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偏頭痛

4.


 学校へ着くと、私は自分の席へと着く。

 いつもの授業を淡々とこなしながら、たけるにチョコをあげるか否か、頭の中でループしていた。

 毎年チョコあげても、あんまり反応ないからなぁ、今年やめちゃおうかな・・・。

 弱気な自分と対面する。

 あーあ、いっそ時間が都合よく戻って、何度もチョコ渡す良いシチュエーションとか練習したいわ全く。

 その時だ。

「うっ・・・」

 私の頭にまた頭痛が発生した。

 さっきから多いわね、なんなのかしら一体。

 この痛みが来ると、見たことのない風景がノイズを帯びて再生される。

 それはとても切なくて、ほろ苦くて・・・。

 だけどハッキリとは見えない。

 そんな理解不能な情景だ。

 誰にも相談できず、とりあえず放置気味にしてる。

「ちかげ、おい、ちかげ」

 後方から男の子の声が聞こえる。

「また頭抱えてたけど、大丈夫か?」

 たけるだ。

 私の事心配してくれてるのかな。

「ううん、大丈夫。でもさっきからちょっと辛いかな・・・」

 たけるは心配そうな顔になる。

 本当に違和感を覚えるくらい、たけるは優しいわね。

 違和感・・・? 

 なぜ私は違和感を感じているのだろう?

 違和感に違和感がある。そんな感じだ。

「お、おい。本当に大丈夫か? いつもの元気なちかげらしくないぞ」

「ううん、ありがと、たける」

「なんかあったら、俺に相談しろよな」

「うん、わかった」

 この後たけると別れ、席に着くことにした。

 この日の学校は、これといったイベントもなく終了した。

 


5.


 バレンタインデーまで、あと5日。

 1日経った今も、私はあの頭痛に悩まされている。

 けれど、そんなこと言ってられないわ!

 待ってなさいよ、たける。

 とびきり美味しいチョコと、私の愛情で、脳までとろけさせてあげるんだから☆

「おい、ちかげ」

 たけるは私の方に振り向く。

「今の全部聞こえてるんですけど」

 たけるは何かを怖がるような顔をする。

「脳までとろけさせるチョコって、どんなチョコだよ! 俺を殺す気か!」

「え~、だって~」

 私は精一杯甘えた(?)ような声で。

「たけるの舌も、とろけさせちゃうぞ☆」

 と言った。

 こ、これでいいかしらね。

 雑誌の一面記事に書いてあった、『これを使えば意中の彼も!?』をふんだんに使用した、ちかげ特製ブレンドの魅惑の甘い声(Sweet voice)である。

「う゛っ!」

 あれー? 反応がおかしいわねぇ・・・。

『これで彼もあなたに惹かれるかも?!』って書いてあったのに。これじゃあ、『引かれてる』じゃないの。

 当てにならないのかしら、あの本。

「ち、ちかげ?」

「ん? なぁに?(スウィートボイス)」

「オエ゛ッ」

「ち、ちょ、オエッって何よ! オエッって! しかも濁点まで付けて一層気持ち悪さ際立ってるし!」

「ち、ちかげ・・・」

「何よ・・・」

 たけるは真面目な顔をすると。

「も、もうこの辺でやめよう。なっ! なっ!」

「地味に強引なのが気に食わないわねぇ」

 そんなに嫌だったのかしら。まぁ受け売りもあまり良くないってことで、教訓にするしかないわね。

 はぁ、好感度UP作戦失敗かぁ・・・。

 落ち込むけど、希望は持たなくっちゃね。

 今日も一日頑張らなきゃ。(カラ元気)



6.

 お昼はたけると一緒に食べたい。

 願望の強い私は、4時間目が中盤に差し掛かったころには、そればかり考えていた。

 どうにかして、たけると二人きりにならないといけないわね。

 別に独占欲が強いわけじゃないんだけど、他の人いると、その人に気を遣わなきゃいけなくなるし。

 


 お昼開始のチャイムが鳴り響く。



 チャイムと同時に、私は自分の弱そうな握りこぶしに力を込めて、たけるを誘うことを決意した。

「たける~☆」

「あ、なんだよちかげ?」

 たけるは既に、友人とお昼を食べていた。

 隣にいるのは・・・マサトか。

 マサトは何やら嬉しそうな顔をしているわね。気持ち悪いわ。

 まぁ、とにかくたけるを誘わないとね。強引にでも。

「たける、一緒にお昼食べようよ!」

「んー、まぁ別にいいよー」

 さすがたける、あっさり受け入れてくれたわ。嬉しい。

 だけど、隣の障害物が邪魔ねぇ・・・一体どうしたもんかしら。

 無論マサトのことである。

 私は傷つけないように、満面の笑顔でマサトに退室を促す。たけるにアピールするためにも、少し可愛らしく言わなきゃねっ。

 せーの。

「ごめん、マサトくん。席、外してもらえるかな☆ フフッ☆」

 私は、ウインクしながら、人差し指を立てて、雰囲気を和らげるようにして、言葉を紡いだ。

 人差し指を立てて、可愛らしさと意志の強さを表しているのが、ポイントよ☆

 数秒経つと、マサトは涙目になり、

「う、う、うわぁぁぁぁん! これだからリア充は! リア充はぁっ!」

 と叫びながら、あっさりと教室から出て行ってくれた。

 なんかトイレのある方向に向かった気がするけど、それは私の気のせいだろう。

 お弁当まで持っていってるけど、どうする気なのかしら?

 まぁ、これでたけると二人きりになれたわけだし、文句なし!

「ち、ちかげ。お前なぁ・・・マサト泣いてたぞ」

「いいの、いいの。私はたけると一緒にお昼食べられれば☆」

 ん? 

 なぜだろう。

 また不思議な違和感が私を襲う。

「痛ッ!」

 あの頭痛だ。すごく痛い。

 私はお弁当をたけるの机に置いて、頭を抱える。

 周りの人たちは、私のことを心配してくれている。

「大丈夫? ちかげ?」

 さとみ・・・。

「保健室行って少し休んだ方がいいんじゃない?」

 さとみは私に気を遣ってくれている。やっぱ持つべきものは友達・・・痛ッ!

「大丈夫か!」

 大きな声を出して、心配するのはたけるだ。

「お前朝からやっぱおかしいよ。なんで、そんなに頻繁に起こるんだ? お前、偏頭痛持ってるわけでもないし」

 たしかに私は、持病という持病はない。

 どうしちゃったんだろう私。

 

 原因不明のまま、私は保健室でひとまず、休憩することにした。

「さとみ、ありがとう」

 さとみにお礼を言うと、お大事にと言われ、さとみは保健室を後にした。

 はぁ~、たけると一緒にお昼食べられないのが、残念だわ。

 まぁ、この際仕方ないけど。

 

 私はこの後ベッドに仰向けになり、まぶたを閉じると、数分もしない内に意識が遠のいて行った。


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