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女帝と囚人

貴方(ゆー)は誰?」

ニコニコと楽しそうに笑う少女は僕を指差してきた。

「僕は囚人ホルダー……です」

囚人ホルダーさん?」

「はい、囚人ホルダーです」

「……わぁ、あい初めて囚人ホルダーをみました!」

少女の瞳がきらきら輝いている。

「え?」

あい病気のせいで、あまり起きることができないので、最高権力者様と幹部様達以外の人と会ったことがないんですよー」

すごく喜んでいる。

「本当に囚人ホルダーはいたんですね! あい初めて知りました!」

なんというか……すっげー純粋?

「あの、1つ聞いてもいいですか?」

「はい、何でしょうか?」

質問?

貴方(ゆー)の名前を教えてください!」

「……えっと、僕の名前は」


『Arc』


今……何か

「……ごめんなさい、実は僕記憶喪失で色々と名前とか全く覚えてないんですよ」

「そうなのですか……残念です」

しょぼんとした表情の少女になんか申し訳ない

「こちらも1つ聞いてもいいですか?」

「はい! (あい)が知っていることなら全部教えます!」

「最高権力者はどうやってこの地獄(くうかん)をそうぞ……」


「あ、いたー!!」


後ろから聞き覚えのある声がした。

「……狂気使い(あそびにん)雨宮ハルト?」

彼女のその言葉に僕は後ろを振り返る。

「やあ、囚人君ほるだーくん数時間ぶりだね!」

僕に向かって手を振っている雨宮の表情は少々険しい。ちなみにアレスは元気になったのか自力で歩いている。

「それにしても……君が起きているなんて、珍しい事もあるんだね女帝様スリープ? 後、僕の名前は雨宮ハルヒだ。間違われやすいがハルトじゃない」

「そうかしら? でも、今回は389時間しか眠ってないみたいよ? ()()()()()()⭐ 後、ごめんなさいね。ハルトだと思ってたものだからついハルトって呼んじゃった⭐」

寝すぎだろ

幼女外見(ロリババア)の癖に生意気だよね……年齢詐欺で訴えようか?」

「あら、それは貴方ゆーもよね?」

2人から殺気が立っているんですけど!


「いい加減にしろよ」


アレス? 雨宮の後ろのアレスが2人以上の殺気を放っている。

「いい加減にしろ! こんな事で喧嘩をするな! 貴様らそれでも看守ノンホルダーか!」

怒っていらっしゃる。ダメだこりゃ

「いや、アレスく……」

雨宮が引いている。ダメだこりゃ

「元を言えばまず貴様だ! 雨宮ハルヒ! 貴様は毎日毎日いや! 何年たっても子どものままだ! そのこに座れ!!」

雨宮と少女を正座にしたアレスは説教を始めた。

「あー、あれは終わりそうにないな」

横からグレンが声をかけてきた。

「いたんですか」

「ひどいな」

「どれくらいで終わりそうですか?」

「どうしようもないぐらい長いな」


――――――20分経過

「アレス君いい加減にしてよ!!」

雨宮が机はないが机をバーンと叩いたかのように急に立ち上がった。

「なんだ、雨宮まだ話はおわって……」

「いい加減にしてあげてよ! 女帝スリープそろそろ寝ないと死にそうだよ!!」

「……雨宮……最後に……ぐっ! ……あえ……」

「スリィィィプ!!!」

なんというか


「茶番か!」


グレンの突っ込み。

「まあいいだろう」

アレスが階段があるほうへ身を翻した。

「……やっと終わったか」

「そうだね……」

二人ともおつかれさまです。

「いこうか……2人とも……って……っっ!」

雨宮が足の痺れダメージを負っているが影狼(モンスター)に乗せてもらい階段に向かって進み始めた。彼女の方はさっきいた木の方へ這いずるように向かっている。そんな光景を見ていた僕も雨宮たちの方へ向かうと

「あ、囚人ホルダーさん」

彼女に声を掛けられた。

貴方ゆーの質問簡単に答えるとね。この地獄は彼の思い出が形になって生まれた場所なのだから」

彼女は飛びっきりの笑顔でこう答えた。


「貴方も知っているかもしれないわ」


その瞬間世界は黒に染まった。

「え?」

囚人君ほるだーくんどうかしたの?」

雨宮の声がする。

「雨宮さん……」

後ろ振り返るとそこは

「大丈夫かい?」

階段が下に続く空間だった。

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