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異世界転送

俺の名前は兜 鶉。

大学受験に失敗し、そのままニートをしている。

受験に落ちた理由を家族のせいにし、一人暮らしをはじめた。

親は俺が勉強していると思っているが、ゲーム三昧の日々だ。

生活費は仕送りで賄っている。バイトはしていない。

家があまり裕福ではないので、予備校へは行っていない。

その代わり、参考書代をもらっているが、俺の小遣いとしてゲームに費やしている。

後ろめたさはない。

落ちたのは家族のせいだ。

俺が頑張っているのに、楽しそうにしてた。

家族の協力が足りなかったから、落ちたのだ。

成績も悪くはなかった。

少し勉強すれば、必ず受かる。

だから、今は遊んでいるのだ。


今日はアップデートの日。

俺のハマっているVRMMOゲーム「ワールド オブ フェアリーテール」のだ。

運営が混雑を恐れてか、平日の10AMに配信された。

フレンドもログインしていない。

みんなが来る前に先行して優越感に浸るのだ。

アップデートの内容は詳しくは発表されていないが、新フィールドが追加されるようだ。

初心者から熟練者まで楽しめる内容になっているとのこと。

早速、新フィールドへ行くための、クエストを受ける。

指定された場所へいくと、巨大なゲートがあった。

クエストを受けるとき、依頼主が言っていたが、ゲートを潜ると元の世界には戻ってこれないという。

クエストを完了しないと戻ってこれないということか?となると、しばらく戻って来れないかもしれない。

ゲーム内で死ぬと、ペナルティとして、所持金をすべて失う。

しかし、自由に行き来できないとなると、無一文は心もとない。

初心者でも楽しめる内容ということは、金がなくとも何とかなるということだ。

だが、ゲームを有利に進めるために金が必要かもしれない。

俺は最強装備を装着し、30万ほどの金を所持して、ゲートを潜った。


「すげぇー」

俺は感嘆の声を漏らした。

めちゃくちゃリアルだ。

広い草原が目の前に広がっている。

風が頬をかすめ、肌寒く感じる。

・・・風?


このゲームはゴーグルを装着することにより、あたかもゲームの世界にいるような感覚が得られる。

だが、それは視界のみ。その他は、他のゲームと同じ。操作はゲームパッドだ。

窓でも開けてたか・・・。


いや、何かがおかしい。

リアル過ぎる。

それにこの感覚。

自分の体を弄ってみる。

・・・えっ・・・・。

えーーーーーーー!?

甲冑のようなものを着ている。

顔に手をやる。

ゴーグルがない。


「ここどこ・・・?」

周囲を見渡すと、俺の潜ってきたゲートはない。

俺は確かに自分の部屋でゲームをしていた。

ゲートを潜ったら、本当に異世界へ転送してしまった。

それしか、考えつかない。


魔法が使えたらここは異世界だ。

しかし、俺は戦士。魔法は使えない。

俺は背中からロングソードを抜こうとした。

・・・抜けない。

長すぎて鞘から出し切れないのだ。

ゲームでありがちのデザイン重視の長剣。

使いづらいよな。これ。

何とかロングソードを抜いて、刀身に顔を映してみる。

「ああ・・・・」

俺だ。

ゲームでは、イケメンの若者だった。


ああ、そうか・・・。そういうことか。

どうやら俺は、精神疾患かなんかで多重人格になったらしい。

もう一人の方が、コスプレしてここまでやってきたのだ。

そして、もう一人の人格の時の記憶がない。納得。

信じられない話だが、異世界へ来たというよりは現実味がある。

おいおい、この衣装いくらしたんだ。

今月の生活費ないとかじゃないだろうな。

俺の人生終わった。こんなんじゃ、就職もできないだろう。一生ニートだ。

いや、一時的なものかもしれない。ゲームで徹夜が続いたから、ちょっと疲れただけかも。

家帰ろう。


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