↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
79/174

講和会議① 講和の話はホントだった

「我ら魔王軍と、貴方が所属する王国とは停戦状態にあります」


「……は? それをオレに信じろと?」


 正直信じられない。


 だが後ろを取られている以上、どのみち安易に動けない状況ではあった。

 仮にそれを脱しても、こいつとやり合う体力は残ってない。


 それに、つくならもっとマシなウソをつくだろう、とも思える。

 砦の誰かを人質に取る手もあるだろうし……。


 オレがそう迷うのを読んでいたのか、奴は停戦状態を告げたきり黙ったまま。



「まあいい。

 王都から知らせがあるまで、あんたらはこの砦に拘束させてもらう」


 オレはバルドロールの話を信じることにした。


 そして砦の兵を呼んで状況を説明。

 呼ばれた兵は2体の身柄を拘束、砦へと護送していった。




「この!!!!! 寄生虫野郎がぁああぁあ!!!!!」


 一息ついたところで、勇者が叫びと共にオレに斬りかかってきた。


 だけどすんでの所で変形した翼の先端がその腹をつき、奴は吹っ飛ばされる。


 確か、オレが来た時にはかなりズタボロにされていたはず。

 だけど自分で魔法をかけたのか、普通に戦える程には回復していたようだ。


 奴の苦し紛れに振った剣が、オレの神鋼の翼をたやすく切り裂いていた。

 それもいつもの武器じゃなく、その辺に落ちてる普通のやつじゃねーかよ。

 化け物が。


 こんなんだったら、途中で参戦してくれれば楽だったのに。


「もうあの魔物との戦闘は終わってるぜ。

 どさくさでオレを切るにしても、タイミングが遅すぎじゃないか?」


「うるせえ!!! 俺がアイツをぶっ倒して名誉挽回するはずだったんだ!!!

 それをテメエが、テメエが邪魔しなければ!」


「にしてはボロボロだったじゃないか」 


「そ、それは、油断させるための……そう!

 油断させるため敢えて攻撃を受けてたんだ! それをお前、邪魔しやがって!」


「邪魔なのは貴方ですぞ、壮五殿」


 不意に、オレと勇者とのやりとりに誰かが割りこんでくる。


「私はこの砦の管理を任されているガシェットと申す者です。勇者修どの」


「なに言ってやがる!!!! 勇者は俺様だあぁぁ!」


「壮五殿は我々を見捨てて逃げようとなさった。

 他の誰がどう呼ぼうと勝手だが、少なくとも我々は貴方を勇者とは呼ばない」


「あの、自分も普通にシュウと呼んでもらえれば、それで」


「そうですか、ではシュウ殿……ところで、他の方々は」


「ああ、自分だけ一足先に来たのです。

 仲間は村人と共に夕方頃に到着すると思います」


「おお、あのウワサの翼で飛んできたのですな。

 村人のことは聞いておりますよ。保護する準備はできております」


「おい!!! てめえ!!! さっきの言葉、撤回しろ!」


「ではシュウ殿、皆が到着するまで、こちらに……」


 勇者壮五が後ろでなにかをわめいている。

 だけどオレたちが振り返ることはなかった。



 夕方。


 レンたちが村人と共に到着した。

 オレは状況の説明をおこなう。


「講和ねえ……。ちょっと信じられないけど。

 知らせが届くのを待つしかないわね」


「でもアンタ、敵幹部の2人はもう捕らえてあるんでしょ。

 だったら勝ったも同然じゃない?」


「いや、魔王の復活がホントなら、まだどうなるか」


 もしそうなら、いつ戦況をひっくり返されても不思議じゃない。


「でもまあ、とりあえずシュウにいが無事で良かったよ。

 リタねえも心配してたんだよ」


「いえ! わたしはその……」


「ゴメン、心配かけて。

 まあでも、講和なんて関係なく、こんな危ないことは今回限りだと思うよ。

 正直もうこんなのはこりごりだよ」


「そう……ですね! それに、わたしもがんばります!

 もしまたこんなことになっても、勇者さま1人だけ戦わせないように……」


「ああ、いや、まあ。

 オレは、こんなことに巻き込まれないようにがんばるつもりだよ」


「はい! そうですね!」




 次の日の昼。

 こちらの問い合わせと入れ違いで、王都から緊急連絡が届く。


 講和の話は本当だった。

 連絡によると魔王が直々に王都に現れ、王にじかに提案をしたらしい。


 その後やつは一旦住処へと帰還。

 3ヶ月後に文官とともに王都へ再び訪れるようだ。


 一体なにが起きたんだろう?


 例えば、連中は兵力を封じ込められ戦意を喪失。

 なので魔王自ら出向いて講和の提案をして王がそれに応じた、とか。


 そう考えると、一見筋は通っている。


 だけど、色々細かい違和感もある。

 判断するには材料が足りない。



 結局オレたちは、避難していた読書会のメンバーと共に王都に帰ることになる。


 村人たちは一旦砦で保護されることになった。

 講和の内容によっては村を放棄することになりそうで、微妙な立場のようだ。


 また勇者を含めた他の転生者も、まもなく引き上げることになった。

 これは講和が失敗に終わり、魔王が王都で暴れた場合に備えてのものだ。


 正直、再戦なんて勘弁して欲しいが。



 帰る直前、バルドロールと話す段取りをつけてもらう。

 どうしても確認したいことがあった。


 それは『講和まで全て、バルドロールの策謀通りだったのか』

 だが、奴はそれを否定した。


「魔王様がご自身でお動きになられた上は、私の策謀など無価値なのです」


 そんなことを誇るように語るバルドロール。

 鑑定眼で視る限り、ウソをついてると判断できるステータスの乱れはなかった。




 オレたちは馬車に乗って2週間後に王都に帰ってきた。


 そこで待ち受けていたのは、大破して修復中の城門。

 戦闘があったと話には聞いてたけど、まさかここまでヒドいダメージを……。


 全壊に近い城門を横目に見ながら街に入る。


 中はもっとヒドいことになっているかと思ったが、そうでもなく。

 王都の住人全員と見まごうばかりの大勢に出迎えられた。


 まるで、オレが魔王を倒したかのような騒ぎだ。

 まさかホントにそういうことになってるんじゃ……。


 とりあえず一旦城に入ったあと、そこからこっそりレンの店へ戻った。



 その店前で待ち構えていたのは龍介。

 彼から詳細を聞かせてもらう。


「なんだよ。

 実質、人間は魔物に降伏したってことじゃないか」


 てか、魔王が直々に王都に1人で乗り込んで来たって、どういうことだよ?

 しかも千人以上の犠牲者が出て、傷つけるどころか足止めもできなかったって。


 それって何次郎って話だ。


 バルドロールの言っていた言葉の意味を理解した。

 1人で大軍を相手にできる奴に、策なんて必要ないわけだ。



 でもそれにしては、王都が随分と和やかな雰囲気だな。

 魔王に降伏したら、もっとヒドいことになると思ってたが。


 それにあのオレたちへの大げさな出迎え。


 龍介に聞くと、どうやら王侯貴族たちと教会は、

 『勇者が魔王軍幹部を退けたから講和に持ち込むことができた』

 という筋書きを用意したらしい。


 『魔王1人に降伏を余儀なくされた』という不名誉を隠すために。


「それにしても、正直気に食わないな。

 特に、全部勇者壮五のおかげになっているのは。

 オレたちだってがんばったのに」


「なにを言っている?

 連中が神輿として担ぎ上げようとしている勇者は、お前のことだぞ?」


「……は? なんだそれ!?

 そりゃあ、もっとヒドい話じゃないか!」


「まあ、とにかくだ。直に正式な講和の条件が提示される。

 そして今後どうするか我々で話し合いが行われ、お前も参加することになる」


「な! なんでオレが」


「当然だ。

 お前はなにしろ、魔王軍幹部を倒しているのだからな」


「なに言ってんだ。

 だいたい、止めをさすまえに横やりが入って倒し切れてないんだって」


「だとしても、それがなければお前が勝っていたのだろ?

 その性格だと参加したくないのだろうが、あきらめろ」


 彼は、伝言は果たしたと言わんばかりに去っていった。

 ああ、こんなことに巻き込まれるなんて……。


「それにしても、シュウくん

 魔王たちは一体なんで講和なんて言いだしたのかしら?」


「うーん。

 それは、もう少し情報がないと分からないかな」


 そもそもそれだけの力があるなら、なぜ今まで魔王が動かなかったのだろう?

 正直さっぱり分からない。

 

 ただ聞いている話だと、おそらく魔王はワンマンプレイヤーなのだろう。


 今回だって、魔王軍を陽動に使えばもっとスマートに事を運べたはずだ。

 だけど奴は連携を一切考えない。


 1人でも王都を落とすのなんて造作もないからだ。

 そもそも魔王がその気なら、いつでも人を壊滅させることが可能なのだろう。

 それも自分だけで。


 オレたちは、魔王の気紛れかなにかで生かされている状態で。

 講和の話も、きまぐれか道楽の思いつきで提案しただけなのかもしれない。


 ……なんてことも考えられるが、なんにしても情報が足りない。

 事実が判明した時に慌てないよう、あまり決めつけすぎない方がいいだろう。




 それから二週間近くがたった。

 今日は講和の条件が提示される日だ。 


 とりあえずその場へはレンが行き、あとでオレたちに教える手はずになってる。


 そんなわけで彼女が店に来るのは夕方くらいになるかと思っていたのだが。

 やってきたのは昼過ぎ。だいぶ慌ててる。


 レンはさっそく、条件を書き写した紙を見せてくれる。

 項目は4つあった。上から順に読んでいく。


 3つ目までの項目は、前線の2つの砦と古城の明け渡し、封じ込めた兵の解放。

 そして魔物と人を区別なく扱うこと。内容はそんな感じだった。

 

 予想していたほど非道な内容ではない。


 ただどうあれ、人は魔物に敗れ、連中に要求されている立場だ。

 手放しで信用するにはオレたちは魔王のことをあまりにも知らなすぎる。


 なんて、半ば人ごとのように考えを巡らせていた。

 最後の条件を見るまでは。



1,王国は受諾後、直ちにリタ=コーネリア=キャストルの身柄を引き渡す。

 以降、彼女に関していかなる要求も行わないこと。



 ……リタを引き渡せ、だって?

午後7時ごろに続きを投稿します。



ここまで読んでいただいて、ありがとうございます!


もし、


・面白かった!

・続きが気になる!

・更新がんばって!

・応援するよ!


と思われた方


よろしければ

広告の下にある☆☆☆☆☆から評価をいただければ大変うれしいです。


すごく面白かったなら☆5、あまり面白くなさげでしたら☆1と、

感じたままでかまいません。


また、ブックマークいただければ作者の励みになりますので、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。