理の外
アヤカは両手で握り込んだ剣型の武器――銀剣で、打ち合いにきた。
ヴィシスの腕刃と再び、衝突。
互いの武器が重々しく弾き合う。
アヤカの近くに浮いていた銀の流体。
それが銀剣と合流した。
固有スキルで移動用の馬でも生成し、ここまで来たのだろう。
よほど近くまで来ていたか――かなりの速度でここを目指していたか。
それゆえ、最も速く到着したわけか。
(いやそれより――)
アヤカの纏う空気がまるで異なものとなっている。
ヴィシスが最後にアヤカを確認したのはヲールムガンドとの戦いの時。
合成体のアギトとアヤカを置いてあの場を去ったあとは見ていない。
これほどの短期間で人がこうも変わるものか?
「…………」
洒落臭いガキが。
「ふふ――ふふふっ! あなたはあなたはあなたは、何をそんなに怒っているのでしょうか!? なぜ!? どうして!? あ、まさかアギトさんのことでしょうか!? あはははは! わたくしの趣向、楽しんでいただけましたか!? あらぁ!? えぇ!? ま、まさかここにいるということはぁ!? あの哀れな残りカスを、無慈悲にも……む、無慈悲にも殺してきてしまったのですかぁあああ――――ッ!? ひ、ひどすぎる! 外道! あまりに、冷酷す「 黙れ 」
ぴしゃり、と。
高速で刃をまじえつつアヤカは、ヴィシスの言を切り捨てた。
ビキッ、とヴィシスは青筋を立てる。
不快感を露わにし、
「口の利き方に気をつけろよこのクソガ「 五月蠅い 」
「こ、のっ――」
「当面――私も、黙る」
ヒュッ――ギィンッ!
「ぐっ……」
淡々とした調子で言うのと反比例し、放たれる一撃がひどく重い。
互いの刃が噛み合ったまま激しく動き、接触面が、細かな火花を散らす。
ヴィシスは分身と戦うセラスと蠅王の方を一瞥してから、
「はぁ!? この私がおまえ程度の命令でなぜ黙らないといけないのでしょう!? 不思議すぎます! まったく――役立たずの上に裏切りやがってこのカスガキが! あははは! というかこの程度なんですかぁ!? あぁなるほど、ヲールムガンドと戦った時の負傷と消耗がかなり効いているわけですか!」
「…………」
「あはははっ弱い弱い弱ぁああい! そんなだからあなたはだぁれも守れないのです! 死んでいったクラスメイトの皆さんはあなたが弱すぎるせいで殺したようなものですよ!? 自覚、あります!? あ、そういえばアサギさんも死んじゃいましたぁ~♪ ――みんな死ぬんだよこのゴミクズどもが!」
「…………」
(――くっ)
なんだと?
実はヲールムガンドの消滅後にミモリと合流していたのか?
アサギの死をもう知っている?
動揺が、うかがえない。
(というか……)
今のこいつは、私を見ていない?
いや、視線は私を捉えている――ように見える。
しかしどこか心ここにあらず、とでも言うような。
ヲールムガンドと戦り合っていた時と同じだ。
ひどく――――薄気味が、悪い。
悍ましいほどの憎悪は、確かに感じるのに。
あんなにも冷静でいられるものか?
なんだ?
ヲールムガンドが去ったあと、こいつに何があった?
「まあでも!? あの哀れな四恭聖の残りカスをなんの感慨もなく始末してきた点は褒めてあげましょうっ♪ で、何があったんですぅ!? どんな風に殺したんです!? 教えてくださいよ~?」
「…………」
「あらあらぁ!? もしかして、アサギさんの死を知って言葉を失うほど衝撃を受けちゃいました!? あ、逆に死んでせいせいしたとか喜んでいたり!? あぁ、なんて人の心のないド外道!」
「…………」
「キリハラもオヤマダもヤスも死んだんだよゴミクズ女! ほら泣け! 早く、泣け! クソみたいな強がりはいいから、以前みたいに悲痛な顔を見せてくださいよ~!? ほらぁ!?」
「…………」
(この、ガキ……)
揺れない。
ぶれない。
どんな言葉をかけても、戦いに影響が出ていない。
戦闘に影響がないのなら。
表だけ取り繕っているわけでも、なさそうである。
つまり、やせ我慢でも――ないのか。
以前なら、わかりやすすぎるくらい反応してきたくせに。
罵声も。
煽りも。
相手が無反応であれば――なんの影響も、与えられなければ。
究極的に、無意味。
悪罵や煽りを吐いた側だけが、道化でしかない。
寒々しく――空々しい。
「――――――――」
…………だから、
その目を、やめろ。
不快感が、ある種の閾値を越えたゆえか。
ヴィシスは急速に冷めていく己を自覚した。
一度まばたきをし、目の状態を黒一色から元に戻す。
(……これは)
落ち着いて冷静に観察してみると、
(打ち負けるほどではない?)
いやむしろ、自分の方がやや優勢といってもいい……。
アヤカは持ち前の戦才の支えでどうにやれているだけ。
そんな、印象だ。
(……いや、常識的に考えればこれは当然だ)
分身に劣るとはいえ。
黒紫玉をあれほど摂取し、本体の自分もここまで強化してある。
というか、と忌々しく思う。
――バケモノが。
甚だ不本意ではあるが。
ヲールムガンドのアヤカ評は認めるしかない。
アヤカと戦うヲールムガンドと視界を共有していたのだ。
ヴィシスも一部始終を見ている。
ヲールムガンドがやや手心を加えていた感はあったが……。
実質的な天界最強との呼び声も高かった戦闘系神族。
器官が塞がれ弱体化の影響があったとしても――
あのヲールムガンドとあれだけの戦いを繰り広げたのである。
深手こそなかったようだがかなり負傷していた。
体力もだいぶ消耗した様子だった。
さらに、相当な時間を過集中状態で戦っていたはず。
そう――見た目以上にアヤカはもうボロボロのはずなのである。
極度の緊張状態が続き、神経だって疲労し切っているに違いない。
本来なら――もう戦える状態にないはずだろう、おまえは。
そんな状態のやつが。
黒紫玉で強化された私とここまで渡り合えていいはずがない。
まるで――道理に、叶っていない。
……おまえさえ来なければ。
もう、終わっていたかもしれないのに。
(ちっ……)
それどころか攻撃を通し、裂傷まで与えてくる。
すぐに再生するからこのくらいはまるで問題ないが……。
アヤカ程度の攻撃を捌き切れていない自分。
この事実が、癇に障る。
(それにしても……)
なんて――殺意だ。
さっき乱入してきた時。
ほんの一瞬、気圧されそうになった自分に腹が立つ。
こんな、ガキに。
(……なんて、忌々しい。忌々しい、忌々しい忌々しい忌々しい――)
本当に、忌々しいッ!
死ね。
死ね、
死ね、
死ね――
「死ね、アヤカ! そして……いい加減、どけぇえっ! ……、――ッ!?」
視界の端に蠅王を捉える。
(二つ目の、音玉……ッ!?)
鳴り響く音は――先ほどとは違う音。
(二つ目の音玉に……違う音だと? また、別の合図か!?)
だがアヤカは音を気にした様子なく、ヴィシスに食い下がってくる。
「ちっ……だから邪魔だと言ってるだろうが、この極まったクソガキが!」
襲い来るアヤカの剣を、猛然と腕刃で薙ぎ払う。
「元々、ことごとく癪に障るガキだった……おまえはッ! 召喚した直後から、目障りこの上なかった! いつもいつも善人面でピーピーピーピー無益な理想論ばかり喚き散らしやがって! おまえみたいな勘違いした自己満足型の善人面の似非がいつまでも沈まないのが、心底――心の奥底から、私は、不快で、大っ嫌いなんだよッ! 死ね! 今すぐ、死ね! 今すぐくたばれ――アヤカぁッ!」
激憤を込めたヴィシスの渾身の一撃。
しかしそれを、巧みに受け流される。
ヴィシスは、瞼を痙攣させた。
なんだ――その動きは。
そして、
(決まりだ)
アヤカには人並み外れた技――技術がある。
逆に言えば技術で”ごまかしている”にすぎない。
分析通り、身体的にはかなり消耗している。
(……つまり)
こいつも、セラスと同じ。
いやそれ以上に――長くはもつまい。
(ならば私は、もう少しだけ耐えればいい……そして――)
先ほど起動した装置のことを考える。
あと少し時間があれば。
この状況を自分に有利な方へたぐり寄せることは十分、可能。
□
本人に自覚があるか否かは、ともかくとして。
今のヴィシスにはある一つの特性が備わっていた。
苛立ちを爆発させ怒神として激昂する自分。
しかしその中に、どこかで冷静に状況を見る自分が必ずいる。
だから分身の攻撃にもさほど、乱れがない。
それは。
黒紫玉の過剰摂取がもたらした副産物か。
あるいは極度の恐れ――過剰な慎重さがそれを可能としたか。
もしくは分身を出した影響で複数の”自分”を獲得したか――
この点において、確かな解は定まらない。
もしかしたら。
元々備わっていた特性が強化され、形を明確にしたのかもしれない。
ともあれ、
”空隙に捻じ込まれる、意識外の死角からの攻撃”
ヴィシスは常時、これを最大限に警戒している。
もっと言えば禁呪と状態異常スキル――自らの周囲と、あの後期蠅王装を。
かつて味わったことのない己の存在的危機。
生存本能が――ヴィシスの感覚を、極限まで研ぎ澄ましていた。
▽
「!」
アヤカの動きが少し鈍ってきているのに、ヴィシスは気づく。
(やはりこいつ――想像以上に消耗している! 読み通り、そう長くはもたない……ッ!)
そうだ。
どう考えても、道理に合わぬ。
あのヲールムガンドとあれだけ戦り合ったあとだ。
今の自分に食い下がれるなど、理にかなっていない。
百歩譲って規格外の勇者だとしても限界はある。
(いける――)
このまま押し切ってアヤカを殺し、そのまま――
まとめてセラスと、あいつを殺す。
速度と威力を宿した閃刃。
かなり浅いが――アヤカの頬を、ヴィシスの刃が斬り裂いた。
「――――」
(……それにしても、まだか)
装置はすでに作動させている。
余裕が出てきたため、戦いながら懐から装置を取り出す。
アヤカと刃を交わしつつ目盛りを一瞥。
瞬間、
「なっ――」
細い縦長の三つの目盛り。
(なんだと……?)
天界へ送り込む予定だった秘蔵の聖体群。
これを遠隔で起動させる装置を、ヴィシスは急造で拵えていた。
本当の万が一の時を考えて。
もしこの聖体たちを失えばこれまでの努力は水泡と帰す。
気の遠くなるほど長い時を経て造った、対神族特化の聖体群。
そう……
ヴィシスはこの局面でそれらを起動し、この地に放つ決断をしたのである。
数の暴力で、この王城内をぐちゃぐちゃにしてやる――
引っ掻き回してやる、と。
迷宮が消えているのなら。
以前ゲートを展開した時に開いた場所からすぐに地上へ這い出てくる。
今も大量の聖体が地上に溢れているはずだ。
ただ、ここからでは姿は見えない。
それでも気配……音くらいは、そろそろ聞こえてきていいはずである。
それに、さすがに大型聖体が地上で動き出せば音や振動でわかる。
が、
(小型聖体が3割……中型は1割程度……大型に至っては、起動すらしていないだとッ!?)
アヤカの攻撃をわずかに食らうのを受け入れ、装置を再確認する。
装置自体は……正常に、作動している。
こちら側の装置に問題がないとすれば……
(聖体を保管してあった地下……地下の起動装置本体の方に、異常が発生した? いやしかし……仮に誰かがそこにいたとして、あれをそう簡単に破壊できるはずが……でなければ、誰かが起動を止める操作を? だが、あれは神器を下地にした起動装置……操作するにしても私以外に、扱えるはずが――)
「あ」
それに思い至ったヴィシスは――顔面を歪める。
限りない、憎悪を込めて。
「ロキ、エラ」
◇【ロキエラ】◇
迷宮の出口に到達したあと――
ロキエラたちが次に目指したのは、地下だった。
天界侵攻用の聖体の保管場所。
破れかぶれになった時、ヴィシスが何をするかわからない。
もしかしたら地下の聖体を一斉に解き放つかもしれない。
出入り口に特殊な封印や鍵が施されている可能性は当然ある。
でもそうだったら、ただ諦めればいい。
試しに行ってみる価値はある。
それにもし神器の機構を用いているなら――
神族の自分なら解除できるかもしれない。
そして――その目論見は、成就した。
過去にこの地下でヴィシスと対峙した時。
ロキエラは、あの装置を目にしている。
確かにヴィシス手製の特殊な装置ではある。
が、神器の構造からは大きく外れていないように見えた。
少なくともロキエラは、そのような所見を得ていた。
神器なら、神族の出番。
たとえ破壊までは至らずとも……
あの機構なら、操作できるのではないか?
停止操作ができれば。
地下にいる聖体たちが地上へ溢れ出てくるのを、防げる。
▽
危惧通り、ヴィシスは地下の聖体たちを起動させたらしい。
到着がやや遅かったか。
地上への道が開き、起動済みの聖体が地上へ出ていっている。
さらに城の方を目指す聖体もいる。
「くっ……全部の停止は無理だったみたいだね……はぁ、はぁ……ちょっと、遅かったか……」
「いえ、まるで間に合わなかったわけではないかと。それより、大丈夫ですか?」
ニャンタンが尋ねた。
停止操作で、ロキエラはかなり力を消耗してしまっていた。
「ん……ごめん。ボク、もうそろそろ無理そう……ちょびっと回復してきた力も、今のでほぼ使い切っちゃったから……」
「十分です――どうかあなたは、もう休んでください」
背後へ視線をやるニャンタン。
二人の背後では、イヴとジオが向かってくる聖体を倒している。
見たところ地上と城の方を目指す聖体が多い。
現時点では、まだロキエラたちに向かってくる聖体は少ない。
が、
「そろそろここを離れるぞ!」
そう判断したのは、ジオ。
「こっちに気づいて向かってくる聖体の数が、増えてきやがった!」
起動済みの聖体をどうにか停止させる方法はないか。
ロキエラはそれを探ってみたが、さすがに無理そうだった。
ニャンタンは疲労し切った様子のロキエラを持ち上げ、
「わかりましたっ」
言って、走り出した。
彼らは聖体を蹴散らしつつ、城内に戻ることにした。
そして現在――城内へ戻ったロキエラたちは、聖体の群れから逃げている形となっている。
「どうしたのだ、ニャンタン?」
イヴが尋ねる。
「…………」
ニャンタンは腰の後ろに装着した魔導具を起動していた。
蛇腹めいて連なった刃が青白い光を放ち、うねっている。
イヴは、彼女をおぶって疾駆していた。
二人に迫る聖体は、ニャンタンの尻尾めいた連刃が斬り殺していく。
「少々……間抜けな格好かな、と思いまして」
「しかしそなたは軽く、そして我は筋力があり足も速い。おそらくそなたを背負っていても、そなたより速く走れる。ふふ……何を隠そう我はあの魔群帯の中を、トーカ、ピギ丸、スレイの三人を担いで移動したくらいなのだからな」
「そ、そうですか……」
微妙に恥ずかしそうな顔のまま、連刃で聖体を切り裂くニャンタン。
「…………」
不意に、ニャンタンの目が優しい色を湛える。
「……イヴ殿」
「む?」
「ついてきてくれて、助かりました」
「なに、礼には及ばぬ」
微笑むイヴ。
「種族こそ違うが――我の妹の、リズがな……そなたの妹のニャキと、とても会いたがっているのだ」
「あの鴉の使い魔を操っているというダークエルフの子、ですね」
リズとニャキは、まだ使い魔を通してしか”会って”いない。
「うむ。きっとこの戦いに勝利すれば、あの二人は直接会えるであろう。しかしその時……姉が欠けていては、心から笑えぬと思うのだ」
「――――」
イヴは微笑んだまま、首に掴まるニャンタンへ視線をやった。
「我とそなたの――どちらが欠けても、な」
二人のやり取りを眺め、ロキエラは呟く。
「確かに……いいね、ヒトってのは……」
迷宮で別れを告げた神族のことを思い出す。
キミはヒトを愛してもいたけれど。
同時に、絶望もしていた。
でも――ほら。
そんなに、悪くないだろ?
そう……悪いばかりじゃ、ないさ。
ボクはね。
総体で捉えるばかりが”ヒト”じゃないと思う。
それにさ。
諦めず続けていたらどうにかなることだって……
世の中、あるかもしれないだろ?
……けど、それでもキミは。
やっぱり”甘ぇよ”と、そう言うのかな――ヲールムガンド。
「!」
前方に、聖体がかたまりになって現れた。
躊躇なくこちらへ走ってくる。
ロキエラは自分を懐におさめているジオを見上げ、
「い、いっぱい出てきたけど……ええっと、大丈夫?」
「ふん――てめぇ、誰に言ってんだ?」
片手に握ったカタナで先頭の聖体を一閃するジオ。
冗談みたいに、実にあっさり聖体が真っ二つになる。
「片手になろうが、オレはまだ四戦煌最強のつもりだからよ。それに……あのアルスとかいうバケモンに比べりゃあな、この程度の数の聖体なんざ――」
刃を暴風がごとく乱舞させるジオ。
黒き豹人は――嵐刃と共に、黒き暴虐と化した。
「まるで話に、ならねぇんだよッ!」
聖体たちが、なすすべなく撫で切りにされていく。
「なるほど、キミはあれだ……戦った相手が本当に、悪かったよね……」
そりゃあ相手があの神徒だもんなぁ、とロキエラは思った。
そして、思考を別のところへ向ける。
(もし今まさにヴィシスと戦っている最中だとしたら……城内へ向かった聖体が、戦いの邪魔になっていないといいけど……)
実のところ。
ヴィシスはそれほど不利ではない――かもしれない。
個体としての戦闘能力。
もしそれがこちら側の誰をも上回っていたら――
セラスやアヤカあたりが、沈んでしまったら。
(下手したら……テーゼ様あたりじゃないと……純粋な戦闘では、勝てないんじゃないのか?)
対神族強化の恐ろしさはこの身で味わった。
あるいは――ことによっては、テーゼですら危ういのではないか。
さらに、例の黒紫玉を大量にその身へ投じていたら。
(禁呪と――状態異常スキルに頼るしか、なくなるかもしれない)
この戦いの肝となるであろう、二つの力。
禁呪。
そして、状態異常スキル。
特に――状態異常スキルだ。
禁呪だけ通っても状況はあまり好転しまい。
ヲールムガンド戦を思い出す。
あの覚醒したヲールムガンドすらをも凌ぎ切った力。
別の意味で”神族特攻”とも呼べる――
理の枠を外れし、神殺しの力。
「…………」
ヴィシスはいよいよ、地下の聖体たちまで出してきた。
きっと今、死に物狂いのはず。
大っ嫌いなやつだけど、あいつの――
執念だけは、本物だ。
だから、
(この戦い……まさにキミにかかってると言っても、過言じゃないかもしれないよ――)
トーカ。




