おかえりなさい
「何故だ!!」
目を覚ますと同時に空間に独りの男の声が響く。僕は座っていた椅子から立ち、胸に刺さっている豪華な装飾の刃物を引っこ抜いた。そういえば鎖で縛られていたのにどうやって抜け出せたんだ? まあいいか
「確かに貴様は死んだはずだ!」
「……」
胸元から赤い液体が流れている。しばらく床に零れた液体を見つめていると、零れ落ちていた液体が1つの塊になってすっと、僕の胸に入ってきた。ついでに破れたジャージの箇所も元通りになっていた。
「その能力! まさか貴様、あいつと同じ地獄の力を使えるのか?!」
……そいえば雨宮が言っていた言葉の意味は……どういうことだろうか?
「何故貴様は!」
「僕の父は……」
「ん?!」
そのとき僕の中から無意識に言葉が出てきた。
「僕の父は光鳥……そして、母は……影虫だ」
「なっ?! あいつと同じ混血種だと?!」
「父は母をあの戦争の決戦で殺し独りぼっちになった」
「その力を持つ者だろうが、蘇ることは一切許されない! 死んだ者の魂は魂の檻に戻ることは二度とできぬはずだ! そして!」
だからこそ
「だからこそ」
「混血の忌み子がこの世に2人もいては、ならんのだ!!」
「だからこそ」
僕は
「弟を殺さなくちゃいけない」
「やあ、影王と囚人君」
どこかで聞き覚えのある狂気溢れる声の主は僕の左肩に手を置くと
「はい、記憶消去⭐」
なにかを呟いた。
――――――
「雨宮さん?」
「はい、雨宮です⭐」
「何故ここに……」
「色々と聞きたいのは僕なんだけど」
「狂者」
「雨宮だよ。現在進行形で僕の名前は雨宮ハルヒだ。二度とその名で呼ぶな過去の王様」
「ふん、貴様は何年見ても変わってはいないな」
「僕は僕さ⭐ それ以上でもそれ以下でも何でもないそれが今の僕だ。さあ、囚人君後は僕に任せたまえ」
雨宮の言葉に僕は膝から崩れ落ちる。
「どうやら力尽きたようだな」
この力はやっぱ……使い……慣れて……ない……な……
―――――――
「まあ良い、今回は引こう」
「あれ、君が案外あっさり手を引くなんてすごい事だね。本当に何があったのさ」
「戯者、誰が貴様に言うものか」
「ちっ……ってかさそろそろ変えたら?」
「何をだ?」
「この階層に入る条件」
「何故だ?」
「馬鹿げた条件じゃん、魂の檻を持つ者以外は入れないって」
「それが何故悪い?」
「そんな条件じゃ、僕と最高権力者君と、この子しか今のところは入れないじゃん」
「たかがその程度で何になる? 来訪者は我は好きではない」
「そ、まあいいけど」
「まて雨宮」
「なんだい? 僕忙しいんだけど」
「貴様には何故その罪人が蘇ったか分かるか?」
「……内緒⭐」




