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第10階層 何もしない部屋

黒い空間を下に下に落ちていく。どれだけ時間がたったのか不明である。

「あああああああああああああああああああああああああああ」

ちなみに飛び降りてからずっと叫んでいるので口が乾いてきた。

「ははははははははははははははははははははははははははは」

聞いたことのある声が聞こえる。

「えええええええ?!」

上を見上げると、僕より先に飛び降りたはずの雨宮が何故か僕より上空にいる。

囚人君ほるだーくんやっほー⭐」

「何で?! 僕より後に落ちたはずなのにいいいい?!」

「気のせい! 気のせいだよ!」

今度は雨宮が僕の隣にいる。

「嘘だあぁぁぁ?!」

「ほらほら下見て! 下!」

雨宮に言われるがままに下を見ると不意に黒以外の色が視界に映った。

「ふぇ?」

次の瞬間、真っ黒い空間から一転色鮮やかな空間に変わった。

「ついたかー!!」

その空間は壁と天井から白と黒の紐が多く吊られ、床全体には色彩豊かに多くの布が綺麗な模様を作るように敷かれている。そしてしばらくすると

「ぶぇしっ?!」

地面に叩きつけられた感触が体全体に伝わった。でも、そんなに痛くない?

「イエーイ! ひゃっくてーん!」

雨宮さん綺麗に着地できるのなら受け止めてください

「さてさて」

雨宮がきょろきょろと辺りを見渡している。

「おーいヒョウガくーん」

そして誰かの名前を呼んだ。しばらくすると

「ようこそいらっしゃいましたー……第10階層 何もしない部屋マイルームへー……あー……めんどくさい……」

僕達2人以外誰もいない空間に無気力な声で誰かが喋っている。

「もー! 違うでしょヒョウガ君! 君の階層の名前は第10階層

何もしない部屋むきりょくなくうかんだよ!」

雨宮が階層の名前を訂正した。ってか声の主はどこに……


「やあ……」


目が合った。

「わっ?!」

目の前に紫の看守の服かわったふくを着た無気力な目をした日向と同じ赤い髪の青年が、まるで蜘蛛のように紐を足から出して逆様の姿で僕の目の前に現れた。

「こんにちは……あー……めんどくさい」

無気力すぎる。

「雨宮さん、この人は……」

「彼はここ階層主……ってか僕と同じ幹部の1人で、日向ちゃんのお兄さん」

人間使いしようにん日向ひなたヒョウガです……よろしくです……あー……めんどくさい……」

使用人? 同じ幹部でも、妹の方が上の立場なのか? 支配人ってたしか言ってたし……

囚人君(ほるだーくん)僕たち幹部の二つ名の呼び方は立場とか関係ないからね」

心読まれた。

「えっとねー」

雨宮は袖からペンとメモ帳を取り出すと何かを書き始めた。そして

「はい」

僕に一枚のメモを渡してきたので僕はそれを読むと


僕 二つ名「狂気使い」 ルビ あそびにん

アレス君 二つ名「復讐使い」 ルビ しょけいにん

日向ちゃん 二つ名「恐怖使い」 ルビ しはいにん

ヒョウガ君 二つ名「人間使い」 ルビ しようにん


「ルビが痛いだけで立場は一緒でおけー」

「はあ……」

「まあ、それはともかくヒョウガ君」

「なーにでしょうか? ……あー……めんどくさい……」

「彼は下にいる?」

「……いるですよ……あー……めんどくさい……」

「階段の場所は?」

「そこを曲がって……3歩……歩いたところ……ですよ……あー……めんどくさい……」

説明が雑だしゆっくりだし何かツッコミしにくいな

「じゃあ僕達は行くとしましょう、行こう囚人君(ホルダーくん)

「はい」

ヒョウガに背を向けた瞬間

「あー……でも……」

また目の前にヒョウガが現れた。だけど今度は

「死んでください……貴方は……」

「え?」

背中から大量の機関銃が生えている。しかも、僕を射殺しようと全銃口を僕に向けている。


「さようなら……白の箱船(おにいさん)……」

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