壊れた人形
雨宮が投げた金の鍵は1度グレンの背に当たり軽く跳ねると
「?!」
市場で雨宮とアレスを吸い込んだ黒い穴が広がり、グレンを吸い込んだ。しばらくすると、炎は跡形もなく消えグレンがいた場所周辺に焦げたあとが残っていた。
「小癪な真似を何故する? 雨宮ハルヒ」
「それはこっちの台詞だよ日向ちゃん」
雨宮は日向を指差した。
「いい加減に囚人を自分の操り人形にしないでおくれよ」
「それの何処が悪い? 貴様には何も害はないだろう?」
「え、まじ? 人としてのモラルがまだ無いの? これだから君のお兄さまは……だめなん」
「お兄ちゃんの悪口を言うな!!」
「だ……」
日向の声が空間に響く、するとヌイグルミ達の姿に変化が起きた。愛らしいものから禍禍しい魔物の姿にみるみる姿を変えている。
「何が悪いの?! 私は私、それだけ! 私は悪くない! お兄ちゃんも悪くない! 悪いのはお前だ!! 雨宮ハルヒ!! 行け! 私の人形達!! あいつを殺せ!!」
日向は雨宮を魔物人形達に襲うように指示を出した。それに対して雨宮は
「この……
人形が!!」
ふっ切れた。
「壊してやる!! 跡形もなく! 君はこの世界にもいてはいけない!」
雨宮の両方の袖から黒い魔物の群れが溢れだした。
「行け!!」
一斉に日向に向う魔物の群れはみるみるうちに、日向の人形を壊していくそれは圧倒的に雨宮の優勢だ。
ぐちゃ
嫌な音がした。
「これで終わりか」
魔物の中で1番大きい魔物が日向を踏み潰している。
「さようなら日向ちゃん」
手を口に当てて雨宮は笑い出した。
「また壊しちゃった⭐」
目の前には壊れた人形と嘲笑う雨宮の姿……僕はどうしたらいいんだ?




