鍵
「それにしても、最近の囚人は、ろくに挨拶もできないのか?」
煙管を1度口に咥え、すーぅっと息を吸い、しばらくして煙管から口を放しふぅーっと煙を吹き出すその姿に妖艶な女性の魅力を感じた。
「こ、こんにちは……」
「後は名前も言えたら完璧だが……貴様、名前ぐらい言えるだろ?」
「あ、すみません……僕の名前は
***」
え? 今
「そう、あたしは日向アザミ、この地獄の看守にして幹部の1人恐怖使いだ」
幹部か……なんともまあ……
「どうしたの?」←子どもっぽい奴(幹部)
「アレス何時起きるんだよ……」←背負われている奴(幹部)
なんか幹部っぽくないんだよね……この2人
「それにしても……貴様は」
日向はアレスを背負っているグレンのほうを向いた。それに反応したグレンはアレスを床に放り投げた。日向はグレンに煙管を向けると
「幹部……アレスハルト1人ならともかく、雨宮ハルヒまで……何故、連れてきた?」
鋭い目つきでグレンを睨んだ。
「ぐっあぁっ?!」
睨まれたグレンの口から血が溢れだした。
「どんな理由だろうともそれは許さん」
グレンは崩れるように床に倒れる。
「あたしの命令は、最高権力者の兄上様をここに連れてこいと言ったはずだ」
兄上様? それって……まさか、僕の事なのか?
「そういや……そう……うっ……ゲホッゲッホ……だっ……たな……」
床に倒れたグレンは苦笑いで言葉を発する。
「せっかくお兄ちゃんが作ってくれた、複製した鍵を借りてまで作戦を練ったのに……それをよくも壊してくれたな、グレンダール」
「それは……残念なこった……だが俺は……連れてくるだけは……実行できたぜ? 幹部様……ゲホッ!」
カッコいいこと言っているのか分からないが、口から血が出ているぞグレン
「おー、なんかヤバイね」
あんたはあんたで気楽だな
「それにしても……鍵は僕達看守にしか使えないはずだよ? グレンはこれでも一応、囚人だ、どうやって使えるようになった?」
雨宮は疑問に思ったのか日向に質問した。
「そんなことも知らなかったのか? これだから雨宮は……まあいいだろう特別に教えてやる」
日向はくるりと煙管を回すと煙管は鍵に姿を変えた。
「本来、鍵は看守にして階層主のみ使用できるという条件に使用が許可されている。だが、実はこの鍵には大きな弱点があってな。複製が可能で只の看守でも実は使用できる。そして、看守の服を着ているだけの囚人でも使用可能、囚人1人につき2つ鍵を使用することによって、鍵の効果が発動され実質、囚人でも使用が可能だ」
「そんな事出来たんだ」
雨宮あんた知らなかったのか
「ハツシリハツシリ」
なんで棒読み
「それでも、このグレンは失敗したか……だから囚人は嫌なんだ」
日向は鍵をくるりと回し元の煙管に戻した。そしてその煙管をレンに向ける。
「消えろ」
すると、煙管から小さな炎の火種が溢れ出した。そしてグレンに炎が集まりだした。
「また……火刑か……」
グレンの言った言葉どおりにグレンの体が炎で燃えている。
「グレン君!」
その様子を見た雨宮が袖から金色に光る鍵を投げた。
「滅び行く魂に祝福を!!」




