表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/49

落ちることはもう慣れた

穴に落ちてからの記憶が曖昧だ。それでも最初に体を刃物で切り刻むような鋭い痛みが全身に駆け巡る。

「赤いな……」

視界が真っ赤に染まっている。全身から血液が全て流れ落ちるのが痛覚を通して分かる。

「ああ……痛いな……」


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


痛い……


「これは罰か……」


この痛みは一体いつまで続くのだろうか? 頭に血がないと何も考えれないのに……いや、まず息をすること……否、生きることができないはずだ。それでも、僕は生きている。


……それにしても


「いつまで落ちるんだ?」


不意に


目の前に赤い炎が広がる。

「え?」

地獄の炎ともいえるその業火は燃やし尽くそうと一瞬にして僕を包み込んだ。刃物の次は火炙りか……なんだか嫌な感じだ。それもそうか、ここは地獄だ。地獄に救いは無い……いや、あるな


「蜘蛛の糸か」


諦めて目を瞑っていたが

「ん?」

違和感を感じ目を開けると

「熱くもないし、燃えてもいない?」

全身を包む炎から一切熱を感じない。体を燃やす気配もないと思っていたが……


「服は燃えるのかよ」


雨宮から貰った黒いジャージが燃えている。


「あ」


今気づいた。聴力も視界も正常になっている。改めて周囲と自分を見ると、上下ともに真っ黒い空間を全裸で落下しているようだ。今思えば恥ずかしいんだけど……


「ぐぼあっ?!」


水?!


何がどうなってんだよ(うぁぼぁおぅなぁっお)!」

今度は水の中に落ちたようだ。息ができない……水中ってこんなに苦しいのか……死にたくないな……死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな死にたくないな……


「え?」


水の中で意識を一瞬失った僕は、気づけば僕は真っ白い服を身につけ、驚くほどに美しい草原が広がる空間に立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ