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三高生活委員カツオ  作者: けいティー
第3章 農聖王編
21/28

第21話 容姿端麗、品行方正、成績優秀

「あたしは神代咲。容姿端麗、品行方正、成績優秀、3拍子揃った女よ。みんな、よろしく」

 あたしの中学デビューはこのセンセーショナルな自己紹介から始まった。

 あたしが通っていた小学校は1学年1クラスの田舎の小規模校、そんな事情もあってあたしには「ライバル」などと呼べる人は居なかった。勿論あたしが容姿端麗、品行方正、成績優秀過ぎて並ぶ相手がいなかったんだけどね。そんな訳であたしは何においてもスクールカースト上位、通信簿はオール5(勿論5段階ね)、学校中の男子にモテまくり、とオールマイティに出来ちゃうからあたしは人気者、周りにどんどん人が集まっていつの間にか派閥を形成していた。


 そして始まった中学生活。あたしは人気者間違い無しのポジショニング、かと思いきやそうはいかなかった。長いサラサラな黒髪を靡かせて校舎の廊下を闊歩する1人の女子生徒、同じ派閥だろうか、周りにはいかにも意識高い感じの女子がいた。この黒髪の女子はあたしと同じクラスの土買千亜希。本当はあたしのところへ流れてくる人気が、この女のせいで雀の涙ほどになってしまっていた。

「咲、おはよう~」

 あたしは聞こえないふりをして通り過ぎた。悔しいけどあの女は容姿端麗、品行方正かどうかはよく分からないけど前者は認めざるを得ない。でも成績優秀なのはあたしの方ね。


 中学校に入学してから初めてのテストを迎えた。テスト問題は楽勝、見直ししても時間が余る。でも見直しし過ぎるのも悪くないから、あたしは油断せずに最後の最後まで見直しをする。ふとあの女の方を見てみる。勿論カンニングだと疑われない程度にね。

 見てみたらまあびっくり、頭をカクンカクンさせながらあの女は寝ていた。随分と余裕そうね。まさか全問正解の自信アリってやつ?

 中学校のテストは国語、数学、英語、理科、社会の5教科。あたしとあの女は5教科共に時間が余った。でも全ての問題を解き終わってからの時間の使い方が違う。あたしの方が随分と有意義、今回のテストの学年1位は貰った。

 テストとテスト返しが終わり、成績通知表が配られる。教室内は「あの教科は良かった」、「この教科はお前に勝った」、「テストの点数低すぎて親に怒られる」などなど、耳をすましてみれば様々な声が聴こえてくる。案の定、あたしは学年1位だった。当然の結果ね。

「えー!土買さん2位なの!?誰だろ1位は」

 あたしなんだよなあ。まああまり関わりたくないので黙っていることにする。

「私も土買さんが1位だと思った。でも凄いよ2位も!」

「フフッ、ありがとう~」

 あの女は笑顔を見せる。負けているくせにあの笑顔、腹が立つ。ん?今こっちを見たような気がしたけど、気のせいだろうか。


 その日の放課後、あたしはあの女に話し掛けられた。

「神代さん」

 無視して立ち去ろうとするが、あの女は話を続ける。

「今回のテスト、学年1位は神代さんでしょ?」

「だから何よ」

「やっぱり、わらわの予想は当たってたみたいね~」

 一人称「わらわ」ってどこの平安貴族よ。

「あたしが1位だけど何?」

「神代さんのテスト勉強法を知りたいんだけど~」

「別に何もしてないし」

「何もしてないならこんな良い成績取れないでしょう?」

「あたし急いでるから」

 そう言い残してあたしは半ば強引にその場を去った。あの女は「敵」、敵に易々と手の内を明かす訳にはいかない。


 そしてまたテストの季節となった。今度は1学期の期末テスト。油断していたらあの女に負ける。そう思い、寝る間も惜しんで勉強をした。あの女は2位、しかもあたしとの点差はわずか1点。現状ではほぼ互角の実力といったところ。今回のテストで出る場所をしっかりおさらいして…。


 テスト当日、あたしは体調を崩した。テスト勉強中心の生活で睡眠時間を極限まで削ったことが祟ったのだろう。

 後日テストを受けることが出来たが、いまいち調子が出なかった。結果として学年2位に終わった。調子が出なかったと思っていたが、案外健闘したと思う。先程配られた成績通知表に載っている順位を見て、そっと閉じた。またあの女の周辺で何やら騒いでいる。

「学年1位、おめでとうございます」

「今回はお姉様が学年1位、素晴らしいですわね」

 あの女を囲っている女子生徒たちの口調が変わっている。まるで育ちの良い金持ちのお嬢様を相手にしているようだ。あの女への対応を変えるほど、彼女たちを突き動かす何かでもあったのだろうか。

「みんな、ありがと~」

 あの女はまた腹の立つ笑顔で応対している。

 今回のテストの敗因は何といっても体調不良。あの女とフェアに戦えなかった。今に見てなさい、神代咲が学年1位を奪還するんだから。


 この日の放課後、またあの女に呼び止められた。以前と全く同じシチュエーションだ。というかあの女もあの女、何故明らかに自分を嫌っているであろうあたしに話し掛けるのか。その図太いメンタルの根源は何なのか。少し気になってしまう。

「神代さん、体調はもう大丈夫なの?」

「大丈夫だから学校に来てるんでしょうよ」

「わらわに歯向かう元気がある辺り、完全回復したみたいね~」

「…」

「ところで、今回のテストはどうだったかしら?」

「…あんたには関係無いでしょ。学年1位のあんたにはね」

「別に順位を聞いてるんじゃないの、コンディションがどうだったか聞いてるの」

「コンディション?まあ案外良かった。これで良い?あたし用事あるから」

「今日は生活委員会無いはずでしょ?」

「は?あたしの用事が委員会だけだと思ってるの?」

「思ってるわよ~」

 何だこの最高にムカつく言い方は。

「それにさ神代さん、あなたわらわに嘘ついてるよね?」

「…」

「図星みたいね。本当は用事なんか無いんでしょ?」

「…だったら何?」

「神代さん、あなたの噂はわらわが小学校の頃から聞いてたわ。何でも勉強もスポーツもこなす美人で完璧な小学生がいるってね」

「え?」

 あの女が通っていた小学校はあたしの隣の学区。あたしってそんなに有名だったのか。

「同じ中学校になるっていうからどんな人なのか楽しみだったけど、案外小物だね~」

「小物…?」

「振るまいが残念。勉強もスポーツも出来て、尚且つ美人で、自分が一番偉いと思ってる」

「何あたしのことを分かったように言ってんの?」

「自分では気付いてないと思うけど、ちょっとした言動から滲み出ちゃってるんだよね~」

「それはあんたのことじゃないの?」

「わらわはそんなことしない。その証拠にわらわの周りには慕ってくれる女子たちもいる」

「あんたの操り人形になる為の洗脳でしょ?」

「ちょっと神代さん、その発言撤回しなさい!友達を悪く言うのは見過ごせない!」

「本当に友達?まあいいや。ってかあんたは何で成績通知表が配られた日に話し掛けに来る訳?普段は全くあたしと喋らないくせに」

「話の切っ掛けが欲しかっただけよ。でもあなたはわらわのことを一切相手にしてくれない。まともに相手してくれたのは今日が初めてじゃないかしら」

 あの女は思い出したかのように続ける。

「話題が逸れちゃったけど、さっきの発言、撤回しなさい!」

「する訳無いでしょ」

「なるほど分かりました。咲ってそういう奴なのね。わらわはあなたのこと、心の底から嫌いになりました」

「それはこっちのセリフよ。それと次のテスト、あんたをぶっ潰してみせる」

「ふーん、わらわが学年1位になったからには簡単に王座を明け渡す訳にはいかないわ。あなたは万年2位よ」

「フン、余裕なのも今のうちだから」

 あたしは足早にその場を去った。こうしてあたしとあの女の因縁が始まった。


 その後のテストはというと、あたしとあの女が交互に学年1位になるという、まるで日本の歴史における桂太郎と西園寺公望が交互に内閣総理大臣になる「桂園時代」宛らの状態が続いた。

 そして何の因果か、結局あの女とは中学3年間同じクラス、さらにさらに受験した高校も同じだった。流石に高校ではクラスが別々になると思いきや、またクラスが同じだった。あたしは呪われているのだろうか。嫌いな奴に限ってあたしの周りにずっといる、もうストレスでしか無い。


 そして今、あたしはあの女と戦っている。これは定期テストの点数争いではない、正真正銘命を賭けた戦いをしている。先程は死能銃(フォースマグナム)炸烈弓銃(ブルームボウガン)を用いた戦法で戦っていたが、現在は邪川刀(じゃせんとう)悪勝剣(ビクティソード)を用いた二刀流で醍醐と勝雄を相手にしている。あたしたちの武器と色違いのそっくりな武器を出してくるのが気に食わない。

 あたしとななかはあの女が召喚したオリフソン兵5体との戦いの真っ最中だ。芝童森との戦いでオリフソン兵と戦ったが、その時よりも明らかに強く感じる。あたしの咲裂弓銃(ブルームボウガン)にかかれば一発でオリフソン兵を撃ち抜けたはずが、かなり防御が硬い。ちょっとやそっとでは倒れなくなった。

「前より強くなってるよね…?」

「ななかもそう思う?あたしもよ」

「何とかならないかな…」

「ななか、この間のアレは?」

「集約弾?ここじゃ危なくて使えないよ」

「あたしの咲裂弓銃で何とかなれば…」

『なるよ』

 ここでタイミング良く土崎先生からの通信が入った。

『ダイナミックアローだ』

「ダイナミックアロー?」

『既に咲裂弓銃に内蔵してある。神代さんが「発動・ダイナミックアロー」と唱えれば使える』

「分かりました!発動・ダイナミックアロー!」

 あたしの命令を受け入れた咲裂弓銃の矢の部分が光輝いている。

『ダイナミックアローは反動が凄いからね、少なくとも2人以上で使うように』

「了解、いくよななか。あたしの後ろを支えて!」

「うん!」

 あたしが咲裂弓銃を構え、ななかが後ろからサポートする体勢になった。

「でもどうやって当てるんですか?」

『ダイナミックアローは敵を自動で追従する機能が搭載されている。適当に撃っても問題無い』

「だったら適当に撃つ、発射!」

 あたしが放った矢はオリフソン兵5体の身体を貫き、あの女の方へ向かっていった。

 あの女の方から大きな爆発、そして土埃が晴れるとダメージを受けて膝をつく姿があった。

キャラクター紹介!

(21)赤土沖太あかつち おきた

所属:秋田県立三城高等学校1年2組

誕生日:7月21日


 一人称「オレ」、赤髪ツンツンヘアーの男子生徒。勝雄たち生活委員会に敵意を示しており、「邪魔者」である彼らを倒そうと企んでいる。その為にゴーターと協力していたこともある要注意人物。

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