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勇者パーティーの初クエスト!?

俺たちは、メンマを加えまた再びやってきたのはあのトロールのいる森だ。


今回が期日の最終日ということもあり、村人からの信用的にもここで負けるわけにはいかない。これでも一応勇者と思われてしまっているから。


もちろん俺は夜逃げを提案したのだが、フィレンの悪党心というやつで反対された。こちとら目が見えてなかったとはいえ、トロールに踏み殺された身だ。流石に腰がひけるというものだ。


しかし、前回とは違い俺たちのパーティーには、最強の魔法使いが・・・


「わ、ワタシ、森は嫌いなのだ」


・・・


自称最強(笑)の魔法使いであるメンマが加入したのだ。


俺が意図した結果ではなかったが、死んだお釣りとしてこの世界に来たんだ、どうせなら活躍してもらってなんなら魔王すら一瞬で倒すくらいの実力を期待しているんだが・・・


「さ、そろそろ来るわよ!」


フィレンのその声で、一気に場の空気が引き締まる。


ドスンッと、響く振動とともにまたしても現れたトロールに、前衛はモナ、中間に俺とフィレン、最後尾にメンマという役職的に考えれば一般的な配置で迎え撃つ。


前回でモナが戦闘中は身動き取れないことを考えれば、その分の火力をメンマに出してもらうしかない。少なくと短剣の俺は、この大型モンスター相手には何もできないと考えておいた方がよさそうだ。


「プ、『プロテクション』!!」


前衛のモナが魔法を発動すると、その見た目はやはりふざけた不細工なウサギの被り物に変化した。


「あ、あとはみなさん頼みました。お、終わったら起こしてください・・」


「『ライトニング』!」


フィレンは両手を突き出し、マンイーターをワンパンした時と同様の、ビームのような閃光が相手めがけて放たれる。


モナのタンク‥というよりもサンドバックとしての効果は絶大で、今だ効果力であるはずのフィレンの攻撃をうけても、その視線は変わらずもモナに釘付けだ。


攻撃を受けた腹いせなのか、怒ったトロールは高くこぶしを引くと、目にも止まらなむ右ストレートパンチでモナを攻撃する。


・・・が


モナの被り物は金属を金属でたたいた時のような音を出しはしたものの、へこむことすらなく傷つかずにただそこにあるだけだった。


「ナ、なんですか!?嘘です、嘘です!眠ってないですよ、ちゃんと起きてるので暴力はやめてくださいソウタさん!」


「お前の中の俺がどういう扱いなのかよくわかったよ!」


この野郎、自分は安全だからって命がけの俺をDV気質みたいに言いやがって・・!


「メンマ、準備はいい?」


「あ、あぁ。任せろ!!」


魔法に関する知識のない俺でも、一瞬にしてわかるほどに周囲の空気がぴりつくのを感じた。


その原因は間違いもなく、俺の後方で身構え詠唱を始めたメンマの影響だ。


メンマを中心として風が吹き、ゴゴゴとどこからか音がしている。


力を集めるように目を固く閉じていた瞳をカッと見開き手を突き出すと、太刀が出てきた。


細い腕体よりを大きい太刀を持ったメンマは気まずそうにこっちを見て動かない。


・・・あれ、遠距離じゃないの君?


「おい、それじゃ遠くから攻撃してくれ!」


「わ、私の得意魔法は範囲攻撃なのだ!だからみんなが退いてくれないと当たっちゃうのだ!!」


範囲攻撃?なるほど。それなら声から敵に囲まれたりしても一掃できるしあいつ、意外に使えるのかもしれない。


「おいフィレン、下がれ!!メンマの攻撃がくるぞ!」


俺の指示を聞いてチクチクと攻撃を与えていたフィレンは下がってくる。


そのかいあってか疲弊しているトロールの目の前にメンマは立つ


そのたたずまいはまるで魔王やドラゴンに一人で挑む戦士のような勇敢さを感じる背中だった。


「いけ!!」


つい俺も声高々に声援を送ってしまう。


メンマは腰を低く落とし、足に力を籠めると、両手にある太刀が赤いオーラをまとって・・


「『コンバーション』ッ!!」


ゴウッ!!と太刀の後を追従するようにして横に大きく炎が広がって・・ギリギリトロールには当たらなかった。


「「・・・え?」」


俺とフィレンは目の前でカッコよく空ぶったメンマに素っ頓狂な声を上げる。


トロールもとんでもない魔力に身構えていたので何が起きたか呑み込めず気まずそうにしている。


相手にすら同情されてんじゃねーか・・


そう思うのも束の間。隙を見つけてはトロールは目の前の小さなメンマにこぶしを振り落とした。


危ない、と声を出すほどもないその攻撃は・・!


謎のバリアのようなもので防がれた。


その衝撃で手を痛めたのか、ひるんだトロールは体をやや上向きにそらしてしまう。


それを見たメンマは一気に駆け寄ると、相手の大きな太ももを足場にぴょんと宙に浮く。


空中でトロールに対面したメンマは、また再び腰を落とし、大きく太刀を横払いする。


「『コンバーション』!!」


ジリジリと音を立てながら、トロールの巨体はメンマの太刀に焼き切られ、うめき声を上げながら、倒れていった。


メンマの魔法の影響か、森の木々を倒しながら崩れていったトロールはやがて灰となり、その灰は風に流れていった。


チリチリチリという音を背に立つメンマ


「お、お前・・」


「どうだ!私の力思い知った」


「逃げるわよ!!木が燃えてるわ!!」


・・・俺たちは必死に火が広がりだした森を命からがら駆け抜けた!


「ァ、アノ!終わりました?な、なんだかあ、熱いです!!だ、誰か!!誰かあぁぁあー!」


モナの声は俺達には届かなかった・・

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