第58話 すべて世はこともなし
大団円! お読みください。
何だったんだろうここ数日のことは……?
事務所の中でわたしはもだえている。
マスターをはじめ、わたしの近しい人から何となく責められたような複雑な気分。挙句の果てに最上くんまでお小言なんて……。
わたし、何か悪いことしたのかなぁ? そこまで周りに迷惑かけたはずないんだけど。
今までのことを思い返す。
マスターは『わたしのしたいことは?』って聞いてきたし。住職は『わたしは一人じゃない』って言いたかったみたいだし、最上くんは『人には見えないものが見えるのにその力に気づいていないのはもったいない』なんて言うし。
わけわかんない。なんで寄ってたかってわたしを責め立てるのだろう?
でも……みんな似たようなことを言っていたような……。
『やりたいこと』は今のところハッキリしたものはないけれど、テロ事件に関わっておぼろげながら感じたものがある。
蔭山さんの事件のときは正直、『メンドクセぇ……適当にやってもらうものもらっておこうか』ぐらいのつもりだった。事務所の経営がピンチだったし、お金さえ手に入ればとしか考えていなかった。
でも、あのとき警察の対応に憤りを感じたのは警察の事なかれ主義に対するいらだちだけじゃなかった。明確な言葉にするのは難しいけれど、強いて言えば『魔導術士』という職に対する蔑視を感じた。そこに、そのときまで意識したことのなかった憤りを初めて感じた。
元々、この職を選んだ理由がいい加減だったから、『魔導術士』という仕事そのものには思い入れはなかった。いろいろ世間の人に言われたことはあったけれど、さほど気にしたことはなかった。
でもそのときわたしは初めて自分の仕事、職業について強く意識したと同時に自分が魔導術士なんだという自覚を持ったんだと思う。だから、魔導術士という職業に対する蔑視に敏感になったんじゃないかな? でないと怒りを感じることなんて絶対にない。
その後はテロリストに振り回されて、そんなことを考える余裕はなかったけれど、その思いはわたしの心の奥底に深く刻まれたんだと思う。
そして、あの花火大会でのテロリストたちとの死闘。身も心も極限まで追い込まれて、わたしは泣き言を言う暇もなく、働かなければならなかった。まなみが満身創痍で入院したから、今まで彼女がしていたことを何から何までしないといけなくなった。
それでも事務所の代表としてやるべきことは山積み、休むことはできなかった。そのときわたしが思ったのはこの場所を守りたい、守らなきゃという思いだけがわたしを支えていたと思う。
そこには魔導術士としてとか、イタコだからとかそんなカッコいいことを思っている暇はなかった。どんなにみっともなくても、日々のルーチンをこなすことに忙殺されても、今の事務所を守り続けることだけがわたしの義務になっていた。
そんなときにまなみから一連の事件の元凶を知らされた。
正直、もうたくさんだった。でも逃げるわけには行かなかった。まなみは悲壮な覚悟で、お祖父さんと刺し違えてでも事件に終止符を打とうとしていた。
まなみはお祖父さんがラスボスであることをわかって自分自身の手で解決しようとしていたと思う。だから、手段を選ばすなりふり構わず、テロリストとの戦いに没頭したんじゃないのかな? だから、あんな“殺しのライセンス”みたいな魔導術行使許可を取っていたんじゃないのかな……。
一歩間違えば自爆しかねないほど危ない選択をするほどの思いを考えるとそう思える。
……そう思いたい。そう信じておこう。多分そのほうがみんなが幸せに過ごせると思う。決して、あの戦いの中で見せた無理無茶は彼女の性格や嗜好からくるものじゃないと……。
とにかく、まなみは自分の、自分なりの理由を見つけて、仕事をしていた。自分の身内と刺し違えることになっても、問題を解決する決意をっていたんだ……きっと。
だとするとわたしは……何をすればいいのか……答えは……。
まなみだけにそんな悲痛な思いをさせて、なんの答えも出さず、現状に甘んじることなんてできない。
わたしは『魔導術士』にして『イタコ』。
そのわたしができること、ううん、しなければならないこと……
…………うーん、なんだろう? 正直な話、術は扱えても、高度な物質操作ができるわけではなしいしなぁ。手を触れずに物を動かしたり、物を冷やしたり、凍てつかせるぐらいのことでさほど世のため人のためになるとは……。
魔導素子にのっている人の思いが見えると言っても、色で認識できるというだけでそれで何ができるというものでもない。
だぁぁ……完全に詰んだ! 考えれば考えるほど底なし沼に足を取られるような感覚。抜け出せない。
あ、もういいや……。
わたしは考えることをやめて、頭を冷やすため、外を歩くことにした。
外は未だ寒風吹きすさび、冬将軍が居座っていることを感じさせる真冬の空気が満ちあふれていた。ひな祭り前はなぜか特に冷え込むことが多いけど、今年は特に冷える。それだけでも結構気分を消沈させる。その上に……。
まったく、何でこんなに考えないといけないのかな……。悪いことしていないのに。
ブツブツとグチりながら、当てもなく歩いていると見覚えのある景色にたどり着いた。ひなびた旧家の前に立っていることに気づく。
ここは……
本格的にヤツらと関わる羽目になったおひな様事件のあった陽子ちゃんちじゃないですか。そういえば陽子ちゃんは元気かな?
陽子ちゃんちをさりげなくのぞいてみる。うちの中に陽子ちゃんと思しき女の子と男の子が遊んでいる。
「あ! まほーつかいのおねーちゃん!」
陽子ちゃんがわたしのところへ駆けてくる。陽子ちゃんのお母さんもわたしに気づいた。
「あ、どうも……あの時はお世話になりました。お蔭様でした」
「いえいえ、それが仕事ですから。陽子ちゃんお元気そうですね」
「んもう……この子ったら。すいません、落ち着きのない子で……」
「このぐらいの子はこのぐらい元気なほうがいいんじないですか。あ、こらこら」
じゃれつく陽子ちゃんをあやしながら、お母さんと話していた。ふと陽子ちゃんと遊んでいた男の子を見た。何か不思議そうな顔でこちらを見ている。
あれ……どこかで見たことあるような……?
「おねーちゃん、まほーつかいなの? もしかして、海で助けてくれた人?」
「海? 海……? あ……あのときの……」
おぉ、そういえばまなみと温泉に行ったときにそんなこともしたな。特別なことをしたつもりはなかったので記憶の奥底にあって思いだすのに少し時間がかかった。
「ぼく、おねーちゃんみたいなまほーつかいになる! まほーでこまったひとを助けるんだ」
目を輝かせてそう言う少年の姿が妙にまぶしく感じられた。
少年の姿を見ていると何か忘れていたものを思い出した気がした。
「あ……! あの時の魔法使いさん……? あのときはお世話になりました。お蔭様で息子は死なずにすんで……」
少年の母親は感謝の言葉を述べるが言葉を続ければ続けるほど、あの時の感情がよみがえってきたのか、どんどん目は潤み、声はかすれてくる。わたしは『まほーつかい』でも『魔法使い』でもない『魔導術士』なんだと声を大にして言いたかったが、そういう雰囲気ではなかった。
多少、わたしに対する認識に一言言いたい気分ではあったが、それを差し引いてもこんなふうに感謝されるなんて思いもよらなかった。この稼業、ののしられたり、見下されたりすることはあっても、こんなふうに感謝されることなんてほとんどない。
なんとなくむずがゆく、照れくさいような、それでいて悪い気はしないなんとも複雑な気分……。
「……それほどお気になさらずに。たまたまあの場所にいただけなので。それにあのときことは仕事の一環のようなものですから……」
「いえいえ、それでも貴女たちがあの場所で力をふるってもらえなければ、息子は確実に亡くなってました。あの場にいた誰にもできなかったことを貴女たちはしてくれたんです!」
「……はぁ」
少年のお母さんは言葉を重ねるごとにヒートアップしていく。反対にわたしはなんとなく冷めていった。それでも、感謝してもらえるのは有り難い。
ふと、その時最上くんの言葉が何の脈絡もなく思い浮かぶ。
『――人が見えないものも見える力がある――』
何気なくお母さんを“見て”みた。うっすらと喜びの色である、黄色のモヤがまとわりついているのが見えた。それも今まで見たこともないような明るい純粋な黄色。まったく打算もなくただ純粋に歓喜に満ち溢れた明るい色。
この人は本当に心の底から喜んでいる。魔導術士に対し、魔導術士である『わたし』に対して何の嫌悪感も無く本当に……。
その瞬間、今まで感じたことのない感情が心の底からフツフツと湧き上がってくるのを感じる。
魔導術士って感謝されることもあるんだ。貶されるか、見下されるか、どちらにせよまともな稼業の人間とは思われなかったこの稼業をしていて、はじめて純粋な感謝の念を向けられて感じた、はじめての感覚。どうして今まで感じることができなかったのだろう?
はじめての経験に戸惑うわたしにお母さんが怪訝な表情で話しかけてくる。
「……どうかされました?」
「いえいえ……何でもありません……ダイジョウブデス」
お母さんの声に我に返り、何とかこの場を取り繕おうとしたが棒読みのセリフになってしまった。
「……そうですか。なんでもなければいいのですが」
お母さんはかなり上がったテンションを私の様子を見て少し下げた。
「あの……お母さんちょっといいですか?」
「……はい、なんでしょう?」
わたしは感じたことを聞いてみた。
「わたしは魔導術士です。世間では魔導術士をよく思わない方も大勢います。そのことは……」
「ええ。もちろん存じています」
「だったら、何故……」
「当たり前の話じゃないですか。息子の命の恩人に感謝するのは当然のことです。それは魔導術士だろうがやくざだろうが変わりありません」
「そうなんですか……」
まさか、“や”のつく自由業の肩と同列に扱われるなんて思わなかったけれど、本当にわたしに、『魔導術士であるわたし』に感謝してくれているんだ。
そこまで考えが至ると何か肩の荷が下りたような、心地よい脱力感を感じた。
「……魔導術士というお仕事が具体的にどういうお仕事かは細かいところまではわかりません。それでも、術士さんの力があったからこそ息子は今日ここで生きているんです。その事実は誰が何を言おうと変わりません」
お母さんは力強くわたしに語る。その目には一片の曇りはなく、まっすぐわたしを見つめている。
わたしは何か言おうとしたが、言葉がうまく出てこない。仕方がないので、あいまいに微笑む。
「ご自分の職業に何か思うところがお有りなのですね……うまくは言えませんが、大丈夫です。自信を持ってください。貴女の力が人を救うことは間違いありません」
お母さんはそう言って、子供をあやすような笑みを浮かべた。わたしはただ「ありがとうございます」と返すだけだった。
「それじゃお暇します。頑張ってください」
お母さんはそういって少年とその場から離れていった。
「まほーつかいのおねーさん、がんばってねぇ」
少年は手を振り、母親と去っていった。わたしは彼女たちを手を振って見送る。
「魔導術士の……杏さんでしたっけ? 本当に感謝しているのですよ、わたしも」
少年のお母さんとのやり取り、黙ってみていた陽子ちゃんのお母さんもわたしに感謝の念を改めて表す。
「……警察に行っても、まともに相手にされないようなお話をちゃんと聞いてもらえたし、そのおかげでおひな様も戻ってきました。すべて杏さんと事務所の方のおかげです」
「いえ……そんな……自分の職務を果たしただけです。大したことは……」
「それが大事なことではないですか? ふふ、これからの活躍をお祈りしていますわ。陽子、お家に入りなさい」
陽子ちゃんのお母さんはにこやかに会釈して家へ入る。陽子ちゃんもお母さん真似をして家へ入った。
一人取り残されたわたしは夕暮れの中にたたずむだけだった。
「……わたしは魔導術士として、イタコとして何をしていけばいいのだろう?」
沈む夕日がやけにまぶしく、潤んで見えたのはたぶん気のせいじゃなかったと思う。
「……何ができるのかはわからないけれど、わたしの力は誰かを救う……それは事実……」
少し何か見えた気がして、踵を返し事務所へ向かう足取りが若干軽く感じたのも、たぶん気のせいじゃない。
「なら……探しに行こう。ここじゃないどこかへ」
――――☆―――――☆――――
あれから何日かいろいろ考えた。でも結局行きつくところはそう変わり映えのしないところだった。やっぱりここに、この場所にとどまっているだけでは何も変わらない。どこかに何があるのかわからないけれど、ここじゃないどこかへ行けば違った風景が、違ったものが見えてるはず。そこまでは整理できた。
あとは……。
後顧の憂いは……絶っておかないとね。
わたしは意を決して、マスターの店へ行く。
「マスター、チョットお話が……」
わたしは今まで考えたこと、感じたことを洗いざらいマスターに話した。……というよりほとんどぶちまけたといったほうがよいかも。特に具体的な目標も将来像もなく魔導術士になったこと。テロリストとの戦いの中で、徐々に自分が魔導術士なんだと自覚していったこと。マスターがテロリストのとの戦いの後、当面の目標がなくなって改めてこの先どうしたらいいのか思いまどったこと、その他もろもろ……。
多少の苦笑いを交えて、時折手を止めてちゃんと向き合って聞いてくれたことは感謝に堪えません。
「それで……旅に出ようと思うんです」
「旅に……?」
マスターはわたしの言葉が飲み込めなかったらしく、多少首を傾げわたしの顔を見つめる。
やっぱり言葉が足りなかったかぁ……。
内心、やってしまったと思いつつ、説明をつづけた。もっといろんなとこへ行って自分の力を試したい。魔導術が役立つ場所を探したい……などなど思いつくままマスターに話す。
「なるほどね。その気持ちはわからなくはない」
マスターはようやく合点がいったのか、わたしの考えに賛同してくれた。
うし! だいぶんいい感じ。感触は悪くない。今こそ後顧の憂いを絶つべき時!
「それで……お願いが……」
わたしの旅に随伴してほしいとお願いしてみた。この旅はいつ終わるともどこまで行くともわからない当てのない旅で、マスターに手助けしてほしいとお願いしてみた。
正直なところ、旅のお供というより……じ、人生のお供になって欲しいという気持ちなんですが……うまく言えない。そこのところは微妙にごまかしてしまった。
しかしマスターは微妙な面持ちでわたしの話を聞いている。今一つ感触が良くない。
「……ダメですか……?」
マスターを上目遣いで見つめる。たぶん若干涙目になっていたと思う。
マスターは何か考えて、少し黙っている。
「…………この店を放置するわけにはいかないからね」
何か思うところがあるのか、マスターは影を帯びた笑みを浮かべ答える。
……ん、分かってはいたけれど直接言われるとくるものがあるなぁ……。
マスターの言葉にガックリ肩を落とし、あからさまに落胆していると、更に言葉が続く。
「それに旅から帰ったときにここがなかったら、どうするんだ? 俺はここを守る。
……いつまでも待っているから」
『……いつまでも待っているから』 このセリフが頭の中で繰り返される。
ふ……不意打ちぃ……え? え? なに、なに、なに……? 何を言われたの? え? え? え?
マスターの一言で心臓の鼓動は三十二ビート、体温は二度ぐらいは上がった感じ……。目の前のものが何もかもが揺らいで見える。
完全に舞い上がって、火照る顔を抑えていると、マスターがさらに、さらに言葉を続けた。
「行ってこい。いつまでもこんな小さな街に縛られることもない。それに杏ちゃんの背負ったものはそんな小さなものじゃない。とびだせ。俺の知っている杏ちゃんはどんな困難にでも立ち向かえる」
わたしは次の言葉を待ちわびるようにマスターをじっと見つめる。
「俺の……知っている……お、俺の大事な板梨杏はそういう娘だ……」
恥ずかしさからかうつむきたどたどしく話すマスター。いつものクールさが今はまったくない。結構いい年だったはずなのに、今目の前にいるマスターは恋愛慣れしていない男子高校生のようだった。
でも……だからこそ……何のごまかしもないストレートな気持ちだと信じられる。マスターは本当にわたしのことを……!
その言葉にあふれだす涙。今まで言わずに抑えていた想いもあふれ出し、涙が止まらない、止められない。言葉にしようにもあふれだす想いに言葉にできない……
あふれだす涙を拭うこともなく、微笑んでみた。きっと自分で言うのも何だけどとびっきりの笑顔だと思う。
そのとき突然店の扉が乱暴に開いた!
「ふっふっふ。やっと言質を取ったわね、杏。お疲れ」
扉を開け入ってきたのはまなみだった。まなみは件のテロリストよろしく黒い笑みを浮かべ入り口で元々豊満な胸を強調するように腕を組み、仁王立ちしている。
「え? 何でいるの、まなみ……?」
彼女の突然の登場に驚き戸惑っていると、得意げに宣う。
「根回ししておいた甲斐があったわ。ホントマスターったら強情だったんだから」
「まなみちゃんには勝てないな。結局追い詰められてしまったよ……」
マスター……どういうことでせうか……?
疑問符が頭の上に一ダース以上は浮かべているわたしに対し、むやみやたらに胸を張るまなみ。マスターは額に手を当て、うつむく。心なしかやつれた雰囲気を醸し出している。
まなみ……あんた、マスターに何をしたの……!
今置かれている状況がよくわからないものの、まなみがマスターに何かやらかしたことだけははっきりわかる。まなみめ、わたしのマスターに何をしたっ……!
わたしの剣吞な雰囲気につかさずどこからか現れた最上くんが説明を始める。
「いや、昨日姐さんが……」
最上くんの説明によると、まなみがマスターに詰め寄って、きちんとわたしに対する気持ちをはっきりさせるよう強要したらしい。きっとまなみのこと、筆舌に尽くしがたいことをしたに違いない。怒りを遥かに通り越し呆気にとられ、魂が抜けた……。
「……喜んでいいのか、怒るべきなのか」
たぶんまなみはわたしのことを思ってやってくれたんだと思う。そのまなみの気持ちはうれしいと言えばうれしいんだけど、相変わらず手段を選ばないやり方が……。どう考えても、もろ手を挙げて感謝のできる話じゃない。この人はいつどこにいてもまなみということだろうか……?
きわめて複雑な思いに微妙な顔をしていると、まなみが不満の声を上げる。
「何複雑な顔しているのよ? せっかく人が餞別送ってあげたのに」
「餞別……? へ……?」
まなみが腰に手を当て、呆れ気味に話す。「しょうがないなぁ……」感が半端ない。
「決心の変わらないうちにちゃっちゃと行っちゃいなさい。あなた、何かちょっとでも面倒くさいと思うとすぐ日和るんだから」
ようやく、まなみの言いたいことがわかってきた。しかし、いちいち誰かの精神を削らないと何もできないのだろうか、この人は……。
「ありがとう。ここは素直に喜んでおくわ」
完全に毒気を抜かれたわたしは呆れ半分に礼を言うぐらいしかできなかった。
「行ってらっしゃい。ここはあなたの居場所よ。納得したら帰ってらっしゃい。それまでちゃんと守っておいてあげる」
妙にスッキリとしたいい笑みを浮かべるまなみにもう言うことはない。
「うん……行ってきます」
わたしは旅立つ。
新しい世界を求めて。
~戦い済んで、すべて世はこともなし~
完