表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

大事な話

19.


「ついたぞ、ちかげ」

 息を荒げる私を見ながらたけるは言った。

 もう、足速いわよたける。

「まぁとりあえず見てくれよ」

 そこは恋愛学園を筆頭に街が一望できる丘の上だった。

「きれい・・・」

 夕日に照らされるその風景に、私は感嘆の声を漏らしていた。

 こんなにキレイな景色があったなんて、今まで知らなかった。

「なに言ってんだよちかげ。ここは小さいころよく遊びに来てただろ?」

 え? 小さいころ?

 そういえばどこか懐かしい雰囲気のある街並みではあった。

 小学生以来来てなかったもので、すっかり忘れてしまっていたわ。

 でもどうしてたけるはここに私を連れてきたのかしら。

「ちかげ、話があるんだ」

「え、話って?」

 たけるはせわしなく目線を泳がせている。

「あのな、ちかげ」

 私はたけるの言葉を待った。




「俺はちかげのことが好きだ」




 風が一瞬ピタリと止んだかのように思えた。

 状況がうまく把握できていない。

 え、たけるが私に・・・?

「今日ここに連れてきたのも、それが言いたかったんだ」


 え? え?


 胸の奥からこみ上げてくる想いが、無意識に涙となって私の目から流れていた。

「いつもないがしろにしててごめんな。本当はお前から毎年チョコもらうの嬉しかったんだ」

 嬉しい。

 嬉しいはずなのに、頭が混乱してハッキリとした感情がわからない。


「だからな、ちかげ」

 たけるは真面目な顔になった。




「俺と付き合ってくれ」




 突然のたけるの告白に私は戸惑った。

 え、うそでしょ? 信じられない。

 確かにたけるに好きになってもらうために、私は努力をしてきたけれど。

 こんなに早く想いが伝わるなんて・・・。

 でも嬉しい。

 嬉しすぎて、何も言葉が出てこない。

 アハハ・・・いつものテンション保てないわ。


 それにしたっておかしい。

 時間を置いて少し冷静になった私は、考えた。

 いや、なぜ考えているのだろう。

 素直に喜んでいればそれでいいはずなのに。

 たけるが私のことを好きって言ってくれたのに。

 この違和感は何なのかしら・・・。



「うっ・・・」



 そう考えたとき、私は激しい頭痛に襲われた。


 痛い、痛いッ。


「おい、どうした! ちかげ!」

 たけるが私を心配してくれている。

 アハハ・・・嬉しい・・・。

 すでに視界はぼんやりとしていて、たけるの声だけが私の耳に響いていた。

 え、私どうなっちゃうの・・・?

 やだよ、やだよ。

 せっかくたけると仲良くなれたのに。

 恋人になれるのに。



 頭痛は激しさを増す。




「なんなんだよ! どうしてちかげが急に倒れるんだよ!」

 たけるは悲痛の声を上げている。




「ちかげーーーーーーー!」



 たけるが私の名前を呼んだのを最後に、私は完全に意識を失った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ