ビバ映画館!
11.
ううん・・・。
気が付くと私は、雪山に一人遭難していた。
どうしてこんな所にいるのかしら。
さっきまでたけるの家で・・・そうだ! たける、たけるはどこにいるの?
周りを見渡してもまるで水平線か地平線でも見てるかのように、果てしない雪景色が広がっている。
私はとても不安になっていった。
そして大きな声で叫んだ。
「たけるーーー! どこなのー?」
その声は猛烈な吹雪によってかき消されてしまう。
ダメだ・・・もう私助からないんだわ。
そう思った時だった。
聞き覚えのある声が私の耳に入ってきた。
「・・・かg! おい! ・・・かげ!」
これはきっとたけるの声だわ。
「おい、ちかげー!」
目の前にたけるの姿が現れた。
「ちかげ! この手を掴め! そうすればお前は助かる!」
もちろんよ。たけるの言うことならなんでも聞いちゃうわ。
私は自分を救うため、そしてたけるとの愛を確かめるため(?)この手を握る。
ん? なんかおかしいわねぇ。若干だけどコメディチックになってないかしら。ハテナマーク付いちゃってるし。
まぁいいわ、そんなこと気にしない。
私はたけるの手に引かれて、そのまま二人で愛の巣で一生過ごすのよぉ☆
瞬間現実に返された。
ハッ!?
気づいたら私はたけるの部屋のベッドに横たわっていた。
「ちかげ、大丈夫か!」
たけるが心配そうにこちらを見ている。
私、たけるに迷惑かけちゃった。
「突然倒れるから、びっくりしたんだぜ。何があったのかと思ったよ」
え? 私倒れてたの?
さっきまで、たけるとイチャラブ(?)してたはずなのに。
「まったく心配させるなよな、とりあえずもう少し休め」
私はたけるの言う通りにした。
何かしら。
以前も突然激しい頭痛に悩まされた日があった。
でもそれは最近じゃ起こらなくなったはずなのに・・・。
まぁ気にしてもしょうがないわ。
それよりたけるとのデートはこれからなんだから☆
12.
私は結局行き先を映画館にすることにした。
本当は遊園地へ行ってお化け屋敷でたけるに抱きつこうかと思ったのだけれど、あれに関しては本気で怖い。
仮に屋敷に入ったとしたら、それこそ良くて失神というところでしょうね。
こんなかわいい彼女(自称)の白目なんて見せたくないもんね? 大正解だわ。
「ちかげ、早く映画館行くぞ。恋愛映画館でいいのか?」
うちの地元だとそのくらいの映画館しかない。電車で20分くらいだ。
私はたけるに精一杯の愛嬌ある笑顔で「おっけー☆」と体をクネクネさせながら了承した。これでたけるもメロメロね。わかってるわ。
「変なポーズとってないでさっさと行こうぜーちかげ」
・・・。
この反応ですよ。
まぁ、わかってたわ・・・。
私達は、足早に駅へと向かい、映画館を目指した。
フッフッフ・・・覚悟してなさいよたける。
13.
映画館といえば、まずは作品選びよね。
えーと、上映してるのは・・・。
『社蓄戦隊サラリー・マン』 『男と漢の友情♂♂(R-18)』 『愛は世界を救うかもしれない(戒め)』
碌な映画ないわね。なんなのかしらこのラインナップは。
私としては恋愛映画を見たいのだけれど・・・。
「ちかげー、どの映画見るんだ?」
きたきた。
どう伝えようかしら。
さりげなく恋愛映画を見たいと伝えたいのだけれど・・・。
そんな時携帯に電話が掛かってきた。
「もしもし? ちかげ~? あたしよ、あ た し」
私私詐欺?
「違うわよぉ、さとみよ さ と み」
誰かをいじるのが楽しそうな声でさとみは話してくる。
「ズバリ、ちかげは今作品選びで悩んでるわね、映画の」
この娘何者!? タイミング良すぎるわ。
「実は~前もって作品内容は調べてあるのよ。これなんていいんじゃないかしら」
さとみは電話なのに、耳打ちするような声で作品名を答えた。
ふむふむ・・・えーっー!!
私はその作品名を聞いてびっくりしてしまった。
「ちょ、ちょっとさとみ、幾らなんでもそれは無理よ!」
「これくらいしないと、愛する二人の絆は深まらないのですよ」
「で、でもぉ・・・・」
「んもぉ、かわいいなぁちかげは。とりあえず映画館で手を握るタイミングは絶対に外しちゃだめよ」
体に緊張が走る。
「・・・ね? わかった? 言う通りにすればたけるくんメロメロだから」
さとみに聞かされた作戦を聞いて、たじろぐ私。
あぁ、さとみに助け舟頼んでホントに良かったのかしら・・・。
不安でいっぱいになる。
でもこんなところであきらめちゃいけないわ。
この作戦・・・絶対成功させる!
固い決意に身を委ね、私はガッツポーズをとった。




