第4階層 空に位置する王都
血まみれのアレスが笑っている―――――――――
足音が空間に響き渡る。主に雨宮の足音である。
「そういや次は」
先頭にてぴょんぴょんと跳ねるように階段を下りる雨宮は急に立ち止まるとくるんと後ろを振り替える。ちなみに僕は不意に振り向いた雨宮の胸に顔が当たった。相変わらずに反射神経悪いな……
「アレス君」
雨宮は最後尾のアレスの名前を呼ぶ。アレスの方を見ますとなんと言うことでしょう般若面の如く険しい表情ではないですか
「そんなに嫌なの?」
笑顔でそういうことをさらいと言う雨宮の神経はどうなってんだ。
それからしばらく歩きまして
「扉はっけーん!」
扉が見えてきた。
「……鱗?」
良く見ると扉には色とりどりの鱗が貼り付けられていた。
「さて、開けよう」
雨宮が扉に手をかける。
「ひらけー! 扉! おー」
扉は
「おー」
扉は
「おー」
「開かない」
「今の間は何ですか?!」
「だって思ったより重いんだよこの扉! だって僕普段この階層は鍵を使って飛ばしているから開け方分からないんだもん!」
目をうるうるとさせる青年の言い様はまるで子供である。
「……開きそうだけどな」
鱗がついている以外、普通の扉にしか見えない扉に手を触れると
ジュッ
「いっ?!」
なにか焼ける音がした。触れた手を見てみると
「え?」
皮膚が焼けて軽くただれていた。
「え?」
「大丈夫かい?!」
「大丈夫……です」
火傷した場所は、驚くことに全くもって痛くない。雨宮は慌てて袖から応急手当セットを取り出して手当てをしてくれた。
「あ、思い出した。この扉、看守でなおかつ竜人にしか開けられなかったなー……あ、後囚人が触ったら火傷するんだよね? アレス君」
「ああ、そうだ」
早く言ってよ! 無駄に怪我したじゃん!
「アレス君! 看守でなおかつ竜人の君が開けたまえ!」
雨宮がアレスを指差す。
「アーレース! アーレース!」
雨宮がアレスコールをし始めた。アレスコールって何だよ僕
「仕方ないか……」
アレスは扉に手を掛ける。少しアレスが力を入れると
「おおー」
扉が動き出した。そしてそのまま思いっきり扉を開けた。
「ようこそ第4階層空に位置する王都へ」
目の前には青い大空
「え?」
その光景に僕は目を疑った。
「雨宮さん」
「どうしたの?」
「これは夢ですか?」
「いいえ現実です」
とりあえず今目の前の光景を説明するぜ! 部屋の中身が全部空なんだ! 俺もなに言っているかわからないけど仕方ない!
「落ち着きたまえ囚人君」
「いやいやいや、これはどう落ち着けと」
「大丈夫だって、前見てみなよ」
「え?」
前を向く
「どうした?」
アレスとグレンが平然と立っていた。どうして?
「聞いたことないかい?」
?
「鏡みたいに空を映し出す湖があるってこと」
そんな事聞いても……
「まあ君、記憶喪失だから仕方ないよね⭐」
雨宮がぴょんと扉と部屋の仕切りを飛び越える。
「ほら、大丈夫だろう?」
僕は少し怖かったけど雨宮が早く早くと目で言っているので
「えい」
頑張った。




