第6階層 感情が生まれる箱庭
下へ降りる階段が続く空間に雨宮の狂った様に笑う声が木霊している。
「雨宮さん」
「あははははは」
「雨宮さん」
「あーはっはっはー!」
雨宮のテンションが本当におかしい。
「雨め……?!」
アレスが口を塞いできた。
「黙っていろ」
メッチャ睨んできたので黙る事にした。
「あ……そうか」
しばらく静だったグレンが口を開いた。
「確か次の階層は雨宮と相性が悪い場所だったな」
は? という顔をしている僕を見たグレンは
「……まあなんというか行けばわかる。あそこは好きじゃない脱獄したときに通ったが一番やばかった。他の階層以上の狂気があったな……」
その言葉だけを僕にくれた。
「あーえー」
階段を下りた先には、至って普通の木製の扉
「早く開けろ」
アレスが扉をなかなか開けようとしない雨宮を急かす。
「うー」
第1階層の場所程じゃないにしてもテンションがおかしい……いや、マジで
「雨宮さん、大丈夫ですか?」
「囚人君……僕はどうしたらいいんだ……」
頭を抱えうずくまる姿は子供の様だ。
「雨宮さん、とりあえず落ち着いてください」
「残念だけどね囚人君、僕はいたって普通に冷静なんだよ」
そうなのか? 全くそうは見えないけど
「だからこそこの先は大っ嫌いなんだ」
雨宮は覚悟を決め、そっと扉を開けた。
「ようこそ……第6階層 感情が生まれる箱庭へ……」
真っ黒い空間の中の中心に彼女は居た。
「やあ、こんにちは嫉妬心」




