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美少女戦士現る

思わずクリアしてしまったクエストの報酬の金貨5枚を受け取った。

報酬の配分は最初に決めた通り3:1:1である。

とは言え、俐亜武は俺に借金があるので金貨2枚を返してもらった。

配分については不満があるが、今回報酬が受け取れたのは俐亜武のおかげと言えなくもない。

俐亜武に貸した金は諦めていたので配分については了承した。


俐亜武はあの後、ポーションで回復させたので元気になっている。

オークに捕まっていた女はポーションで傷は癒えたが、精神的に立ち直れていない。

夫と共にこの村の近くを通ったときに運悪く攫われてしまったらしく、夫は既に殺されていた。

村の女ではなかったが、しばらく村で面倒をみることになった。


俐亜武の扱いには困っていた。

俺は2度も俐亜武に見捨てられている。

楓にとっては俺とともに助けに来てくれた一人として評価しているようだ。

メルルについては意外にも役に立ちそうだし、楓が面倒を見るようなので心配はしていない。


今回2戦とも勝利したが内容は危なっかしいものであった。

俺は2戦とも死にかけている。今、生きているのは奇跡のようなものだ。

安定して勝利するには頼りになる仲間がいる。

クエストをクリアしたことで実績ができたし仲間を探してみることにした。


ヘルテコに戻ると、クエスト案内所を訪れた。

クエスト案内係のパリーによるとメルルのクエストは受けていなかったが、誰もクエストを受けていなかったので有効だと言う。

もし、仮に誰かがクエストを受けていれば、俺たちがオーガを倒していてもメルルはクエストを受けた者の報酬となっていた。

ただ、メルルがそれを拒否した場合、強制することはできない。

メルルにクエストの契約を反故にしたペナルティが課せられ、場合によっては損害賠償を求められたりする。


俺たちのメンバーには回復職がいない。

パリーに誰かいないか尋ねた。


「需要の多い職業ですから、現在、パーティーの参加を希望している方はいません」


「・・そうですか」

俺はがっくりと肩を落とした。


「わたしたちも掲示板を使わせてもらいましょう」

「ゲームプレイヤーってわかるように仲間を募集するの」

掲示板を見ていた楓が言った。


「そうか。その手があった」


俺たち以外にもまだゲームプレイヤーがいるかもしれない。

掲載料を払って掲示板を使わせてもらった。

ただ俺には不安があった。

仲間は誰でもいいわけではない。

俐亜武みたいなのは、もうごめんだ。

楓がまた変なやつを引き込まないようにしないといけない。

クエスト案内所にくるのは俺の役割としよう。


翌朝、俺は一人でクエスト案内所を訪れた。


「鶉様、パーティーメンバー募集に対して応募がありました」


「本当ですか?」


「戦士のようですが、会いますか?」

パリーはそういうと自己紹介書を差し出した。


うちのメンバー戦士ばっかになっちゃうな。

そう思いながら自己紹介書に目を通した。


職業 美少女戦士

性別 女

年齢 ご想像にお任せします(⋈◍>◡<◍)。✧♡

経歴 聖マリア女学園在学中


なんだ?この美少女戦士って

経歴のとこの『聖マリア女学園在学中』って履歴書に書くやつか?

やばい、絶対やばいやつだ。


「この方はクエストの経歴がありませんので、経歴は自己申告のものです」


俺は少し考える。

会えばなにか収穫があるかもな。


「はい。会います」

嫌な予感しかしないが、会ってみることにした。


「今日のお昼にこちらに来られるそうです」


俺は昼なると再びクエスト案内所を訪れた。


そこには猫耳メイドの恰好をした少女がいた。


「初めまして。俺は鶉です。名前を教えてもらっていいかな?」


「美少女戦士クリスティーンなのにゃ~」


ああ・・・・やっぱりそう来たか・・。


「ゲームで転送されて来たんだよね?」


「そうだにゃ~」


「美少女戦士って何?」


「悪と戦うヒロインにゃ~。戦うときに変身するにゃ~」


「戦士というからには武器は剣?」


「クリスティーンは魔法使いなのにゃ~」


「どんな魔法使える?」


「マジカル・ウインクとマジカル・投げキッスにゃ~」


「その恰好ゲームのキャラなんだよね?実は男とか?」


「しっ失礼な。正真正銘の女の子にゃ~」


「語尾ににゃ~付けるのやめよっか」


「クリスティーンは猫耳族であるからして、にゃ~と鳴いてしまうのにゃ~」


「今回のパーティーへの参加の件はなかったということで」


「ま、ま、待って。独りは寂しいのにゃ~」

「ふぇーーーーん」


泣いてしまった。

こうなると男は弱い。

ここで無視しても、いずれ楓に見つかるだろう。

仕方ない。楓と会わせよう。

ああ、ゴミが増えてゆく。


宿の近くで待たせて楓を呼んだ。

メルルも一緒に付いてきた。


「初めまして。楓です」


「わたしは斎藤佳奈子といいます。初めましてです」


あれ?にゃ~は?


「ボクはメルルだ。よろしくだ」


「可愛い~。その耳本物ですか?」

そういうと、メルルの頭を撫で始める。


だから、にゃ~は?


その後なにやら女子独特の雰囲気で話が盛り上がっていったが、俺はさっぱり付いていけなかった。


「鶉がわるいよー」


「「ねー」」


どうやら俺が悪いということで話がまとまったみたいた。

佳奈子はこの町の近くで泣いてるところを助けられたという。

今は大衆食堂(本人曰くメイド喫茶)の手伝いをして暮らしている。

パーティーに参加したいというよりは現世界の人がいると知って会いたくなったという。

討伐クエストは怖いから嫌だそうだ。

俺との会話はメイド喫茶のノリだったとか。


俺には無理だ。女子はさっぱりわからない。

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