炎の名
交わされた言葉で、オウルも呑み込めたようだ。
「……つまりトモヒロ、その新しいスキルってのは……そういうことなのか? いやさすがに、そんな危険なスキル――」
「オウル」
リンジが、オウルの肩に触れた。
オウルが彼を見る。
視線を受け止めたリンジはジッと見つめ返した。
言葉にせずとも、その目が安智弘の”現状”を告げていた。
戸惑いに揺れる瞳で安に視線を飛ばすオウル。
安の様子がおかしいのは彼も感じていたらしい。
が、そこまでとは思っていなかった――考えたくなかった。
そんな反応に、見えた。
「そんな……」
「どのみち皆さんと一緒に西へ撤退しても、ここからそう離れないうちに……僕は脱落すると思います」
残された時間は、あまりない。
「なら……最後に、この世界を守る方向に賭けてみたいんです。この新しいスキルならできるような、やれるような……そんな気が、するんです。なぜかはわからないけど――」
安はしっかりとオウルの目を見て、
「そう、思えるんです」
試す価値はある、と。
わずかな沈黙があった。
オウルは自分の感情を懸命に咀嚼しているようだった。
リンジは目を瞑っている。
彼も、自分の中で何かに蹴りをつけようとしているようだった。
ややあって、リンジが口を開いた。
「……猶予はどのくらいあるんだ」
「最後の波が到達するまで、まだもう少しあるみたいですし……おそらくスキルを使用していない状態であれば、ここにいる皆さんに……別れの挨拶ができるくらいの、時間なら」
安の肌から立ちのぼっている白い靄。
シュゥシュゥと音を立てている。
白い靄と音は次第にその強さを増している。
肌の表面の熱さも、尋常ではなくなってきていた。
わかる。
――タイムリミットが、迫っていることが。
その時だった。
ガッ、と。
リンジが肩を組んできた。
そして彼は、オウルを手で招き寄せる仕草をした。
オウルも距離を詰め、肩を組む。
すると、三人で円陣を組むような形になった。
「リンジ、さ――」
肩を組むリンジの腕にグッと強く力がこもった。
安は困惑し、
「あ、あの――」
安の肌が一部、彼らの肌と密着してしまっている。
薄く……肉が焦げたみたいなニオイが、立ちこめた。
「火傷っ――しちゃいますよ……ッ!」
安が言うと、脂汗を滲ませたリンジはニヤリと笑った。
茶目っ気すら感じさせる目つきで彼は、
「……いいんだよ。おれが……おまえをこうして、送り出したいんだ。悪ぃ……ちょっとわがままに、付き合ってくれるか?」
「…………」
すると――ふん、と。
オウルも、笑った。
普段と同じ軽やかな調子で。
だけど――どこか、取り繕っている調子で。
「むしろさ、そこそこの火傷の一つでもできたら……口説きたい女に肌を見せる時、自慢材料になるぜ! この跡が世界を救った男の生きた証だ、ってな……ッ!」
「オウルさん……」
「あ、それと後のことは気にすんなよ!? トモヒロがそのスキルを使えるようになったのがあのツノつきを倒した直後だったとか、そういうのも、しっかり広めておくからよ!」
「?」
「……ほら、世の中にゃ……善人ばっかじゃねぇからさ。最初っからあの力を使ってればこんなに被害が出なかったんじゃないか……とか、アホを言うやつが絶対出てくんだよ! ――はっ……ま、そんなカスが今後おれの目の前に現れたら、口より先に手が出ちまうだろうけどなぁ!」
安は――口もとが綻ぶのを感じた。
口もとというのは。
こんなにも自然に綻ぶものなのだ、と。
ここまで明確に自覚できたのは、初めてかもしれない。
「ありがとうございます、オウルさん……」
「…………、――んで、だよ」
「え……?」
オウルがきつく目を、閉じている。
彼の目からは――ぽろぽろと、大粒の涙がこぼれてきていた。
「なん、で……おまえが、死ななきゃなんないんだよっ!? こんなに必死んなって最前線に立って……みんなを守って戦ってきたじゃねぇかよっ!? なのにここまできて――こんなのって、ないだろ! この戦いが終わったら、おれ……色々連れてってやろうと思ってたんだよ! おまえ、言ってただろ!? この世界のこと、もっと知ってみたいって……この世界の人たちにもっと触れてみたい、てっ! 色んなイイ場所や、面白い人間だっているし……美味いもんだって、たっくさんあんだよ! だから……だからこの戦いが終わったらおれ……おれはおまえとさっ……リンジさんたちも、一緒にっ……、………、くそっ! ちくしょう――ぢぐ、しょぉおっ!」
(……オウルさん)
ぐずるように、オウルは泣きじゃくった。
それは少し不意打ちで――意外だったけど。
なぜだろう。
別れの寂しさ以上に――嬉しいと、思った。
思えた。
「トモヒロ」
リンジが言って、二人をさらに引き寄せる。
互いの顔が、近くにきた。
「おまえはもう、仲間じゃねぇ」
「…………」
「おまえは、おれたちの家族だ」
自然に出るのは、涙も同じで。
こみ上げる感情で顔が歪んでしまうのも――同じ。
「はい」
涙を滲ませながら、かすれた声で応える。
「嬉しいです……そう、言ってもらえて」
この今に。
あなたから、そう言ってもらえて。
涙は出てくる。
けど――笑えている。
純粋に。
嬉しくて。
「…………」
ふと安は、元の世界の両親のことを思った。
心残りの一つ。
元の世界の家族のこと。
今の自分として色々、話してみたかった。
そしていくつものことを、謝りたかったと思う。
それから――色んなことへのありがとうを、言いたかった。
今の自分なら、違った家族の形を作れたのかもしれない。
少し前までの自分は。
両親にとって決して”いい子”とは、言えなかったはずだから。
――ごめんなさい。
今までのことも。
……戻れないことも。
「リンジさん……そろそろ……」
「……、……ああ」
組んできた肩を解き、三人は離れた。
離れる前にリンジは安を抱擁し、その背を優しく叩いた。
勇気づけるように。
あるいは、礼を言うように。
「トモヒロ!」
周りで見ていた他の旧剣虎団の者たち。
オウルからもらい泣きでもしたのだろうか。
中には、涙を流している者もいる。
彼らも――戦友であり、家族。
肌が強い熱を帯びているのは承知で、彼らも安を抱擁した。
力強く握手してくれる者もいた。
安も――心から、お礼を言った。
ここで彼らと一緒に戦えたことが、誇らしかった。
(最後に……)
もう一つの――
素敵な家族が、できた。
伝令に来た騎士に、オウルが安のことを伝えている。
まだ声が震え気味だが、少し落ち着いたようだ。
安は、周囲を見回した。
馬に乗って移動ができれば……そう思ったからだ。
スキル使用後が本番とはいえタイムリミットは迫っている。
第一守護壁の外まででも、どうにか馬で移動できれば……。
が、騎士の乗っているあの馬を借りるくらいしかできそうにない。
自分たちが最終守護壁から出撃した時は、馬を使っていなかった。
なので周りにいないのは、仕方がない。
(それに、もう布越しでも十分わかるくらい……皮膚がけっこうな熱さになってる……)
だから、かわいそうかもしれない。
そんな風に、馬の件を騎士に切り出すべきかを悩んでいる時だった。
一頭の馬が駆け寄ってくるのが見えた。
「あ……」
このアッジズに来るまで安がずっと乗ってきた馬。
最終守護壁の門が開いた時、一緒に出てきたのかもしれない。
馬は、安の前で足を止めた。
そして後ろを向くと、さらに首を動かして振り向いた。
乗れ、とでも言っているかのように。
そのつぶらな黒い目が安を見つめている。
明らかに――安が乗るのを、待っていた。
しかし安は、躊躇した。
鞍越しでも熱いのではないかという――
「汲んでやれ」
言ったのは、リンジ。
「こいつなりに……何か、感じ取ってるんだろ。ここは自分の出番だっていう……何かを」
たとえば、猫は。
自分の死期を感じる取ると飼い主の前から姿を消す。
そんな話をどこかで聞いたことがある。
あるいは――虫の知らせ。
あの馬も安の死期を感じ取り、ここへ来たのかもしれない。
何かに、導かれるようにして。
「ちょっと待ってな――トモヒロ」
言ったのは、オウル。
彼は周囲にあったいくつかのものを手早く集めた。
また、他の仲間にも頼んで協力してもらった。
彼が拾い集めたものは布地やなめし皮のようなものだった。
それらは、ここで戦った者たちの所持品だったものである。
オウルは拾った布や皮を鞍の上に重ね、きつく固定した。
安の身体の持つ熱の馬への影響を軽減するための措置だった。
馬は黙って、そうされるのを静かに受け入れている。
「あ……ありがとうございます」
「こんな時でも馬のことを気遣うなんてのは、トモヒロらしいよな」
言われて内心、自嘲してしまう。
以前の自分らしくは、まるでないけれど。
(むしろ以前の僕は、気遣ってもらう側で……)
自然と気にかけてくれた人は、いた。
彼や……彼女のように。
鞍の上がちょっと不格好になってしまった。
ほぼ片手しか使えない安は、リンジたちに手伝ってもらい乗馬する。
「あの、リンジさん……僕のことユーリちゃんには……その……あの子が悲しまないように、上手く伝えてもらえますか……?」
馬に続いてさらに自分以外の誰かの心配か、と。
リンジは優しい顔で、腰に両手をあてた。
彼は息をついた。
とても優しく、呆れていた。
「わかった、任せておけ」
「ありがとうございます。それじゃあ……」
安は礼を言い、馬を東門の方へ向ける。
「 行ってきます 」
最後に。
みんながこうして、見送ってくれる。
幸せ者だ――僕は。
「……トモヒロ!」
オウルが一歩前に出て、声をかけた。
「絶対……死ぬと決まってるわけじゃ、ねぇんだよな……ッ!?」
再び、辛そうな表情をするオウル。
リンジは隣にいるそんな彼の肩に手を置き、鞍上の安を見た。
そして言った。
「だから……さよならはまだ、言わねぇぞ」
振り返っていた安は微笑みを返し、
「――――はい」
そうして前を向き、馬を走らせた。
「またいつか、きっと」
□
――――ごめん、十河さん。
直接謝ることが、できそうにないです。
何度でも思う。
もっと早く十河さんの優しさを――手を、取っていれば。
十河さんだって大変だったはずなのだ。
なのにあんな状況で……みんなのことを、気遣って。
彼女の力に、なるべきだった。
ごめんなさい。
…………
広岡君、佐久間君も……ごめん。
だけど――言い訳はしない。
ここで言い訳のようなものを並べてしまったら。
自分が少しでも許されたいだけになってしまう気がするから。
僕は二人に悪いことをした。
だから、ただ……ごめん。
僕のグループだったみんなも。
もっと色んなことを、話し合うべきだったんだと思う。
知ろうとするべきだったんだと……思う。
ごめんなさい。
…………
三森君。
元の世界にいた時。
あの時、もし僕が素直に君の手を取っていたら。
もしかしたら僕たちは、友だちになれたのかな……?
広岡君と佐久間君と同じ。
後悔の念がずっと、消えない。
いや……彼ら以上にひどいことを言って、それが最後になったから。
余計、後悔している。
それに三森君も、もう謝罪の言葉を届けることができない。
……許されるとは思わない。
許してもらおうとも思わない。
思っては、いけないんだ。
だからせめて――もちろん償いには、ほど遠いけれど。
救うべき人たちを、救いたいと思う。
ここで。
この身に代えても。
…………
本当に……多すぎる。
ありがとうを言いたい人と、ごめんなさいを言いたい人が。
セラスさん――、……ベルゼギアさん。
叶うなら。
もう一度あなたに直接会って、お礼が言いたかった。
あなたのおかげで出会えました、と。
見つけました、と。
▽
第二守護壁の門を抜ける。
聖体の多くはその原型を失うほど溶解が進んでいた。
目から飛び出た翼や、互いに繋ごうとする手。
それらが確認できないくらいには溶けている聖体が多かった。
外側へ向かえば向かうほど、さらにその傾向は強くなった。
だから残る多くの死体は――必然的に人間のものとなる。
東方面のため亜人や魔物の死体はほとんどない。
彼らは主戦場が南方面だったからだ。
ゆえに、大半が人間のものとなる。
「…………」
ふと、生き方……人生というものについて、思考が走った。
もちろん長生きだって素晴らしいと思う。
だけど……人生とは、密度も大事なのかもしれない。
仮に短くとも、いかに太く生きたか。
死体の中には若い兵士もたくさんいる。
若くして死んだ彼らの人生に、意味はなかったのか?
もし短い人生に意味がないのなら。
彼らの死もまた、無意味だったことになってしまう。
――違う。
戦いの前、白狼王が口にした鼓舞の中でも触れられていた。
彼らは何かを守りたくて、その命を賭けたのだ。
通り過ぎる道に横たわる死体たち。
死にたいと思っていた者など、いないに等しいはずだ。
それでも――彼らは戦った。
自分の大切なものを守りたい。
ただ、それだけのために。
究極的には誰だって、死にたくはないと思う。
怖いとも思うはずだ。
でもみんな、勇気を持って戦った。
立ち向かったのだ。
死の恐怖に。
物語の中心に”勇者”が据えられることは多い。
しかし真の意味で、物語の主役なんてものは現実に存在しない。
そう思う。
きっとここで戦い死んだ者たちすべてが、勇者。
自分も”勇者”ではあるけれど――
同時に自分も、ただ一人の戦う者にすぎない。
自分だって、この中の死んだ戦士たちの一人にすぎないのだ。
特別な力があっても――僕という存在そのものは、特別ではない。
特別でなくて、いい。
そして特別でなくとも今は……
ここで戦った人たちと同じ、勇気がある。
分けてもらったのだ――勇気を。
彼らから。
「…………」
血濡れの石畳の上をゆく馬の足音。
それをどこか心地良く感じながら――思う。
魔防の白城で戦った時。
金眼の魔物に指が切断された時、怖かった。
死にたくない、と強烈に感じた。
死の実感が。
本当に、怖くて。
…………なのに。
不思議だ。
後悔はあるし、もちろん……まだ生きたいと願う自分はいる。
だけど同時に……
誰かのためにこの命を燃やし、最期を迎えられることが。
大切な人たちの未来の道筋を作ることができるかもしれないことが――
今は、こんなにも嬉しい。
▽
第一守護壁を抜けた。
ここからは、王都の外となる。
「ありがとう――ここまでで、大丈夫だから」
下馬する。
ここへ来る途中、何度かこの馬に話しかけていた。
馬は首を下げ、やや潤んだ瞳で安を見た。
それから馬が頬ずりをしかけて――安は止めた。
馬も熱のことを思い出したみたいに、顔を引っ込める。
安は微笑んでから別れを述べ、振り返ろうとした。
すると馬が安の服の袖を噛み、引き留めようとした。
馬が”鞍に乗れ”と求める仕草をする。
安は苦笑して馬の正面にしゃがみ込み、
「ホープ……」
馬の名は、ホープといった。
命名したのはリンジだと聞いている。
過去の勇者が残した単語なのか。
あるいは、たまたまなのか。
「君の名前はね……僕が元いた世界だと”希望”って意味を、持つんだ」
首を傾げるホープ。
安は笑顔で、
「君には生き残ってもらって、希望の一つになって欲しいかな……なんて。できれば……僕が、生きた証としても」
ちょっとかっこつけすぎかな、と少し照れくさくなる。
ただ……ここから先はホープも命を失いかねない。
だからここで、戻してあげた方がいい。
しばし二人は見つめ合った。
なんとなく――互いの別れを確認するみたいに。
噛み締めるみたいに。
やがて安は厚い布越しに触れ、優しくホープを送り出す。
ホープは項垂れたような姿勢で何度か後ろを振り返った。
安は微笑みを返し、
「君とも、またいつか」
軽く手を振った。
やがて、ホープは思いを振り切るように駆け出した。
ホープの後ろ姿が小さくなるのを見届ける。
そうして安は、ゆっくりと立ち上がった。
立ち上がりながら――肩越しに、後方を確認する。
砂煙が、迫っていた。
おそらくあれが。
最後の――聖体の波。
立ち上がった安は正面を向き……
王都アッジズを背に、ただ一人、遠くに見える白の軍勢と対峙した。
「……ふぅ」
聖体の進軍スピードがいやに速い。
いや、むしろタイムリミットを考えれば……。
ああして急いで距離を詰めてきてくれる方がいい。
移動中、戦う前に死んでしまったのでは――意味がない。
「【■■■■■■■】」
スキル名を、口にする。
するといくつかの地点から、黒い巨大な火柱が上がった。
噴火にも似た火勢。
轟音。
その渦巻く火柱は雲を突き抜け、天高くまで噴き上がっている。
そして――安智弘の頭上。
遥か上空に、巨大な炎の黒剣が浮かんでいた。
その炎の黒剣から”炎の灰”が、降ってくる。
まるで綿雪のように――あるいは、散りゆく花びらのように。
……あの炎の剣は、少しずつ小さくなっていく。
そうして縮小してゆく炎の剣が燃え尽きた時……
それが本当の、
終わりの合図。
迫り来る――最後の、巨大な白き波。
僕の、
最期の、戦い。
一歩、歩み出す。
瞬間――がくんっ、と。
膝が、折れそうになった。
疲労も限界が、近い。
…………。
(こんなのじゃ、格好がつかないな……)
ふっ、と微笑む。
でもこんなのも――まったく、僕らしいじゃないか。
安の周囲に。
黒い炎が、発現していく。
横に広がるように形成されてゆくのは、黒き炎の巨人たち。
さらにその黒き巨人を下から押し上げるように、黒き巨馬が現れる。
散り落ち――風に吹かれ舞う……黒き灰雪の中。
黒炎の戦馬たちと――それに騎乗した黒炎の巨人たちが、安の後ろに整列する。
呼吸を……整える。
――ボゥッ――
安智弘は腕を振り、その身に黒炎を纏った。
黒き軍勢――最初で最後の、黒炎行。
「……………………さあ、行こう」
これが――――黒炎の勇者、最期のスキル。
【 黒界領域・終炎 】
■
スルトとは、北欧神話に登場する神々と戦った炎の巨人の名である。
古ノルド語で『スルト』は”黒”あるいは”黒き者”を意味する。
炎の国ムスペルヘイムの門を守る番人で、用いたとされる武器の名は”レーヴァテイン”。
神々の最終戦争ラグナロクにおいてはムスペルの巨人たちを率い、戦った。
また、鹿の角を武器とするヴァン神族のフレイを倒したともされる。
なお、文献『スノッリのエッダ』にはラグナロクの生存者について書かれた箇所があるが――――その生き残りの中に、スルトの名は記されていない。
□
…………
果たして、この聖眼防衛戦は戦局全体においてどのような影響を及ぼしたのか――
一つ確かなのは、これが――女神ヴィシスが神創迷宮にて王の間から飛び出すより前の時間軸において行われた戦いであった、ということである。




