水の下位精霊ウンディーネ
(ーдー)疲れた……
「はぁっ…はぁ……つ、疲れた…」
どれくらい歩き回っただろうか。
私の感覚では二時間以上精霊の森を徘徊し続けた気がする。
もう、足が動きそうにない。
気は鬱蒼と生えてるし、道はでこぼこしていて険しい。
流石にもう歩けない。いや、歩きたくない。
「はぁー……喉乾いたぁ…」
歩き回ったせいか、喉がカラカラ。
水、どこかにあったけ。
《ねーね、いつまで歩いてるの?》
「な、なに!?」
耳元から突然声が聞こえて、パッと立ち上がる。
《ごめんごめん。ビックリさせちゃった?》
「な、何なの?また精霊?」
《私をそこら辺の下位精霊と一緒にしないでくれる?》
「なら、何なのよ……?」
《私は水の下位精霊、ウンディーネ!》
「ウンディーネってあれでしょ?
水の精霊王に仕えてるっていう……」
《何の話よ?それ。》
「ん……違うの?というか、何で下位精霊なのに威張ってるの?」
《い!?威張ってなんかないわよ!いい!?私は水の乙女ウンディーネ!上位精霊海魔クラーケンの親友なのよ!私を怒らせたらクラーケンが黙ってないんだから!》
「親友に泣きつくの?精霊なのに弱いんだね。」
《な、な!?あんた、ちょっと失礼じゃない!?》
「それよりも、貴女水の精霊なんでょ?」
《そ、そうよ!》
「だったら、水ちょうだい。喉乾いてるの。」
《はぁ!?何で私があんたにそんなことしてあげなきゃならないのよ!》
「じゃあ、証明できる?貴女が水の精霊だってこと。ウンディーネは凄い精霊なんでしょ?なら、水を出してみて。」
《ふ、ふんっ!しょうがないわね!ちゃんと見てなさい!水よ、我の前に姿を表せ》
「おー……凄い。それに美味しい。」
《でしょー!?ふふん、私ってば天才!後でクラーケンに誉めてもらわなくちゃ!》
何この子、凄く扱いやすい。
チョロい……チョロすぎる。
まぁ、喉も潤ったし…いっか。
「ねぇ、聞きたいことがあるんだけど。」
《何よ?》
「上位精霊ってどこにいるの?」
《は?上位精霊?そこら辺にいるでしょ。たぶん。》
「……叩き潰されたい?」
《ひっ!?何、この送り人!ちょー乱暴なんですけどっ!!》
「いいからハッキリ言いなさいよ。じゃないと本気で潰すよ。」
《うぐっ…せ、精霊の森の中心部よ。精霊の森の核の野老に精霊女王がいるから、その周辺を守ってるわ…》
また怯えたような声色をだす精霊。
失礼だな、本当に。
「その中心部ってどこにあるの?」
《し、知らないわよ……》
「嘘つき。」
《うっ……わ、分かったから手を下ろしなさいよー……!》
「早く教えて。」
《はぁ…中心部はあの木の方向を真っ直ぐ行ったところよ。今の時間帯なら、火の上位精霊がいるはずよ。》
「案内してくれないの?」
《あのねー……水と火は相性が悪いの!それも、相手が上位精霊なら圧倒的に私の方が不利なのよ。》
「あ、そっか……火は水で消えちゃうし、水は火で蒸発してしまうものね」
《お分かりいただけたぁ?たから、ここから先は一人で行ってよね。》
「ふーん。教えてくれてありがと。」
《ふんっ!あんな奴に声をかけた私がバカだったわ!あんな乱暴者だなんて!》
「聞こえてるんだけど、ウンディーネ。」
《ひいっ!?ご、ごめんなさぁぁぁい!!!》
と、何かを叫びながらまた飛び去っていった。
「精霊って逃げ足早い。」
逃げ足だけは本当に早いな、精霊は。たしか、この木だった筈。
「ここを真っ直ぐ……か。」
その先は薄暗く、不気味だった。
「はぁ……行くしかないか…。」
重たい足を動かしながら、少しずつ森の奥へと進んでいった。
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