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手遅れ


「――――――――」


(…………………………………………え?)


 今、ミカエラはなんと言ったのだ?

 底、抜けの――


 ガッ!


「きゃっ!?」


 押し倒れされるリィゼ。

 恐ろしいほどの力で、地面に押しつけられた。

 ぐぐっ、と太い腕で力が込められているのがわかる。

 背筋に、冷たいものが走った。

 離れたところから、


「宰相殿!」


 アーミアの声。


「ミ、カ、エラど――なっ……な、何をっ……ぐっ、苦――しっ……」


 今、自分の身に起こったことを認識できない。

 追いつかない。

 頭が、働かない。


 え?

 何?

 何が、起こってるの?

 え?

 何?

 アタシ今、何をされてるの?

 ミカエラ殿?

 優しい人間が?

 え?

 どうして?

 なんで?


 無感動な瞳で、リィゼを見下ろすミカエラ。

 怖い、と思った。

 彼が右手を上げる。

 何か合図した風に見えた。

 と、地を打ついくつもの蹄の音がした。

 騎兵隊が、近づいてくる。


「それ以上近づくな、そこのラミア。そこから少しでもこちらへ近づけば、この宰相を殺す」


 あれだけ穏やかだった声が。

 一変し、今や恐ろしいほどの冷酷な調子へと変貌していた。


 ゴソゴソ……


 リィゼの身に着けているものを探るミカエラ。


「これだな」


 鍵。

 銀の扉を、開けるための。


「これがあれば神獣の到着を待たずともよい。第六の連中め……神獣を自分たちの隊の所有物のように扱いおって……だが、これでもう神獣は必要ない」


 リィゼは、過呼吸のようになっていた。

 が、どうにか抑えて話しかける。


「ミカ、エラ……ど、のっ」

「ん?」

「誤解、が……何かきっと、誤解……」

「誤解していたのはおまえ一人だろう。おまえの負けだ」

「意外と話し込んでいましたな、ミカエラ様」


 追いついてきた騎兵の一人が、ミカエラに話しかけた。


「こやつら、思ったより人間らしく振る舞うらしい」

「ほぅ、あっちはラミアですか。なかなか別嬪べっぴんですな」

「おまえはあっちのラミアの方が趣味か?」

「いえ……」


 リィゼは下卑た視線を感じた。


「下が蜘蛛というのも、悪くありませんなぁ」

「人間の女にはもう飽きたからな。次は珍しい亜人を味わってみたかった。ゆえにこの任務、快く引き受けることができた」

「特に相手が人もどきとなれば気遣いも無用ですからなぁ……人間相手よりは我々も心が痛みませぬ。あれもこれも、きっと心おきなくできますぞ」

「こういう人間味の残る種族は今や貴重だ。そういう意味では、最果ての国は宝の山とも言える」


 リィゼは――衝撃を受けていた。

 彼らの話す内容に。


 気を、強く。

 持たねば。


「は、話し合いましょう! 話し合えばわかるわ! きっとあなたたちはアタシたちを誤解している! 最果ての国に住む者は皆、まともな者ばかりよ! まだ間に合うわ! アタシは今なら水に流す! お互いを知り合えば、必ず、分かり合える!」

「性交できるのか?」

「――――、…………え?」

「性交できるのか、と聞いている」

「な、何を……」


 何を、言っているのだ?

 この、人間、は。


「アラクネと人間の性交――交尾だ。できるのかと、聞いている」

「まっ……何……何を、アンタは一体何を言って――ぶっ!?」


 ゴッ!

 ゴッ!

 ゴッ!


 上から体重を押しつけたまま、ミカエラが、リィゼの顔面を殴りつけた。


「もう一度、聞く」


 ツンとした痛みが、鼻に走る。


「たとえば――私とおまえは、性交ができるのか?」


 プツンッ、と。

 リィゼの中で、何かがキレた。


「――ふ、ふざけないで! アンタ自分が何言ってるかわかってんの!? どきなさい! さあ、早く! アンタじゃ話にならない! もっと、まともな相手と――ぶごっ!?」


 ゴッ!


 再び、顔面を、殴ってきた。


「がっ、ぶっ――ちょ、待っ……がっ! 一旦、やめ――ぶっ、……ごっ!? アン、タっ――がふっ……ごっ! ふざ、け――ぶぐっ! いい、加減に――ごぶっ!? ごっ……ッ!? がっ、ごふっ――ぶっ!? がっ……ッ! や――」


 殴打が、止まった。


「やめ、て……も、やめて――くだ、さいっ……やめっ……ぐすっ……ごめん、なさい……だからも……殴ら、ないでっ……うぇぇ……もう、やだ……いやぁ……」


「できるのか?」


 リィゼの顔は、涙と血でくしゃくしゃになっていた。

 精一杯身を縮めようとしながら、答える。


「わかり、ません……したこと、ない――から……ごめんなさいぃ……殴ら、ないでぇ……」


 完全に怯えた状態で、リィゼは嗚咽まじりに懇願した。

 ミカエラは細く息をついた。


「何が宰相だ。使えぬグズ。まあいい、私が飽きるまでは慈悲で飼ってやる。光栄に思え」


 瞬間――音が、鳴った。

 とても、大きな音。


「合図か?」

「宰相殿を……リィゼを、解放しろ」


 アーミアの声。


「おまえは、脱げ」

「……なんだと?」

「亜人ごときが着飾るなどおこがましい。すべて脱げ」

「きさ、ま……ッ」


 ヒュッ――キィン!


 一本の矢が、アーミアの盾で弾かれた。

 騎兵の一人が放ったらしい。


「驚いた。防ぎましたな」

「知識でしか知らんが、おそらくさっきの音は魔導具の音玉だな。多分、仲間に何か合図を送った」

「後方に控えている仲間に交渉が決裂したと伝えたのでしょう。おそらく、武装した人もどきや、おぞましい魔物どもが続々と出てきますぞ。ここからが本番ですな」

「この宰相、人質に使えるかもな」

「しかし、くくく……」

「どうした?」

「いえ……人もどきごときが”宰相”などと……あまりに哀れ、滑稽で……」

「同意する」

「…………」


 リィゼは何も、反論できない。

 何も。

 怖いから。

 が、一つだけ。

 嫌な予感が、とぐろを巻いて。

 耐えられなくて。

 つい、聞いてしまった。


「でん、れ……」

「ほぅ、まだ減らず口を叩けるか」

「……で、伝令は……どう、なったんですか……」

「矢で射殺いころしたに決まっている。あそこまで危険がなく無抵抗とわかっていれば、捕えて楽しみたかったのだが」

「うぅ……ぐすっ……」


(ごめんなさい……全部、アタシが……アタシが……)


「ああそうそう、ミカエラ様。あなたがこちらでそこの人もどきと話し合っている途中、後方へ伝令が来まして」

「伝える価値のある情報か?」

「例の豹人どもですが、遭遇した第六騎兵隊によって今や壊滅状態。数匹ほどまだ逃げているそうですが……ただ、群れの統率役と思われる巨体の黒豹は、もう始末したそうです」

「!」


(そん、なっ――ジオ……ッ!)


「切り離した頭部はなかなかに立派なものだそうです。仕留めたのが第六ですから……その頭部はまあ、ヴィシス様への献上品にでもするのかもしれませんな」

「うぅ……ぐすっ……」


(ジ、オ……、ジオ――、……ッ)


「その前の伝令から聞いていたケンタウロスの群れの方は?」

「そちらもほぼ壊滅状態まで追い込んだとのことです」

「ちっ、第六騎兵隊め。やはり、しっかり働きおる」

「ただですなぁ、かか……」

「なんだ」

「ケンタウロスのメスはなかなかの美貌ぞろいとのこと。できる限り、捕える方向で動くとのことです。ああ、こちらも統率していた青肌のケンタウロスは捕えたと……後ろ脚を二本、切断したそうですが」

「!」


(キィル! う、嘘……そんな、そんな……キィ、ル――)


 ミカエラが舌打ちした。


「第六の連中め。この私へうかがいも立てず、勝手なことを……四本脚の骨を、まずはすべて砕きたかったのに……」

「楽しみを先に奪われましたな」

「となれば、どうにか……」


 前方――遥か先を視線で射抜くミカエラ。


「我々が先に最果ての国へと入り、第六の者たちに上玉を奪われぬようにせねば。ゆくぞ――まずは手はじめにあのラミアどもを捕える。この場で犯したい者は試してみるがいい。ああ、あのフェイスベールをしている上玉は私の――、……ん?」


 ミカエラが、振り向く。


「なんだ?」


 後詰ごづめとして最後方さいこうほうに待機させていたと思われる騎兵隊。


 その辺りが、騒がしくなっていた。


「……?」


 涙で濡れた目を一度強く瞑り、開く。

 すると、滲んだ視界が透明度を増した。


(騎兵隊が……蹴散ら、されてる……?)


「人もどきの生き残りが、決死の突撃を仕掛けてきたか」

「きゃつらはすでに主力を欠いております。死にぞこないの烏合の衆ですな」

「我々への不意打ちは成功したようだが……まあ長くはもつまい。捻り潰せ」


 近くにいる数十騎の騎兵たちが、槍を手に転進。

 構えを取る。


「――待て」


 ミカエラの声が、硬さを増した。


「なんだ、あれは」



 黒い影が、近づいてくる。



 明らかに一人だけ大きい。

 咆哮。

 その咆哮は、ここまで届く。


「おい、あれは――」

「報告にあった豹人の群れの統率役、か……?」

「ふむ。殺されたというのは、替え玉の方だったのかもしれんな」

「ありうるかと」


 後詰めの騎兵隊は、後退していた。

 押されているのだ。

 むしろこちらへ合流しようと退却している。

 退いてくる騎兵隊の方から、恐怖が発されている気がした。

 そして――リィゼは見た。

 逃げてくる騎兵の背後で跳躍した、その黒い影を。


 二本の黒き巨刀を振りかぶる、あの黒豹の姿を。


「う、うわぁぁああああっ!?」


 背後から襲いかかる黒豹を振り返り、騎兵が絶叫する。


 風を斬り裂き――刀閃が、轟とはしる。


 身体ごと切断された騎兵が、馬上で真っ二つとなった。

 死体はぐにゃりとなって、捻じれた状態のまま馬上からぶら下がった。


「ば、バケモノ――」


 赤眼をぎらつかせた黒い旋風が、奔る。

 あの黒いカタナは彼の巨体でなくては扱えまい。

 巨なる黒き豹人――


 ジオ・シャドウブレードが、次々と、騎兵隊をなます切りにしていく。


 自然と、リィゼの目から涙が溢れてきた。


(じ、ジオ……ッ!? 生きて、た! ジ、オ……ッ)


 無表情のまま青筋を立てるミカエラ。


「報告と違うぞ。殺すぞ」

「て、敵の策かと! 我々を油断させるための!」

「第六――第六騎兵隊は、何をやっている? ちぃ……」


 ミカエラはリィゼの身体を踏み、足裏で押さえつけた。


「ぅ、ぐ……ぅ――」


 今、リィゼは身体が強張って動けない。

 否、精神的にも動ける状態になかった。

 声を張るミカエラ。


「聞け! 精鋭中の精鋭たる我が第一騎兵隊よ! 所詮、相手は出来損ないの人もどき! 奇襲が成功したくらいで勝てると勘違いしている蛮族どもに、真の戦いとは何かを……容赦なく、見せつけてやるがいい! まずはあの豹人を血祭りにあげろ! 貢献した者すべてに恩賞を出す! 突、撃っ!」


 雄叫びを上げて騎兵隊が突撃していく。

 ジオは明らかに一人先行しすぎていた。

 他の者はまだ最後列とやり合っていて、追いついてきていない。

 たった、一人。

 が、


 ジオは、止まらない。


「ジ、オ……」


 警告を出そうとする。

 が、上手く声が出せない。


「ほぅ、怯まず来るか。あの自信、厄介かもしれん――弓騎兵、位置に!」


 谷間の道。

 道の両脇は岩壁――切り立った崖になっている。

 両脇の崖の上に、弓を持った騎兵隊が現れた。

 伏兵。

 別の道を使ってあそこまで移動させていたのだ。

 この近辺の地理を把握する際の頼りは古い昔の地図。

 リィゼは事前にその地形を頭に入れていた。

 確かにそういう戦術を取れる地形にはなっている。

 が、はなからリィゼは戦う気がなかった。

 伏兵など仕込んで看破されれば、それこそ交渉がご破算になる。

 仕込むことなど、ありえなかった。


(だって……だって、もし伏兵の存在を知られたら――だって……ッ!)


「突撃する騎兵隊と接触する前に、あのケダモノを射殺せ」


 弓騎兵が矢を引き絞り、迫るジオへ一斉に狙いを定める。


「……どう、して」

「ん?」

「アタシ、たちは……こんなにも戦う気が、ないと……示した……示し、ました……」

「まだそのような世迷いごとを? 救えぬガキ。どこまでも笑えるぞ、おまえ」

「う、うぅぅ……ぐす……」


 わからない。

 ただ、自分は失敗した。

 過信、だったのだろうか――だったのだ。

 間違っていたのは、自分の方。

 蠅の――蠅王の言葉こそが、正しかった。

 だけど。

 もう、遅い。

 手遅れ。

 もう、何もかも――


「ぐあぁ!?」

「……何ごとだ?」


 ミカエラが崖上を仰ぐ。

 崖上から、次々と悲鳴が上がった。


「?」


 リィゼの位置からでも見えるところに、それらが姿を現した。


「ぁ――」

「ざぁんねん。ここは、私たちが制圧したわ」


 弓を構えた、キィル・メイルの姿。

 彼女と並び立つように、弓を構えたケンタウロスたちが現れる。


「キ、ィルぅ……」

「ほ、他の――」


 プルプル震えながらミカエラの髪が逆立つ。

 風のせいだろうが、怒りによるものにも見えた。


「他の騎兵部隊は何をしているぅぅうううう!? 所詮はごろつきどもの寄せ集めかぁああ! 地上にいる弓騎兵、あの崖上の人もどきを――なっ!?」


 劣勢。

 ジオに突撃していった騎兵たちが、劣勢に陥っていた。


「ひぃいい!? なんだぁこいつぅう!?」

「バケモノだぁあ!?」

「勝てるわけがねぇええ!?」


 その時だった。


「転進! てんしーん!」


 最後列からこちらへ退却してきていた騎兵たちが、再び、馬を翻した。

 崖上から降り注ぐ矢や攻撃術式を見て、こちらへ行くのは自殺行為だと感じたのだろう。


 が、その中の騎兵の一人が疑問をぶつける。


「で、ですが引き返してもあちらにはあの豹人どもがいます! ご覧ください! 豹人の数は、まだあんなに残っています! 一方の我々は、もうこれだけしかっ……、――っ! グラン殿!」


 最後列の方を向いていた騎兵の背後に――黒影。

 光る深紅の眼。

 轟音を上げ、水平に振り切られる黒刀。

 馬の首ごと――騎兵が、上下真っ二つに断裂した。

 赤い血を浴びに浴びたジオが、ゆっくりと口を開く。

 くぐもった低い唸りの後、



「――殺す」



 一瞬、血の気の引くような沈黙があって。


 騎兵隊が、逃亡を開始した。


 最果ての国から逃げるように来た道を引き返していく。

 崖上からは容赦なく矢の雨が浴びせかけられた。

 攻撃術式も放たれている。


 第一騎兵隊は、すでに潰走かいそうの体と化していた。


「待て! 逃げるなっ!」


 ミカエラが呼び止める。

 が、恐怖に駆られた騎兵たちは止まらない。


「ぐっ……なんだ――なんだ、これは……」

「み、ミカエラ殿」


 取り残された形になったのはミカエラと、副長と思しき男。

 ミカエラは背後――最果ての国の方角を振り返った。

 集まっていた。

 ラミアたちが。


「……しまった」


 ぎりっ、と歯ぎしりするミカエラ。


「進むべきだった……盾しか持たぬあのラミアどもの方へ、突撃すべきだった」

「ミカエラ殿! そのアラクネは使えるはず! 人質になりますぞ!」

「なるわけないでしょぉ?」


 冷淡な声が、頭上から降り注いだ。

 侮蔑的な目でキィルがこちらを見下ろしている。

 副長が口角泡を飛ばし、キィルに向かって叫んだ。


「こ、この者はおまえたちの宰相なのだろう!? 殺されたくなくば――」

「はぁ? 聞いてないわけぇ?」

「?」


 が、ミカエラの方は理解した顔をしている。


「……失念していた。このアラクネは、人質としては役に立たん」

「なぜです!?」

「私は聞いている……あの者たちは、このアラクネに反発して国を出た者たち……あの者たちにとってはむしろ、死んでくれた方が好都合」


 ミカエラが、キィルを見上げる。


「でなければ、あんな冷たい表情でこのアラクネを見てはいまい」

「その通り。私たちは自分の力を過信したそこの宰相くんのせいで、こうして予定外の戦いを強いられることになったのよ? 救う必要は、ない」


 ヒュッ!


「ぐあ――ぁ……、――」


 キィルの放った矢が、副長の眉間を貫いた。

 そしてキィルは感情の失せた目と声で、ミカエラに言った。


「さ? 宰相殿を殺したいならどうぞ? 無意味だけど」

「ぐ、ぅぅっ……」


 脂汗を滲ませ、ミカエラがアーミアたちの方を見る。

 そして再び振り返るミカエラ。

 彼らの来た道には、


 刃に血を滴らせた、血濡れのジオ・シャドウブレード。


 まるで殺気が立ち込めているかのような、凄絶な姿だった。


「蛮族、ども――がぁぁああああ……ッ」

「で、どうする?」


 左右に黒刀を広げ、ジオがミカエラに尋ねた。


「てめぇは大将格だろ? 捕虜を望むなら、考えてやらなくもねぇがな」


 ミカエラが見たのは、第一騎兵隊の死体群。

 遠くで何人かの騎兵が、豹人にとどめを刺されているのが見えた。

 もはや全滅と呼んでもいいくらいの、壊滅状態。

 ギリギリ……、と歯を軋ませるミカエラ。


「獣、風情っ――がぁっ……この、ミカエラ・ユーカリオンにそのような減らず口をっ――」


 刹那、



 崖上から黒い影が、躍り出た。



「なっ!?」


 ケンタウロスたちを縫って飛び出した二つの黒影。

 巨なる灼眼黒馬に騎乗した蠅騎士装の女。

 黒馬は、あの高さからなんともなさそうに着地した。

 そして、今、ミカエラの脇にやはり平然と着地した者がもう一人――



「お、おまえは……一体……」

「我が名は、ベルゼギア」


 蠅王装の男。



「ご安心ください、我々蠅王ノ戦団はあなたの味方です。どうやら、ギリギリ間に合ったようですね。お助けにまいりました、第一騎兵隊長――ミカエラ殿」





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― 新着の感想 ―
[一言] 宰相のキャラ設定が意味不明…バカだけど!
[一言] 宰相よ。ボコボコにされたくらいで心が折れる程度の覚悟でしたか、、、
[気になる点] なぜ宰相がここまで人間を信じられるのかそのエピソードがないと強引すぎる気がする。
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