千年鏡
目を覚ますと、すごくふわふわした……まるで浮いている感触を覚えた。実際浮いている。ちなみに目の前の世界には様々な物が僕と同様に浮いている。
「何だよこれ……」
他人から見たらガラクタな物を多く収集しているのか?
「趣味悪いな……」
「失礼な化け物じゃのう」
上から声が聞こえた。
「いや、だってこれ、どう見てもガラクタにしか……ん?」
その声に聞き覚えがあった。
「せんねんきょう?」
上を見上げると
「貴様なかなかやるのう。本来ならワシの収集棚に入ったモノは、生きていようが死んでいようが関係なく記憶が完全に無くなる筈なんじゃが……どうやら貴様は面白い奴よのう」
そこに居たのは、銀色に毛先に少し水色が混じったやや短めの髪に青と緑のオッドアイの年寄りのように喋る十歳にも満たないだろう少年がぷかぷかと浮かんでた。
「……」
「この姿に声も出ないかのか? まあ仕方ない、これが本来のワシの姿じゃ! どうじゃ? 可愛いじゃろう?」
いや、ドヤ顔で話す少年がじじくさい口調で話している事が不思議なだけなんです。
「それにしても貴様」
「あ、はい」
上にいた千年鏡は僕の方へ降りてきた。
「貴様は自分自身の記憶を見たわけじゃが……何か覚えておらぬか?」
「え?」
「ん? もしかして覚え取らんのか?」
何のことやらさっぱり分からん
「いやはや……やはり……面白いのう」
少年の姿をした老人は顔に手を当て笑い出した。
「とにかく、何故貴様のような化け物が「レベル10」に認定されたか分かったわい」
「どういう意味ですか?」
その瞬間
「貴様から見て雨宮ハルヒはどう思う?」
話が変わった。
「どういうことですか?」
話が急に変わったのでとりあえず驚く
「貴様から見た雨宮はどんな人間に見える?」
「それは……」
雨宮の人物像を聞いているのか? それなら素直に答えよう
「変わった人に見えますけど……」
「それだけか?」
「?」
「何故あの雨宮ハルヒが貴様をそこまでして観察したいのかが分かるのう。まあ良かろう、雨宮の事だそろそろ貴様出さぬと破壊される……今日は面白い一日だった、ありがとう。
白の箱舟」
「え?」
今、ホワイトって呼んだけど……それは僕のこと?
「貴様がこの先何を見るのかワシは楽しみじゃが、同時に恐怖しておる」
「それは、どう……い……み……」
意識が遠くなっていくのを感じる。
「貴様の運命は貴様が決めろ。ワシは鏡の間で傍観しておるでのう」
最後に
「貴様の愚弟に会いたくないからのう」
何か聞こえた。
――――――――
「おかえりー囚人君」
眼を覚ますと目の前で雨宮が笑っていた。
「本当に迷惑なじじいだなアイツ」
文句を言うグレン
「何年経っても年よりは年寄りだ」
不機嫌なアレス
「まあ、面白い事も見れたし行こうか」
楽しそうな雨宮
「囚人君早くしないと置いていくよー!」
「すぐ行きます!」
僕達は鏡の世界を後にした。




