幸せなる家族
私は人形に綿をつめるように、お父さんにあの人の肉を入れた。
顔は死んでも優しそうだったから、傷つけないで入れてあげた。
いひひひひっ、お父さんは満足そうで私はとっても嬉しい。
私の家族は仲良しだね。
「あ、忘れてた」
私はあの人の骨を食べるお父さんを玄関に置いていき、部屋の奥にあるクローゼットへ向かった。
よかった、静かにしてくれていたんだ。
クローゼットを開けると、中には頭が潰れた私のお母さんがいる。
いきなり他人の部屋の扉を壊そうとするんだもん。
私が止めなかったら今頃警察が来てたかもしれない。
いひひひひっ、そんなお茶目なお母さんが私は大好き。
「ね………?ね…?いるいるるでしょ?……ぇ……?」
「うん、お母さんの言ってた通りだよ!いたね、いひひひっ」
「そうよね、ね?」
「そうだね。後で頭の傷は直さないとね。けど私、汚れたから先にシャワー浴びるね!」
私はお母さんを入れたままクローゼットを閉めて、シャワーを使いに風呂場へ行く。
脱衣所で赤く湿った服を脱ぎ、シャワーを浴びた。
隣人の血が私の体から流れていった。
浴びている途中、部屋から叫ぶ声や慌ただしい音が聞こえる。
多分、お父さんかお母さんが頭を壁に叩きつけているのだと思う。
いひひひっ、賑やかな家族で私は幸せです。
お父さんもお母さんも騒がしいけど、きっとそれは寂しそうにしている私を元気付けるため。
お父さんは首をつって死んだけど帰ってきたし、お母さんも薬を沢山飲んで死んだけど帰ってきたもの。
それにお父さんもお母さんも私には優しい。
だから私はこの家族が大好き。
私の家族は世界一仲良しです。