ホラー映画開始!
15.
「あぁたける、どうしてあなたはたけるなの?」
「何を言ってるんだお前は」
たけるがジト目でこちらを見てくる。
いや、特に理由はないんだけど。
しいて言うなら、たけるが私を困らせるからね。
まったく、普段冷静な(?)私でも、混乱させられたら、わけもわからず自分を攻撃してしまうわ(?)
ともかく、劇場内に入るわよ。
あと10分くらいで上映開始だしね☆
結局、時間つぶしは近くのファーストフード店でつぶしたわ。
まったくたけるったら、ホントデリカシーがないわね。
コ、コーヒーおいしかったけど・・・。
「ちかげ、席番いくつだっけ?」
せ、席番? えーと、Cの120番だから・・・。
あった、ここね。
「こっちよたける」
二人で席に座る。
うぅ・・・こんなに近くにたけるが。
き、緊張してしまうわ・・・。
「あ、俺トイレ行ってくるわ」
このデリカシーのなさですよ。
私のこと意識してくれてるのかしら。
時々(しょっちゅう)不安になるわ。
うっ、それにしてもこのイス狭いわね。
お尻がギリギリじゃないの。もっと広く作れないの!?
「ただいまー。お? ちかげイス狭いのか?」
窮屈そうに座る私をじーっと見るたける。
「そ、そうね。も、もっと広く作れないのかしらまったく」
横でたけるが席に着く。
「よいしょっと、ん? 全然スカスカじゃないかこのイス」
え? そんなはずは・・・。
「全然広いじゃん」
もしかして私のお尻の女子力が高すぎたのかしら。
「ちかげって、尻でかいんだな(笑)」
ちょ、ちょっと、なんてデカシリーのない・・・デリカシーのないことを!
女の子にそういうこと言うもんじゃありません!
「ごめんごめん、だって必死に座ろうとしてる姿が子供みたいでかわいらしくってさ」
か、か、かわいい!? たけるったらやっぱり私のこと愛してくれてるのね(勘違い)
「まぁ、とりあえず座れるからいいじゃん。映画早くみようぜ」
16.
映画の上映が始まった。
CMを着々と消化し、タイトルが高々と表示された。
無論『本当にあった怖いお話スィ』である。
ふざけてるのかしら。
とりあえず、ここから作戦実行よ。
まずはたけると手を繋ぐのが最初のミッションね。
怖いシーンを今か今かと待ちわびていたけど、一向にホラーな展開が来ない。
しかし、開始20分もすると雰囲気漂う幽霊の世界が私の心を覆っていた。
こ、こわい・・・。
「ゆうれいーだぞー!」
スクリーンに飛び出そうと言わんばかりの幽霊がこちらに向かってくる。
こわいこわいこわいこわい。
私は恐怖のあまり手が震えていた。
で、でも手を繋がなきゃ!
って、できるわけないじゃないのー!
たけるはというと平気な顔してスクリーンに釘付けである。よく平気だわね・・・。
さとみゴメン。私にはこのミッション、あまりにもハードル高すぎるわ。
私は手を繋ぐのをあきらめてずっと目を瞑ることにした。
だって怖いもの。
はぁ・・・私ったら意気地なしね・・・。
せっかくのチャンスだってさとみも言ってたのに。
「ちかげ、おい、ちかげ!」
隣からたけるの声がした。
「お前大丈夫かよ? さっきから目瞑って震えてるじゃねーか」
う、うっさいわねぇ。怖いものは怖いんだから!
「俺の手握ってろよ。そのまま目瞑ってるよりは少しは落ち着くだろ?」
たけるはギュッと私の手を掴んできた。
ミ、ミッションクリアー!! って浮かれてる場合じゃないわ。
私から手を繋ぐはずだったのに。
これじゃあアピールできないじゃないの。
「まったくちかげは怖がりなんだから」
・・・。
その時の私は恥ずかしさと嬉しさで、たけるに何も言えなかった。




