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恋敵

俺はさっそくクエスト案内所に向かった。


「クエスト案内係のパリーです」

「クエストをお探しでしょうか?」


「初めてなんで、いろいろ教えてもらっていいでしょうか?」


「難易度により5段階のレベルがあり、最も易しいのが1になります」

「条件にあったクエストをこちらでお探しします」

「クエストを受ける場合は、紹介料をお支払い頂いています」

「こちらでクエストを受注可能な場合と、依頼主に会って頂く場合がございます」

「クエストは期限があるもの、必須スキルがあるものなど条件付きのものがありますのでお気を付けください」

「特に高額のものは保証金をお支払い頂き、失敗すると没収となる場合がございます」

「クエストを完了した場合、こちらで報酬をお支払いする場合と依頼主から直接、お渡しいただく場合がございます」

「依頼主が契約を反故にした場合は、こちらでは補償できませんので、自己責任でお願いします」

「こちらにご登録いただきますと、受けたクエストの経歴が保存されますので、名指しでクエストの依頼がくる場合もございます」


「モンスター討伐はありますか?」


「モンスターというとどのようなものになりますか?」


「ゴブリンとかオークです」

予想外の質問に戸惑いながら答えた。

こっちの世界はモンスターが普通いるから、俺たちの世界の獣の感覚なんだろうか?


「それではこれなんかいかがでしょう」

パリーは俺の恰好を見て査定したのかクエストの依頼書を取り出した。


クエストレベル2

ターゲット オーク2匹

報酬 金貨5枚

特別事項 クエストを受けてから3日以内に倒すこと


「シルバーウルフはどのレベルですか?」


「それでしたら、そこの紹介料無料の掲示板に貼られているものになります」

「狩った獣の肉・皮・骨などを指定されたお店に持っていくとお金が支払われるというものです」


シルバーウルフってレベル1以下ってこと?

オークなんて絶対無理じゃん。


「パーティーメンバーも紹介頂くことはできるのでしょうか」


「はい。条件をおっしゃって頂ければ、お探しします」

「こちらで受けたクエストの経歴が参照できますので、選定のご参考にしてください。」

「パーティーの参加条件はそれぞれ違いますのでよくお読みください」

「ご紹介の際には、紹介料をいただきます」

「パーティーの参加の決定は当事者同士の話し合いとなります」


「こちらでの経歴がない場合は難しいですよね」


「あちらに紹介料無料のパーティーメンバー募集の掲示板がございます。記載されている経歴は自己申告のものになります」


俺は掲示板へと足を運んだ。


募集 ゴブリン討伐隊メンバー

パーティー構成 弓使い 槍使い 魔法使い

募集内容 ヒーラーを求む

特徴 20代の若者パーティーです

経歴 ゴブリン専門 討伐多数


いくつかの募集をみたがやはりスキルを必要としているものばかりだ。

俺は甘かった。

初心者はどこの世界でも足手まといだ。

パーティーに入れてもらえるわけがないのだ。


俺は落胆してこの場を去ることにした。

俺も服を買いにいこう。

楓もまだいるかもしれない。


商店街へ向かった。

あれ?

現代風の服に着替えた楓がいた。

思わす見とれるほどの可愛さである。

楓は路上でイケメンな男と話しをしていた。


なんであんなやつと話しをしてるんだ。

俺は嫉妬していた。


「楓さん」

俺は心を落ち着かせ名前を呼んだ。


「なにお前、その顔。ウケるんだけど」

楓と一緒にいた男が言った。


何だ?コイツいきなり失礼だぞ。


「こいつ楓の知り合いか」


いきなり楓って呼び捨てで呼んだぞ。

しかも、なんか上から目線でむかつく。


「紹介するね。こちら、鶉くん。で、俐亜武(りあむ)くん」

「俐亜武くんね。わたしたちと同じでゲームから来たんだって」


「昨日な、酒場で酔っ払いのオヤジに金貨1枚払って、いろいろ教えてもらったんだ」

「そしたら、俺と同じようなやつがいるっていうから探してたんだ」

あのオヤジのことか?ぷぷっ、ボラれてるよ。


「きっと、鶉くんのことよね。わたし酒場行ってないから」

じゃ、なんで楓に声かけたんだ?ナンパだ。楓が可愛いから声をかけたに違いない。


「今日の宿代の銀貨5枚払ったら、もうすっからかんさ」

宿代の相場のこと教えてもらわなかったのか?


「楓、服ありがとな」


なんだ・・どういうことだ?

こいつ楓に服集ったのか?


「それで、鶉くんどうしたの?」


俺はクエスト案内所で見てきたことを話した。


「未経験者がパーティーに入るのは難しいと思うんだ」


「俐亜武くんにも仲間に入ってもらおうよ」


「俺に任せろ。俺はドラゴン倒せるから」


それはゲームの中だろ。俺はこころの中でつっこんだ


「すごい!頼りにしてるね」

「わたしも魔法でおよばすながらサポートします」


「魔法使えるの?」

俺は驚いて聞き返した。


「使えるよ。わたし魔法使いだもん」


「でも、こちらの世界で使えるか試した?」


「うん」


どういうことだ?

俺は剣技が使えなかったが。いや、使い方を間違ったのか?

ひょっとして、俐亜武のやつも何か使えるのか?

やばいこのままでは、俺だけ足手まといに・・・。


「ドラゴン狩ろうぜ。ドラゴン」

ドラゴンなんて絶対無理だから・・・。


「楓もいるし、ドラゴンは危ないんじゃないかな」

「俺も服買いたいし、今日は無理だな」

時間稼ぎして、別のものにするように説得しよう。


「じゃあ、今晩の飯はお前の奢りだな」

殺す。俺は殺意を抱いたが、自分が足手まといになるかもしれないという負い目で何も言えなかった。

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