表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/31

第29話◆シリウスと

「……さ、みさ」


 ん? 優しい誰かの声がする。けど、まだ寝ていたいな……


 そう思いながら目を開けると、目の前にシリウスが居た。


 え?


 私が驚いて声も出せずにいると、シリウスはニコッと優しく微笑み、私の頭を撫でた。


「シ、シリウスっ!? え? え?」


「ふふ。驚いた?」


 シリウスは悪戯っぽく笑う。


「うん、びっくりした。目を開けたらシリウスが横に、ベッドの中にいるんだもの」


 ってことは、私、いつの間にか寝れてたんだ。窓から外を見ると明るくなっている。


「うん、昨日の夜、母にみさが精霊の娘だったっていう話を聞いて、いてもたってもいられなくって、来ちゃったんだ」


「そか、話聞いたんだね。ん? でも、何でベッドの中に? 起こしてくれたら良かったのに」


 そう言うと、シリウスは照れたように


「い、いや、もう深夜だったしな。って、みさの寝顔が可愛くてついベッドに潜り込んじゃった……なんて、ごめんな驚かせて」


 シリウス、慌ててる。まぁ、でも心配かけたよね。精霊の娘だし、このまま人間で居ると寿命があと15年位だって聞いたんだと思うし。シリウスはどう思ってるのかな?


「ううん、本当は心配してくれてたんだよね? ありがとう」


 やっぱり、シリウスの側にいたいな。お母様と一緒にいたい気持ちもあるけど、私が精霊になっちゃうと、地球の家族にももう会えなくなっちゃうし、そんなのは嫌だな。


「みさ、何を考えてるの?」


 考え込んで下を向いてしまっている私に、シリウスは心配そう。


「何でもないよ。大丈夫!」


 笑顔を作って笑って見せる。でも、シリウスにはお見通しみたい。


「無理するな。抱え込むなよ? 俺がいつだって側にいる。離れててもこうやって直ぐに来るから」


 そう言いながら、私を強く抱き締める。自然と涙が溢れる。気持ちが溢れて言葉が止まらなくなる。


「シリウス、私、もうどうしたら良いか分かんないの! お母様にせっかく会えて嬉しい気持ちは勿論あるけど、精霊だし、私まで精霊でっ、人間かどっちかなんてそんなのっ」


 けど、そこまで言って何も言えなくなっていた。ただただ、シリウスの腕の中で泣きじゃくる。どうしたら良いか、どうすべきかなんて答えなんて直ぐ出ない。


「みさ、辛いよな? 俺は正直、みさには人間になってほしいし、その為だったらなんだってする。でも、本当の親にやっと会えて、そこで選べなんて酷だよな」


「うん、選べないよ。どうしたら良いか今すぐには答えも出せない。それにまだ学校も卒業してないから、もう少ししたら帰らないとみんな心配するし……とりあえずは帰って考えてみるね」


「そうだな、ゆっくり、考えてな? どんな選択をしても、俺はずっとみさの事想ってるよ」


 シリウスはずっと抱き締めて撫でてくれてる。


「シリウス、ありがとう」


「俺は何があってもみさの味方だからな。それだけは覚えておいて? と、明日帰るんだろう? 今日は二人きりで過ごそうな?」


 優しくそう言うと、シリウスは私にキスをする。甘い甘いキスだった――







ご覧いただきありがとうございます。


シリウスは今すぐにでもみさを人間にしたいって思ってます。でも、みさの事を考えると無理には言えないですよね。好きだからこそ悩むのです(*´-`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ