人喰い
雨宮の言葉を聴いた瞬間何か焼ける匂いや腐った匂いが鼻に突き刺さる。
「ゔっ……」
「大丈夫かい?」
「気持ち悪い……です」
「相も変わらずに趣味悪いね」
「貴様よりまだましだ」
「ひっどーい! だからアレス君はダメなんだ!」
周囲を見渡すと壁近くに無数にある煙突から無限に溢れ出ているのか、焼けた肉や血のつい肉、まだ完全に焼けていない生焼の肉がボトボトと落ちてきている。
「アー」
何やら僕達以外の声がする。声の方へ振り向くと、ゾンビのように意思を持っているのか持っていないのか分からない、何かの肉を食べながらこっちに向ってくる無数の人型が僕達を目指して歩いてきている。
「早いな」
「早いね」
「あれだけ大きな音を出したらそりゃ来るのも早いだろう」
何がなんだか分からない……
「あ、囚人君いい忘れたけどここの階層みんな人喰い罪で入れられている人間だから安心して本当に⭐」
安心できるか……てか、グレンもカニバリズムで入れられたのか。
「ん?」
視界に一瞬だけ何かが見えた。ゾンビじゃない人型動きが素早くゾンビじゃない者が見えた。
「褐色の肌で髪の毛が白い」
「どうしたの?」
「あ、今褐色の肌で髪が僕みたいに白い」
「呼びました?」
「そうそう」
僕の隣という調度良い所に僕が見た、褐色の肌に白い髪、目の色は青く猫背気味の男性が
「調度こんな感じの人を見たんです」
ん?
「人喰い!」
そいつに捕まれた。
「こんにちは、そしてさようなら」
知らない人の声がした。多分そいつの声だろう。
「囚人君!!」
「チッ! 奴も紛れていたか!」
雨宮は急いで腕を伸ばしたがもう僕には届かない。
「アレス君かグレン君! 早く彼を追って! 囚人君は最高権力者君に生きて渡さなきゃダメなの! 怒られる!」
「そんな事心配している場合か?!」
冷静にツッコミ入れるグレン
「囲まれたか」
冷静に状況判断しているアレス
「もー! めんどくさい!!」
遠くから戦闘の音が聞こえる。
「それにしても貴方も結構頑丈ですね? 我の空間に入ったというのに、さすがは白の……」
僕の意識はそこで途切れた。




