しみながらも穴を修復しようとしていた。

「今がチャンスだ、行くぞ!」

 満を持して厨川くんが高らかに声を上げ、僕たちは操縦桿を握る。リッキーノは僕たちの思いに応えるかのように、ボロボロになった機体にムチを打って立ち上がり、ゴーターアーマードに一撃かました。

「みんな、大丈夫?」

 ゴーターアーマードに風穴を開けたのは神代さん、もといイクサヤマドリだった。

「神代さんこそ、大丈夫ですか?」

「会長さんのお陰ね、また助けられちゃったわ。ってかリッキーノ、あんたこそ大丈夫?ボロボロじゃないの」

「大丈夫ですよ…」

「どこが大丈夫よ!まあでも安心して、会長さんからお裾分けあるから」

 イクサヤマドリはリッキーノの頭上へ移動し、激しく翼をはためかせる。すると何ということだろう、リッキーノの機体が完全な状態へと戻っていったのだ。マジで会長何者なんだ…。

「ありがとうございます、神代さん」

「礼なら会長さんに言って。まずはアイツ倒すよ!」

「何勝手に盛り上がっちゃってるんだ?ワタシも交ぜて欲しいなあ!」

 大剣を持って、ゴーターアーマードはこちらに向かってくる。こちらも迎え撃つべく武器を構える。

 大きな衝撃音と共に、再び2体はぶつかり合う。イクサヤマドリも掩護射撃でリッキーノをサポート。

「くそっ、体の修復に使ったからか、上手く力が入らない…」

「僕たちの高校を荒らした罰だ!」

「うるさい!黙れ黙れ黙れ!」

 ゴーターアーマードは大剣からエネルギー波を、見境なく飛ばしてきた。

豊作盾(ハーベストシールド)!」

 しかしここはリッキーノ、盾を装備して防ぎ、イクサヤマドリは俊敏さを活かして上手く回避した。力を使い果たしたのか弱っているように見える。今がチャンスだ。

「バーニングバードストライク!」

 炎を纏ったイクサヤマドリが炎の矢となってゴーターアーマードを貫いた。

「私たちの三高を取り戻しましょう!皆さんご唱和下さい、新米の一撃!」

「「「新米の一撃!」」」

 厨川くん以外の技名唱和によって、超強力な鎌の一撃が決まった。ゴーターアーマードは最後の力で技を放とうとしたみたいだったが、こちらの鎌の方が早かった。

「ぐおおお…、そんな、ワタシがゲームで負けるとは…」

「負けを認めるんだな?」

「フン、鹿平勝雄、君は面白い奴だよ。でもこの先に待ち構えるゲーム、君は攻略出来るかな…?ハハハハ…」

 ゴーターは砂となって消滅した。僕たちはリッキーノから降り、仲間と勝利を分かち合う。遂にゴーターを倒したんだ。そこへ怪しげな謎の男が現れた。フードを深く被っていて、顔を伺い知ることは出来ない。

「まさかゴーターに勝つとはね…流石だよ。彼の実力は本物だったんだが」

「あなたは一体…?」

「いずれ会うことになるだろう。その時には君たちの敵…かもしれない」

 そう言って姿を消した。ゴーターを倒しただけでは全て解決していない。むしろここからがスタートなのかもしれない。


 まあとにかくボスは倒した。そしてそんなボスを倒してから幾日か経過、夏休み前期補習が終わり、遂に本格的な夏休みに突入した。

キャラクター紹介!

(24)イクサヤマドリ


 異世界アティカシアに生息するヤマドリ。この鳥の石版の力で神代咲はイクサヤマドリの力を宿して生き返った。戦いにおいて神代咲自身がこの鳥の姿に変身し、戦うこともある。

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