最終話 かけがえのないひと
こうして龍泰は西の終わりを目指した
幾多の難を乗り越え着いた先は西の終わりの遺跡
【遺跡と言うより孤島じゃないか?】
確かに西の終わりは大陸と少し離れた孤島だったただ見たこともない建造物があるため遺跡の部類に入っているのだ
『さて、どこだろう?』
【…やっと…着いたね…】
『なぁ…あんたが竜吉なんだよな?』
【それは思い出して?…】
『どこに行けばイイんだ?』
【このまま真っ直ぐ…里が…ある…】
『わかった』
『ここか…崩壊し』
『あっがっ』
『な…んだ…』
【全てを…思い出した…愉しかった事も悲しかった事も…】
【思い出したくなかった?…】
『いや、思い出してよかったよ』
【ありがとう…】
『ごめんな…バカだったよ…』
【何が?】
『俺は…ただ過去から逃げてただけだった…過去を忘れて強くなれる訳がない…過去を受け止めて強くなるもんだ、愉しかった事や嬉しかった事ばっかり受け止めて、悲しかった事や辛かった事は切り捨てて、そんな都合イイことやっても強くなれるわくなかったのに…ただ受け止めるのが嫌で逃げて逃げて…バカみてぇだな…』
【でも…受け止めてくれた…それで幸せ】
『やらなきゃならないことがやっと見えてきたよ』
【…龍泰…】
『みんなに負けねぇくれぇデカくなってやるからよ、もうちっと待っててくれ』
龍泰はそれより約3ヶ月で全土を平定した
総死者数 0
全土を平定した龍泰が出した法律は簡単にまとめると
上下関係のない社会
犯罪がないよう皆で協力する
皆で喜怒哀楽を分かち合う
だ
皆が笑って暮らせる世…
竜吉と2人で作ってみたいと言っていた世界…
『約束通り作ったぜ?』
【今日…龍泰から私宛てに文が届いた…記憶の事を書いてあって最後に〈俺は…竜吉を忘れることだけは絶対に出来ない…だから麗とも居られない…麗を傷つけちまう…ごめんな〉と書いてあった…文と一緒に花も贈られて来た、花にも小さな手紙があった、手紙にはこう書いていた
花の名前は紫蘭〈しらん〉花言葉は…お互いに忘れないように…
涙が止まらなかった…
でもこの涙は綺麗なモノだ
この涙は…悲しみではない、と言えば嘘になるけど大半は嬉しさだ…
龍泰に逢えてよかった…心からそう想える】
龍泰が全土を平定し既に幾年たっただろうか…
未だに国は栄えている…
皆が笑って暮らしている…
笑顔の素敵な国だ…
龍泰は国を創ると後を任せ街外れに住んでいた
『ほら、竜吉…人は心の壁が無くなるとこんなにも穏やかなんだぜ?自分とは違うモノを受け止める勇気が全てを幸せに変える…そう俺に悟らせたのはお前だしな…』
【照れるぜ】
『あっこのネックレス返さなきゃな』
『お揃いのヤツ龍泰私の首から取って持っていったもんね』
『お前を前にすると優しくなっちまってたんでねぇ』
【ありがとね】
『あぁ、俺ももうそっちに行くぜ?十分に生きたからな…もう流石に寿命みてぇだ』
【うん…おいで】
『竜吉』
【何?】
『やっぱお前だけだよ、俺の路を照らせるのは』
【ありがと、照れるぜ?】
『可愛い奴め』
【あっそう言えば私の墓に毎年同じ花を添えてたけど…あの花は何なの?】
『あれは姫桜、花言葉は永続する愛情だよ』
【ありがとう】
『イイよ…お前は俺にとって〈かけがえのないひと〉だからな』




